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パンとサーカスと秋の夜長

"政治的関心を失った民衆には、食料(パン)と見世物(サーカス)を与えておけば支配は容易い。
戦争、犯罪、天災、疫病――どれもがサーカスとなる。"
講談社BOOK倶楽部 より抜粋)


Ⅹのタイムラインに流れていた『パンとサーカス』というタイトルが気になり読みたいと思っていた本、先日読み終えました。600ページほどあるのでスキマ時間にたのしみました。2部構成の23章に分けられていたので読みやすくもありました。当初は1日1,2章のつもりだったのですが、3日目には3章、翌日には5章読み2部に突入しました。

実際に読むと共感してくれると思うのですが、次の展開が気になるのです。結果的に6日目の朝読了しました。これを新聞連載で読んでいた人は翌日の新聞がたのしみだったと思います。こういう感じの小説は

           太田 愛 著『天上の葦』

以来のように思います。『天上の葦』も上下巻で1000ページほどありますが、後半に行くにつれどんどん読むペースが速くなり1週間ほどで読んでしまいました。

『パンとサーカス』も『天上の葦』も昭和史を知っている方がだんぜんおもしろいと思いますが、あまり知らなかったとしても大いにたのしめます。これを機に昭和のことを調べられる人もいらっしゃると思います。昭和史だけでなくあの機関も調べたくなると思います。そのときには春名幹男氏の著作 をお薦めします。


さて、これを書くにあたり気になっていた「パンとサーカス」を検索したら次がヒットしました。

詩人 ユウェナリスが古代ローマ社会の世相を批判した表現:
「権力者から与えられるパンとサーカスによってローマ市民が満足して政治に無関心になっている」(参考元: wikipedia)


島田雅彦氏はこれを知っていたから『パンとサーカス』にしたのだと分かりました。読了後は最後のピースをはめ込んだようにピッタリとするタイトルだと思いました。これに見合うような言葉はないかと探していて、本文中に見つけた素敵な言葉

          「書物は魂を遠くへ飛ばす」

をこの記事のタイトルにしました。
高校生や大学生には少し背伸びした小説かもしれませんが、知的好奇心をくすぐられると思います。60代以降の人には「あれを元ネタにしたのか」と思わせる内容が散りばめられているので心が躍ると思います。
電車の中、学習の合間の休憩、就寝前などに如何ですか。私の場合は、電車の中はもちろんのこと、数学の合間やちょっとした休憩で読書をたのしんでいます。使う脳が違うので魂が休まります。▢

※ 2020.7〜2021.8 東京新聞で連載された小説で、出版時は東京新聞の記事になったようです。


補遺

政治に無関心なために起こった「埼玉県児童虐待禁止条例改正案」事件。

   子どもだけでの登下校禁止、お留守番禁止、公園遊びも禁止

が判明し、世間もマスコミも大騒ぎしたので埼玉県自民党県議団は取り下げましたが前兆(自民党と平和統一家庭連合の関係、こども家庭庁 など)はありました。無関心のままなら今後も続きます。この事件は『緊急事態条項』の前触れと見ています。政権与党との癒着、一部のマスコミ各社のトップとの会食、政権関係者を追及しない・報道しないマスコミの姿勢は、ジャニーズ以前から続いています。悲惨な2011.3.11と原発爆発の大事故があっても、インボイス制度でさらに物価が上がり大多数の人々の生活がさらに苦しくなるにも関わらず、まるで他人事のように気づかない・気づけない・気づかせない・パンとサーカスに夢中な状態が続いています。無関心な人たちは茹でガエルになるのでしょうか。▮

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