会計はルール、簿記はツール!会社の数字を理解するための基礎知識
簿記と会計は全くの別物
会計用語で、「簿記」と「会計」という用語があります。
「簿記」はなんとなく分かるけど、「会計」とは何を指すのだろうか?
経理など管理事務系の仕事をしたことがない方なら、あまり馴染みがないため、知らない人がほとんどでしょう。
ですが、経理や財務の担当ではなくとも、ビジネスパーソンとしてこの違いを知っているだけで、一目置かれる人材になれると私は思います。
なぜなら、簿記と会計の違いを理解するだけでも、財務三表など会社数字の理解に役立つからです。
ということで今回は、簿記と会計(企業会計)について、ご紹介します。
簿記は道具(ツール)
「簿記」という単語をGoogle検索すると、下記のような説明が表示されます。
企業体などに属する財産の増減・出納を、一定のしかたで記録・計算・整理して、結果を明確にする記帳法。
つまり簿記とは、企業の日常取引を記録していく道具(ツール)のことです。
企業は日々、多くの取引をしています。
商品を売ったり、サービスを提供したり、外注費を支払ったり、自社商品の宣伝広告をしたり、営業先へ訪問するために電車やタクシーに乗ったり、顧客と良い関係を築くための居酒屋へ飲みに行ったり、お土産を買ったり、従業員へ給料を支払ったり、社員全員で忘年会を開いたりなど。
これらの取引をすべて記録し、財務諸表を作るための基となる集計資料(総勘定元帳)を作るためのツールが簿記なのです。
技術の進歩により、年々企業が行う取引は複雑になってきています。
簿記は元々、商売の取引を記録するためのツールに過ぎなかったのが、時代の流れによって複雑になっていく中、高度な知識を持って取引を処理することが求められるようになり、専門スキルとして知られるまでになりました。
また驚く事に、世間一般に言う簿記とは「複式簿記」のことを指しますが、1400年後半にイタリアの数学者 ルカ・パチョーリが複式簿記を広めて以来、簿記の仕組みが今のものとほとんど変わっていないそうです。
それだけ、簿記の技術は画期的な発明だったのでしょう。
会計(企業会計)は報告書を作成するためのルール
簿記とは違い、「会計」という単語をGoogle検索しても、企業会計に関する説明は表示されません。
ご存知の通り、会計という単語には別の意味もあり、コンビニで買い物する時、レストランでチェックする時にも会計という単語は使いますよね。
このブログで説明する会計は、会社という組織で使うもので、「企業会計」とも言います。
会社は基本的に、その活動内容を外部に報告しなければなりません。
例えば、会社が税金(法人税)を国に収める場合、会社が稼いだ利益に対して税率をかけて納税額を計算します。
会社が稼いだ利益は、財務会計というルールに従って計算しなければなりません。
ルールがなかった場合、数多くあるいろんな会社が独自に利益を計算していたら、ほとんどの経営者は税金を払いたくないと考えているため、国の歳入が減りますし、不公平が生じます。
なので、財務会計というルールはかなり重要な役割を果たしています。
ちなみに、このルールは一般的には「会計基準」と言います。
財務会計ともう一つ、管理会計という企業会計の一種があるのですが、こちらは社内で独自にルールを定められるもので、財務分析や原価計算、設備投資検討など、内部資料作成ルールとして使われるものです。
会計は英語でAccounting であり、Account for(説明する)が語源です。
ここまで説明したように、企業会計は、企業の経済活動を利害関係者へ報告するためのもので、様々な原則(会計原則)があります。
例えば、「正規の簿記の原則」という会計原則は、その名の通り、正確な会計帳簿を作成しなければならないと定められています。
その他にも「真実性の原則」や「保守主義の原則」など、重要な会計原則が多くあります。
企業会計原則は法律ではありませんが、企業が会計処理を行う際の基本的なルールとなっており、ほとんどの企業は、この企業会計原則に従って会計処理を行っています。
ちなみに上場企業の場合は、金融商品取引法によって決められた会計原則に従って経理処理を行わなければいけません。
会計は奥が深いが、ビジネスパーソン必須のスキル
ビジネスパーソンに求められている3つの基本スキルがあります。
英語・IT・会計の3つです。
英語のスキルは、TOEICなどのスコアも大事ですが、実際に外国人とビジネス会話ができるか、英文の読み書きは可能かどうかが問われます。
TOEICスコアが評価されるのは、就職・転職活動の時くらいです。
実際に高年収を提示している求人票には、必須条件として「TOEICスコア800点以上」などと記載している会社もありますので、TOEICのハイスコアは取っておいて損はないでしょう。
ITのスキルは、ExcelやWordなどのオフィスツールを使いこなせるかどうかが問われます。
また、仕事で使っているOSの技術的な部分も詳しく、ちょっとした不具合なら治せるくらいの知識があれば、ITスキルがあるビジネスパーソンと認められるでしょう。
会計スキルについて、簿記検定を取得すれば、会計スキルが身につくと思っているビジネスパーソンが少なからずいます。
確かにその通りで、日商簿記検定2級まで合格できる程度の知識があれば、ビジネスの現場で十分活かせるでしょう。
しかし、簿記検定で勉強することは、上述したように企業の日常取引を記録し、GL(総勘定元帳)や貸借対照表、損益計算書などを作成するためのスキルです。
会計スキルを身につけたいと思うビジネスパーソンの中には、ただ財務諸表や企業の経営状態を把握できるスキルを身につけたいという方もいます。
もしそうであれば、わざわざ簿記検定のテキストから始めるより、書店の会計学のコーナーへ行けば、会計初心者の方でも楽しみながら読めるような入門書がたくさん並んでいます。
それでも物足りなさを感じるようであれば、簿記検定の勉強を始めても良いかもしれません。
企業会計の知識は、経理や財務の方だけでなく、ビジネスパーソンなら知っておきたい分野の一つです。
経営学部を卒業されている方や、MBAホルダーの方ならご存知かと思いますが、ファイナンスや企業会計は必須科目です。
優秀なビジネスパーソンなら当たり前のように勉強しています。
もし企業会計についてあまり自身がないのであれば、この機会に勉強してみてはいかがでしょうか。