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33.01 複素平面(基本事項の確認)
複素平面の話をする前に、数学Ⅱで学んだ複素数の基本事項を確認します。それと同時に、いろいろな記号も確認しておきます。
複素数
実数と虚数を合わせた数の世界を複素数といいます。
虚数というのは、自乗するとマイナスになる数も許容した世界のことです。
実数というのは、有理数を大小の順に並べたときの隙間を完全に埋めた数の世界のことです。その隙間を埋めた数を無理数といいます。
有理数というのは、整数分の整数と表せる数の世界のことです。
整数というのは、自然数の世界に0およびプラスマイナスという考えを導入した世界のことです。
自然数というのは、個数や順序を表す数のことです。なので0を自然数に入れたり、入れなかったりしますが、学習指導要領では1,2,3,…を自然数と呼んでいます。
注1:有理数、実数、複素数は四則計算(加減乗除)が出来て、計算結果もその数の世界になっています。
注2:自然数から実数までは数の大小がありますが、複素数の世界には大小がありません。その代わりに複素数の絶対値 (大きさ) というのを考えます。これは次回の話です。
約束記号
上で述べた数の世界は次のような記号で表されます。高校までの数学では使われませんが、とても便利なのでこの数学事始めではかなり前から使っています。
複素数$${\mathbb{C}}$$・・・複素数(complex number)の頭文字が由来
実数$${\mathbb{R}}$$・・・実数(real number)の頭文字が由来
有理数$${\mathbb{Q}}$$・・・割り算の答えの商(quotient)の頭文字が由来
整数$${\mathbb{Z}}$$・・・ドイツ語で数を意味するZahlenの頭文字が由来
自然数$${\mathbb{N}}$$・・・自然数(natural number)の頭文字が由来
集合の包含関係でいうと次のようになっています:
$${\mathbb{N}\sub\mathbb{Z}\sub\mathbb{Q}\sub\mathbb{R}\sub\mathbb{C}}$$
複素数およびその計算
複素数$${\mathbb{C}}$$は集合の記号を用いると
$${\mathbb{C}=\{a+bi\mid a, b \in \mathbb{R} \}}$$
のように表すことができます。ただし、$${i}$$は$${\sqrt{-1}}$$を意味し、虚数単位と呼ばれるものです。
複素数を$${a+bi\:\:(a, b \in \mathbb{R})}$$と表したとき、$${a}$$を実部、$${b}$$を虚部といいます。
虚部が0のときは実数を表し、虚部が0でないときは虚数となります。
特に、$${a=0, \: b\neq 0}$$なる虚数$${bi}$$を純虚数と呼ばれます。0は$${0+0i}$$と考えます。
複素数の計算は $${i^2=-1}$$ に気を付けて文字式のように計算できます。
計算に関してはシリーズ24をご覧ください。
※ マガジン4の目次からシリーズ24に飛べます。
複素平面のための準備
複素数の相等
2つの複素数$${\alpha, \beta \in \mathbb{C}}$$において
$${\alpha}$$と$${\beta}$$が等しいとは、実部も虚部も等しいときをいいます。つまり、
$${\alpha=a+bi, \: \beta=c+di}$$のとき
$${a+bi=c+di \iff a=c \:\: \text{かつ} \:\: b=d}$$
これは性質でなく、複素数に対する約束です。直観的に当然のことのように思いますが、これによってただ一つであることを保証しています。少し見方を変えると
複素数$${a+bi}$$と実数の組$${(a, \: b)}$$が1対1に対応する
ということです。
共役な複素数
複素数$${\alpha:=a+bi \in \mathbb{C} \:\:(a, b\in \mathbb{R}) }$$に対して、複素数$${a-bi}$$を$${a+bi}$$に共役な複素数といい、次のように記号で表します:
$${\overline{a+bi}=a-bi,}$$
$${\alpha=a+bi}$$のとき $${\bar{\alpha}=a-bi.}$$
さらにこのとき
$${\alpha+\bar{\alpha}=2a \in \mathbb{R},}$$
$${\alpha\cdot\bar{\alpha}=a^2+b^2 \in \mathbb{R}.}$$
複素数$${\alpha, \: \beta \in \mathbb{C}}$$に対して
$${\overline{\alpha+\beta}=\bar{\alpha}+\bar{\beta}, \quad \overline{\alpha\beta}=\bar{\alpha}\bar{\beta}.}$$
これを用いると実数係数の方程式の根の1つが虚数$${a+bi}$$であれば$${a-bi}$$も根であることが分かります。詳しくは 25.14 をご覧ください。▢
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(工事中)数学的には代数と幾何が結び付き、どんどんおもしろくなります。その一方で、暗記、暗記に頼ってきた人にとっては公式もどんどん増え、悲…
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