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溜めロン「病」の診断と治療 ~麻雀精神科医が診る麻雀の困った症状

麻雀精神科医の立場から、近年増加傾向にある「溜めロン症候群」について、その症状と治療法をお話しさせていただきます。

■ はじめに:溜めロン症候群とは

溜めロン症候群(Delayed Ron Syndrome: DRS)は、麻雀における特異的な行動障害の一つです。ロン和了の際に、不必要に数秒から数十秒の遅延を発生させる症状を特徴とします。重症例では、オーラス最終局での長時間の溜めロンや、連続的な溜めロン行為が観察されます。

■ 症状による分類

当院では、溜めロン症候群を以下の3つのタイプに分類しています:

1. 衝動型溜めロン症候群(I-DRS: Impulsive Type)

  • 主な症状:突発的な溜めロン行為

  • 特徴:思わず溜めてしまう、後悔はするものの制御が難しい

  • 症例:「あ、やってしまった...でも次も多分やっちゃうと思う」

2. 快感追求型溜めロン症候群(P-DRS: Pleasure-Seeking Type)

  • 主な症状:計画的な溜めロン行為

  • 特徴:優越感による快感を求める、他者の反応を期待

  • 症例:「相手が悔しがる顔が見たくて...」

3. 習慣型溜めロン症候群(H-DRS: Habitual Type)

  • 主な症状:無意識的な溜めロン行為

  • 特徴:溜めロンが習慣化、問題意識が希薄

  • 症例:「え?私、溜めてました?気づかなかった...」

■ 診察室より:実際の症例

症例1:A氏(28歳・会社員)

主訴:「気づいたら溜めロンしていて、周りから嫌われています」
経過:東1局から溜めロン。南3局でついに他家から厳重注意。
診断:衝動型溜めロン症候群(重度)

症例2:B氏(35歳・自営業)

主訴:「溜めロンが気持ちよくてやめられません」
経過:オーラスでの溜めロンが特に顕著。勝利を確信した際の発症が多い。
診断:快感追求型溜めロン症候群(中度)

症例3:C氏(45歳・公務員)

主訴:「溜めロンしているという自覚がありません」
経過:牌を見つめる時間が異常に長い。アガリまでの所要時間が一般的な3倍。
診断:習慣型溜めロン症候群(軽度)

■ 治療プログラム

当院では、以下のような段階的治療プログラムを実施しています:

第1段階:認識療法

  • 溜めロン行為の自己認識

  • 他者への影響の理解

  • 問題行動の記録(溜めロン日記)

第2段階:行動修正療法

  • 即時アガリボタン押下訓練

  • リーチ時自動アガリ設定の推奨

  • タイマーを用いた時間管理練習

第3段階:環境調整療法

  • 対戦相手への謝罪練習

  • コミュニティでの評判回復訓練

  • 新しい対戦マナーの習得

■ 処方箋例

衝動型に対して:

  1. 朝夕2回の深呼吸

  2. アガリボタン即押し訓練(1日3回)

  3. 溜めロン衝動を感じたら目を閉じて3秒数える

快感追求型に対して:

  1. 健全な優越感獲得法の指導

  2. 対戦相手への共感トレーニング

  3. 溜めロンの代替満足感の探求

習慣型に対して:

  1. アガリ時間計測アプリの使用

  2. 定期的な自己モニタリング

  3. 周囲からのフィードバック記録

■ 予防のための生活指導

  1. 規則正しい麻雀生活

    • 一日の対局数を適度に保つ

    • 疲労時の対局を避ける

    • 十分な休憩を取る

  2. 心の健康管理

    • 過度な勝利への執着を避ける

    • 対戦相手への敬意を忘れない

    • コミュニティ内での評判を意識する

  3. 対局環境の整備

    • 快適なネット環境の確保

    • アガリボタンまでの動線確認

    • 自動アガリ設定の活用

■ リハビリテーション計画

第1週目:気づきのフェーズ

  • 溜めロン行為の記録

  • 反省日記の作成

  • 対戦相手の反応観察

第2週目:改善のフェーズ

  • 即時アガリの練習

  • 代替行動の模索

  • 成功体験の蓄積

第3週目:定着のフェーズ

  • 新しい対局習慣の確立

  • コミュニティでの信頼回復

  • 再発防止策の確認

■ 予後と展望

溜めロン症候群は、適切な治療と本人の努力により、高い確率で改善が期待できます。特に早期発見・早期治療が重要です。当院の統計では、3ヶ月の治療プログラム後、約80%の患者さんが症状の改善を報告しています。

ただし、完治後も定期的なフォローアップが推奨されます。特にストレス過多の環境下では再発のリスクが高まることが知られています。

■ 最後に

溜めロン症候群は、決して恥ずかしい病ではありません。むしろ、この症状に気づき、治療を決意されたことは、麻雀プレイヤーとしての大きな一歩だと考えています。

私たち麻雀精神科医は、患者さんの完治と、健全な麻雀コミュニティの実現を目指して、日々研究を重ねています。もし少しでも心当たりのある方は、お気軽に当院までご相談ください。

<付録:セルフチェックリスト>

以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、溜めロン症候群の可能性があります:

□ アガリ後、「もう少し待てば良かった」と思うことがある
□ オーラスでは特に溜めたくなる
□ 相手の反応を想像して楽しくなる
□ 溜めロンを指摘されても特に気にならない
□ 勝っているときほど溜めたくなる
□ 溜めロンの時間が徐々に長くなっている
□ 家族や友人から麻雀のマナーについて注意されたことがある
□ 対戦後に「溜めすぎた」と後悔することがある

(注:本コラムは娯楽目的で書かれたものです。実在の医療行為とは全く関係ありません。失礼しました。)

おしまい


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こてつのネトマ徘徊記
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