32.06 2次曲線(極座標 点の位置)
点の位置を表す方法として「座標」を知っています。平面の場合は、横位置と縦位置によって表現しました。ここで紹介するのは、それとは別の表し方です。
点の位置を表す
点の位置を表すのに、中学数学で、座標というものを学びました。平面上に基準とする点Oを取り、この点を通る直交する2直線を引き、一方を横軸、もう一方を縦軸とし、長さ1を決めて目盛りを横縦に取ります。これによって平面上の点Pの位置は、横位置と縦位置の組として表しました。このような座標は直交座標または Cartesian座標 (デカルト座標) と呼ばれます(※1)。
数学ではこれがよく使われるし、マンションやホテルの部屋の位置、将棋盤上の駒の位置でもこの考え方が使われています。でも日常では他の方法も使われますね。
例えば、大型商業施設がどこにあるかを説明するとき、「(今いる場所から)
どれくらいの距離でどの方向にあります」という表現を使いませんか。遊園地にいるなら、方向を指さすか東西南北を用いてどれくらいの距離の所にコーヒーカップがあるとか言いませんか。この考え方が極座標というものです(※2)。
極座標
点の位置を距離と角を用いて表す方法を極座標といいます。ここでは平面上の点の表し方を紹介しますが、空間内の点を表すこともできます(※3)。平面上には東西南北がないので次のように考えます。まず基準とする点Oをとりこの点を始点とする半直線を引きます。これにより、平面上の点は点Oからの距離と半直線との成す角の大きさによって表現することが出来ます。
例えば、平面上の点Pを極座標で表すというのは、距離・角の順の数の組
$${\text{P}(5, \: \dfrac{\:\pi\:}{3})}$$
で表現することです。角は弧度 (ラジアン) を用い一般角とします。度数法を用いることもありますが、数学する上ではラジアンの方が便利です。これを図示すると左図
のようになります。名称は右図の通りです。三角関数でも始線と動径が出てきました。新しい用語は基準点の極と成す角の偏角です。注意することは、直交座標の表現と同じく、数の組の順序です。距離、偏角の順であることを確実に覚えてください。
注1:偏角が一般角なので表現は一意ではありません。偏角を$${\dfrac{\:7\pi\:}{3}}$$としても$${-\dfrac{\:5\pi\:}{3}}$$としても同じ点を表します。なので偏角を一意的に表したい場合は$${0\leqq \theta < 2\pi}$$または$${-\pi < \theta \leqq \pi}$$のように制限することもあります。
注2:極Oの極座標は$${\text{O}(0, \: \theta)}$$と表します。このときの偏角θは任意の実数です。零ベクトルを長さ0で向きを考えないと約束したのに似ていますね。
例1 極座標で表された2点$${\text{A}(1, \: \dfrac{\:\pi\:}{6}), \: \text{B}(\sqrt{3}, \: \dfrac{\:4\pi\:}{3})}$$を図示し、線分ABの長さを求めてみます。
線分ABは右図に着目し、余弦定理を使えば求められます。
右図のθをどう求めるかですが、$${2\pi-\dfrac{\:4\pi\:}{3}=\dfrac{\:2\pi\:}{3}}$$より
$${\theta=\dfrac{\:2\pi\:}{3}+\dfrac{\:\pi\:}{6}=\dfrac{\:5\pi\:}{6}}$$
と求められます。したがって、余弦定理から
$${\text{AB}^2=1^2+\sqrt{3}^2-2\cdot 1\cdot \sqrt{3}\cos\dfrac{\:5\pi\:}{6}=7.}$$
よって
$${\text{AB}=\sqrt{7}.}$$ ▮
極座標と直交座標の関係
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