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33.03 複素平面(複素数の積の図示)
複素平面は前回と今回の内容でほとんど終わりです。理解を深めるためにその応用も紹介します。
極形式
複素数の積を図示するために極座標を利用します。
複素数$${z=a+bi \:\:(a, b\in \mathbb{R})}$$を点$${(a, \: b)}$$とみて極座標$${(r, \: \theta)}$$で捉え直すと
$${a=r\cos\theta, \: b=r\sin\theta}$$
となるので、複素数$${z}$$は次のように書き直すことができます:
$${z=r\cos\theta+(r\sin\theta)i=r(\cos\theta+i\sin\theta).}$$
注:$${(r\sin\theta)i}$$と括弧付きで表現しているのは、$${r\sin\theta i}$$と書くと$${r\sin(\theta i)}$$と読み取れてしまうからです。そこで$${i}$$を$${\sin}$$の前に書きます。$${(r\sin\theta)i}$$の場合は、
$${(r\sin\theta)i \longrightarrow ir\sin\theta}$$
と書くことにします。$${ri\sin\theta}$$でも構わないのですが、虚数であることを明確にするために$${ir\sin\theta}$$と表記することにします(※1)。
$${r(\cos\theta+i\sin\theta)}$$
この形を極形式(キョクケイシキ)といいます。$${r, \: \theta}$$は極座標からきているので$${r}$$は原点からの距離、$${\theta}$$は偏角で、それぞれ
$${r=|z|, \quad \theta=\arg{z}}$$
です。ここで $${\arg}$$というのは argument (偏角) のことで、最初の3文字から作られた記号です。$${\arg{z}}$$と書かれていたら、$${z}$$の偏角を意味しています。記号を読む場合は、argument z (アーギュメント Z) と読みます(※2)。
極形式$${r(\cos\theta+i\sin\theta)}$$で表されているとき、上で述べたようにrは原点からの距離を表します。$${\cos\theta+i\sin\theta}$$は原点からの距離に関係しないのか気になるところですが
$${|\cos\theta+i\sin\theta|=\sqrt{(\cos\theta)^2+(\sin\theta)^2}=1}$$
なので距離rに影響を与えません。θ は偏角ですが、$${0\leqq \theta < 2\pi}$$などの制限がなければ
$${\theta+2n\pi \:\:(n\in \mathbb{Z})}$$
を意味しています。分かり難いので具体例で見てみましょう。
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