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【時効ネタ?】初心者サバゲー潜入レポ(後編)
前編までの内容
友人のA子がサバイバルゲームに興味を持った
事から、初心者向けサバゲーへの参加を勧め
ました。
その結果、彼女は2ヶ月後にある【初心者限定
サバゲー(偽名)】に、自分と私の分の2名で予約
していました。
私は気が進まないながらも、何故"個人の集まり"
が何の利益も生み出さない初心者サバゲーを
開催するのか興味が湧き、【初心者限定サバゲー
(偽名)】の主催の集まりである【おじサバ軍】を
調べました。
結果、おじサバ軍は初心者を教え導くような
集団ではなかったのです。
それどころか、初心者を自分の私腹を肥やす
"養分"として考え、更に参加したA子達の
ような女性を客寄せパンダとして利用を企図
可愛ければ"ミリドル"として活用しようと
企む、気持ちの悪い集団でした。
自分の興味と好奇心を満たす為、私はA子と
共に、おじサバ軍が待つ【初心者限定サバゲー
(偽名)】に向かったのでした。
【初心者限定サバゲー(偽名)】
開催された某フィールドは、敷地はそこまで
広くないですが、通路と様々なオブジェクトが
置かれ、見通しが比較的容易な、初心者には
ゲームしやすそうなフィールドでした。
私は、以前にサバゲー仲間と定例会や友人の
貸切に来た事があり、内部は知っていました。
しかし、定例会での良くない面も知っていま
した。
それは常連の一部のルール違反が凄く、あまり
好んで行く場所ではなかったのです。
ここで気付いたのです、主催のおじサバ軍
リーダーであるナガブチはここの悪い方の
常連だったのです。
準備
当然の事ながら騙し討ちする訳ではありません。
むしろ、彼等の用意したイベントを壊して
しまっては、私が興味をもった彼等の行動を
観察出来ません。
そこで私はA子に断り、初心者に徹し彼等の
イベントに乗っかる事にしました。
服は幸いにして、自分達の貸切で想定上ゲリラ
コマンドを演じる為に買った、ワークマンの
ツナギがあります。
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ただ、エアガンの選択に困りました。
レールがついていたり、明らかに使い込んで
あったり、初心者らしくないエアガンしかあり
ません。
木製ストックのRPKが完全なノーマル状態で
あり、しかも唯一多弾マガジンがあった為、
使う事にしましたが、あまり初心者が選ぶ
とは思えません。
そこは、知らずにヤフオクで安かったという話に
誤魔化す事で処置しました。
そして、先月に定例会で見聞きした事は
A子に伝えませんでした。
せっかく自分で選んだサバゲー体験に、水を
差したくなかったからです。
イベント開始
受付から朝のミーティングにかけて観察
すると、オラオラ系のナガブチと、副官の
パンクが参加者に話し掛けたり、司会進行を
しています。
ナガブチの服装や装備について記載していません
でしたが、黒いTシャツを着て頭はB-BOYが
着用しているヘッドラップ、マイクロチェスト
リグは、イオンで安売りしている鞄のような柄
でした。(迷彩ではない。中国製?)
ラーメン屋のような風体と言えば近いでしょう。
彼等はナチュラルヤンキーみたいな感じで、
コミュニケーション能力には長けている
様子です。
参加者はおじサバ軍団含めて約30名
半分はおじサバ軍団幹部とおじサバ軍雑兵
です。
初めて来た初心者は我々以外で3グループ
A子以外の女性は、珍しい事に女性2人で
来ているグループで、構成は、キャバ嬢っぽい
女性(以下、キャバ子と言う。)と
アパレル販売定員のような女性(以下、マルキュ
ーと言う。)の2人組です。
面白い事に、セーフティのキャパシティは
全然あるのですが、指定席でした。
おじサバ軍が1番受付や自販機に近い、屋根が
ある位置に配置
おじサバ軍の隣にキャバ子とマルキューの
テーブル
キャバ子とマルキューの横にA子と
私のテーブル
あとは男だけの初心者グループが並んでいます。
清々しく露骨です。
驚くべき事に、おじサバ軍の雑兵は
ヒエラルキー上位のリーダー達から遠い
初心者グループの、更に外側だったのです。
しかも屋根が半分ありません。
朝から配席だけで香ばしく、胸が高鳴りました。
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ナガブチとパンクがキャバ子とマルキューに
積極的に話しかけます。
初心者向けガイダンスがあるかと思いました
がありませんでした。
基本的に男には、ガイダンスは何もありません。
一切何もありません。
言い換えれば、初心者しかいない定例会です。
フィールドスタッフがエアガンの使い方を教えて
いた位です。
その他、おじサバ軍の主要メンバーの様子ですが
ギリーを着ていた清潔感の無い肥満中年男性の
『終了』はコミュケーション能力が低い為か、
話しかけて来ません。
ずっとシューティングレンジで調整?を
してます。
某国特殊部隊装備の『男優』は、今日に限って
フルでアイテムを持って来ています。
そのヘッドセットは誰と繋がるのでしょう?
