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32.08 2次曲線(極方程式②)

前回は、極方程式とはどういうものか、どのように極方程式をつくるか、極方程式を馴染みある直交座標の方程式に書き直す方法を紹介しました。
今回は、直交座標の方程式を極方程式に書き直すという話です。
なお、今回は三角関数の計算力が必須です。


極方程式への書き換え

本題に入る前に

質問 極座標$${(r,\theta)}$$と直交座標$${(x, y)}$$の関係式を書いてください。


書けましたか。
私は覚えられなかったので、使うたびに作っていました。その方法は特殊な場合を考えたものですが、得られた式が一般に成り立つことを知っていれば使う分には問題ありません。三角関数を理解しているなら、最初から一般化した形で導くこともできます。その方法は 32.06(極座標) をご覧ください。

図のように第1象限に点Pを取り直角三角形をかき、$${\text{OP}=r}$$と偏角$${\theta}$$を取ります。三角比の知識を使えば、底辺と高さが$${r,\theta}$$を使って書けますね。

こうして次の関係式が得られます。

$${x=r\cos\theta, \: y=r\sin\theta, \: r=\sqrt{x^2+y^2}.}$$ ・・・(♪)

3つ目の式は2点間の距離です。
一般的ではありませんが、関係式を出すだけならこのように導けます。


直交座標の方程式から極方程式への書き換え

例1 円の方程式$${x^2+y^2=4}$$を極方程式で表してみます。このとき用いるのが、直交座標と極座標の関係式(♪)です。

例えば、$${x=r\cos\theta, \: y=r\sin\theta}$$を使えば

    $${x^2+y^2=4 \iff (r\cos\theta)^2+(r\sin\theta)^2=4}$$

 $${\iff r^2(\cos^2\theta+\sin^2\theta)=4 \iff r^2=4 \iff r=2}$$

と変形できます。最後の同値は $${r\geqq 0}$$ だからです。


$${x, y}$$の式だったので自然な流れだと思うのですが、この場合は

$${r=\sqrt{x^2+y^2} \iff r^2=x^2+y^2}$$ $${(r\geqq 0)}$$を使って

$${x^2+y^2=4 \iff r^2=4 \iff r=2}$$

とすることもできます。

注:極方程式の場合、$${r}$$は実数全体で考えることができましたが、このように式変形するときには$${r=\sqrt{x^2+y^2}\:(\geqq 0)}$$を使うので$${r\geqq 0}$$で考えます。


例2 楕円の方程式$${5x^2+y^2=1}$$を極方程式で表してみます。

使う式は例1と同じく $${x=r\cos\theta, \: y=r\sin\theta}$$ です。

    $${5x^2+y^2=1}$$
 $${\iff 5r^2\cos^2\theta+r^2\sin^2\theta=1}$$
 $${\iff 5r^2\cos^2\theta+r^2(1-\cos^2\theta)=1}$$
 $${\iff 4r^2\cos^2\theta+r^2=1}$$
 $${\iff r^2(4\cos^2\theta+1)=1}$$

と変形できます。こういう問題の場合、どこまで変形するかは迷うところですが、ある程度スッキリしているところで終わって構いません。

例えば、最後の式に2倍角の公式$${\cos^2\theta=\dfrac{1}{\:2\:}(1+\cos2\theta)}$$を使えば

$${r^2(3+2\cos2\theta)=1}$$

と変形することができます。


例3 放物線の方程式$${y^2=4(x+1)}$$を極方程式で表してみます。

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