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<ネタにできる古典(3)>恋するひじき

 むかし、男ありけり。懸想じける女のもとに、ひじき藻といふものをやるとて、
   思ひあらばむぐらの宿に寝もしなむひじきものには袖をしつつも
 二条の后の、まだ帝にも仕うまつりたまはで、ただ人にておはしましける時のことなり。

(訳)
昔、男がいた。恋をした女に、ひじき藻を贈ることにして、歌った。
   もし私に思いがあるのなら
   つる草の生い茂る荒れ宿でよろしいから
   臥所を共にいたしませんか
   引きもの敷きものなんか
   衣の袖で間に合わせて
 二条の后が、まだ入内なさっていない頃合い、普通の身分だった時代のことである。

伊勢物語 第3段

 後に皇后となる御方への恋文とともに届けるのが、ひじき。このギャップが味わい深いんです。


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