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中野ヌードデッサン

※予め言うが、実際に描いたものを公開したり、モデルの尊厳を損なう発言はしない

生まれて初めてのヌードデッサン
遅刻してしまい席が選べなかったが、空席理由が「イーゼルがなんかしょぼい」だったので、無難な正面を取れた。

午前の部のモデルは通称「グラマー女性」と呼ばれていて、程よく鍛え、女性特有の皮下脂肪も乗っている手本として完璧な女性だった。

サイドバックから鉛筆を取り出そうとした時にカミソリにしっかり触ってしまい、左手の薬指から大量出血、ティッシュでぐるぐる巻きにしながらのデッサンだった。

出来栄えは良かったと思う。
各ポーズのクロッキーが終わった後、講師の元に意見を求める人たちが列を作っていて、お金払ってるしな、と思って、並んだ

私は絵がうまかった

体格の言及はあったがそれ以外は特に何もなく、「美大の方ですか?」と言われた
「いいえ」

私は絵がうまかった

貶されたかったのか、褒められたかったのか、もはや分からなかった、普通科の高校に通ったり通わなかったりしながら卒業した私は、専門家の意見に恋焦がれている部分があった。なんだかひどく落ち込んで、午後の授業前に酒をしこたま飲んだ

午後の部の半分は記憶がなかった。

自惚れではない、問題は、こんなに模範的に絵がうまかったとしても、職につけないということだ、上手いだけで評価される時代はとうに終わり、マーケティング能力が試される、携帯型電光掲示板と手がくっついちゃった人たちの網膜に、望んでなくても焼きつくくらい、インターネットに根を張って領地を広げてる奴が勝つ、そうは思わないだろうか?私はそう思った

俺は、そういうのが著しく不得意。
自分の自信のなさを、「でも俺は絵が上手いから」と蓋をした末路、自分と自分の作品が繋がって評価されるのがとてつもなく恐ろしい、誰にも認識されたくないのだ、AIのように、自我を持たぬ存在であれば良かった。

正直なところ、無理はしなくていいと思っていた、どうだろう、一昔前の作家は、編集者がアカウント運営を代行し絵を投稿するではないか。それになりたかった、
私は編集者とうまく会話ができなかった。
もう連絡もとっていない

異常者だ。

俺は、間違えたのだろうか、サッカーが飛び抜けて上手ければ、推薦で教育を受け、サッカー選手になるヒトもいるだろう
同じだと思ってた、絵さえうまければプロになれると思っていた、頭がおかしくて社会性がない画家なんて沢山いるのだから、大丈夫だと思っていたんだ。つまるところ
助けて欲しかった、どうしようもない俺を救って欲しかった。
助けて

たすけて

たすけてくれ

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