g0v Summit 2020に行ってきた
この記事はCivic Tech 1年目 Advent Calendar 2020の7日目の記事です。
2020年12月4日、台湾最大級のシビックテックコミュニティ「g0v」の主催するg0v Summitが台南で開催されました。日本からもいくつかセッションがあり、僕もCode for Japanのインターンとしてセッションを持ったのでそのことを少し書こうと思います。
さも僕が実際に台南に行ってプレゼンしてきたみたいなタイトルですが、今年はコロナの影響でオンラインでの参加となりました。学校を合法的に休んで台南観光しようと思っていたので残念でしたが、オンラインだからこそ同時に別の会場のセッションを見られたので現地とは違う楽しみ方ができたのではないかと思います。
Code for Japanとは?
突如「Code for Japanのインターンです」と言って話を進めてもCode for Japanを知らない人には何も伝わらないので、Code for Japanについて少し説明をします。
Code for Japanは日本最大級のシビックテックコミュニティで、Civic Tech、Gov Techに関わるプロジェクトを複数運営しています。もっとも有名なのは東京都コロナウイルス対策サイトの開発で、これは全ての都道府県の対策サイトに派生しました。またCode for Japanには、地域・活動目的に特化した80を超えるコミュニティ「ブリゲード」が存在します。ブリゲードの種類としては、Code for Japanの設立と同時期に発足したCode for Kanazawaなど地域に特化したもの、猫の殺処分0を目指すCode for Catなど地域関係なく一つの目的に特化したものに分けられます。興味のある方はぜひCode for JapanのSlackにご参加ください。
g0v Summitに出たきっかけ
今年の7月ごろ、Code for Japanのインターンとしてg0v Summitに出ないかというお誘いがありました。最初は「英語のプレゼンはきつい」と思い断ろうとしたのですが、よく考えればこれは今までインプットしかしてこなかった英語をアウトプットするまたとないチャンス。逆にこれに出なければ一生純ジャパEnglishのまま。虎穴虎子、一念通天、事上磨練だということで最終的には勇気を出してプロポーザルを提出し、参加することを決めました。
その頃、ちょうどCode for Japanの学生インターンが中心となって、社会課題解決型コンテストCivictech Challenge Cup U-22 (以下CCC U-22)を運営し始めたところでした。もともと僕は1セッションに与えられる15分間、Code for Japanのインターンとして普段やっている仕事について喋り通そうと考えていたのですが、事実そこまでのトーク力はなく、不幸なことに15分間英語を話し続ける強い心も英語力も持ち合わせていなかったのでCCC U-22の優勝チームをサミットに誘い、プロダクトについて語ってもらうことに決めました。
7月に始まったCCC U-22は最終的に120人を超える参加者がエントリーし、28チームが組成され、11チームがファイナリストに選ばれました。開催当初は作品の提出数が足りるかどうか不安で仕方なかったのですが、実際は足りないどころか28チームほぼ全てのチームが作品を提出し、しかも運営チームの予想を超えるレベルの作品が乱発したので、良い意味で期待を裏切られすごく嬉しかったです。
ファイナリストは選出後再び開発期間に入り、10月末に行われた最終審査会で、チームCivichatが大賞に決定しました。
CCCの優勝チームをg0v Summitに連れて行くと決めた時、僕は審査会当日に優勝チームメンバーの予定を聞き、12月4日の予定が空いていればすぐにサミットへの参加をお願いしてしまおうと考えていました。興奮冷めやらぬうちにお願いをすることで、冷静に「え、英語でプレゼンはキツくない?」と考える暇を与えないという狙いでした。なんというこの計画力。
しかし、審査会の司会進行を担っていたこともあり、僕は計画を完全にド忘れしたままイベントを終了してしまったのです。優勝したCivichatに「いやー、おめでとうございます!」と薄いコメントをし、賞金の振り込み連絡等は後日行いますという事務連絡を挟んだのち、計画の一片でも思い出すことなくZoomを閉めてしまいました。イベント終了の翌日に気が付きましたが時すでに遅し。結局11月に入ってから改めてお願いをすることになり、僕と同じような葛藤で断られるかもと少し不安でしたが最終的には優勝チームのメンバー全員が参加してくれることになりました。Civichatの皆さんには本当に感謝しています。
プレゼンが録画に
8月末、g0vスタッフからプレゼンの動画を事前に撮影し、録画を提出してくださいという連絡がきました。当日にデモや画面共有でもたつくことを防ぐのが目的で、外国からの参加が全面オンラインに決定したすぐ後の連絡だったので、流石対応が早いなと思いました。そしてこれは僕にとっても朗報で、緊張で呂律が回らず、何を言っているか分からないままセッションが終わるという悪夢は実現しないことが分かったのでひとまず安心しました。結局提出期限ギリギリまで撮り直しを重ね、たまたま上手く発音できた部分をつなぎ合わせて動画を作ることができ、本番一発勝負よりは伝わりやすいプレゼンを作れたのではないかと思います。
当日
録画提出も完了し、満を持して迎えた当日。学校があった僕は2時間目で授業を早退し、家に帰って準備を整えました。僕は幸い早退できたのですが、Civichatのメンバーである弓削さんは学校の事情で参加することができませんでした。リアルタイムに質疑応答はできませんでしたが、録画では弓削さんのプレゼンもしっかり流れたので、ここでも事前録画のメリットが生きて良かったです。
僕たちのセッションはランチ休憩後の、日本時間で14:30~15:00、台湾時間で13:30~14:00でした。リハーサルの際に日本時間と台湾時間を混同して1時間遅れて入ったという苦い経験があったのでGMTの計算は少しトラウマでしたが、本番は間違えることなく事前に入室することができました。時間になると、モデレーターであるbessさんが手短にスピーカー : 僕とCivichatメンバーの紹介をし、すぐにプレゼン動画に入りました。自分のセッションで自分の動画を見るというのは変な感じでしたが、思ったよりもしっかり喋っていて、内容も伝わっているようだったので嬉しかったです。Civichatメンバーのプレゼンも動画内にあり、彼/彼女らも自分が喋っている映像を見て始終ニヤけていましたが、結局トラブルなく動画は再生され、終わった時には会場から拍手が起きたのですごく安心しました。
プレゼン動画のあとは、リアルタイムのQAセッション。Slidoで質問を募集し、僕たちが英語で回答するという流れです。実際にQAセッションをするまでは「まあ日本語の質問みたいな感じで答えれば大丈夫だろ」と楽観していたのですが、実際に質問に答えてみるとこれがまあ難しい。まるでスピーキングの試験を受けているかのように、緊張で思うように言葉がでず、知っているはずの語彙が浮かんでこないのです。「Code for Japanに関わって何が一番変わったか」という簡単な質問にも上手く答えられず、モデレーターの誘導でなんとか乗り切ったという感じでした。質疑応答で苦労したのは僕だけではなく、Civichatの代表である高木さんもCivichatのメンバー全員が所属しているN高等学校についての説明を求められ、日本語でも難しいN高の説明に苦戦していました。ただ、このQAセッションで「自分の言いたいことを即座に英語で伝える難しさ」に身をもって気づけたので英語学習的にはこの苦労も無駄ではないのかなと思います。
セッションを終えて
QAセッションには苦労しましたが、プレゼンの内容は会場の参加者にも、オンラインで見ている視聴者にも伝わってようですごく達成感を感じました。Civichatのメンバーもこのイベントを含め、チームとして色々なことにチャレンジしてくれたら嬉しいです。
Civichat
実はCivichatは11月に法人化し、すでにいち企業として挑戦を始めています。国の助成金や補助金の情報をLINE Botで伝えるサービスで、今はまだ名の知れないスタートアップですが、いずれ行政と市民のインターフェースになってくれることを願っています。将来Civichatが有名になれば、「高校ん時Civichatと一緒にプレゼンしたんだぜ」と自慢でき、個人的にもすごくオイシイので、僕は本当に応援しています。
Code for Japan
Code for Japanでは毎月定期イベントやハッカソンを開催しています。上で紹介したブリゲードも数が増えてきているので、興味のある方は参加してみてください。学生インターンも募集中ですので、イベントの運営・企画をしてみたいという方はぜひSlackで連絡を!