おじサバ軍の皆さんは、無線を使っている様子
はありません。
初心者には、ガッチリとした装備はカッコよく
見えるようで、初心者の質問に、男優は気分良く
答えています。
質問している何人かは、おじサバ軍の雑兵へと
加わるのでしょう。
そして、女の子に話しかけたくても話しかけ
られず、近寄ろうものならナガブチに睨まれ
行くに行けず自販機付近でジュースを
買う訳でもなくウロウロしているモブ雑兵
もう完璧です、この人間模様、素晴らしい!
清々しいまでおじサバ軍のクズっぷりに、私の
興味と好奇心がどんどん満たされていくのが
分かりました。
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A子から「ポンコツさん、何だか楽しそうで
よかった」と言われ、彼女の人柄の良さを感じる
と同時に若干の罪悪感を覚えつつ、ゲーム開始
を待ちました。
ゲーム開始
チーム分けが行われました。
ナガブチチームとパンクチームになります。
予想通り、キャバ子とマルキューはナガブチの
側です。
まるで将軍様に献上された悦び組のようです。
相手チーム側の仕切りに、パンクを使ったのは
一応サバゲーを成り立たせる戦力差のバランスを
考えたのでしょう。
僕とA子はパンク側です。
パンク側には、終了もいます。主戦力を付けて
いるから、動けない終了を1人入れてバランスを
取ったとすれば、ナガブチもリーダーとして一応
考えはあるのだろう、と変に感心してしまい
ました。
モブ雑兵と初心者の配分は忘れました。
(後から考えてみれば、女の子と装備着込んでる
プレーヤーが一緒いた方が写真写りが良いから
かもしれない。)
ゲーム開始前、スタート地点でパンクがA子に
話しかけています。
どうやらパンクはA子の事が気に入ったようで
何処から来たとか積極的に聞いています。
A子「…はい、…友達の車で一緒に来ました…」
パンク「友達?」
A子「はい、あそこにいる…」
(止めろ!A子!俺に話を振るな!)
パンクが私を凝視します。
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初心者にしては、RPKという不釣り合いかつ
マニアックなエアガンを片手にした私は、
パンクには、さぞ珍妙に見える筈です。
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しかし、ここで私は重大な見落としに気付いて
しまいました。
靴が、MERRELLを履いていたのです。
(しまった!間違えて普段使ってるやつだった!)
そう、私はこの日の為、使い古した運動靴を用意
していたのですが、間違えて普段使用している靴
を持って来ていた事に気付かなかったのです。
気分は、MGSで敵兵がすぐ側を通る時、
若しくはスパイ映画で国家警察に怪しまれている
時の緊張感です。
(まずい、まずいぞ、パンクが怪しんでる)
パンクが近付いてきます。
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パンク「初心者?初めて?」
私「…初めて…では無いんですが1回や2回で
あんまりやった事なくて…」
パンク「その銃、使いにくくない?」
私「はは…ヤフオクで安くて、良く分からず…」
パンク「ふーん…あの娘(A子)は友達?」
私「ご、ご近所さん?的な…ハハ」
パンク「ふーん…」
(…ふう、何とか誤魔化せた…)
パンクの尋問を何とか誤魔化し。
ゲーム開始です。
少しでも視射界が良好で、防護されている高い
位置を探します。
そこから観察していると、幾つかの点に気付き
ました。
パンクは見た目通り、身体をクネクネと揺らす
スタイル
ナガブチも基本、身体をクネクネと揺らす
スタイルですが、あまり前に出ずモブ雑兵の後ろ
にいます。
男優は、基本タクトレ的な動きですが、基本的に
モブ雑兵の後ろで気取って立っています。
終了は、エアガンの射程外になる最後尾で
スナイパーごっこに興じています。
よく言えば待ち伏せです、位置的には意味がある
か微妙な場所を選んでいます。
つまり、前に出て戦うのはパンクとモブ雑兵
彼等に露払いさせて、ある程度人が居なくなった
ら後ろから出てくるスタイルです。
パンクは経験者なのか、さすがにゲームが上手い
です。硬さも相まってパンクは生き残るでしょ
う。
他の定例会では見えなかった、彼等の戦法が
浮かび上がるように見えてきます。
モブ雑兵の犠牲を伴う露払いの後、生き残った
パンクとナガブチ達が合流するといった最低な
戦法をやっていたのです。
よく見ると、ナガブチがマルキューに撃つ方向
や敵の位置を教えています。
横にいるキャバ子も指示を聞いているのか、
バリケードを出たり入ったりして、こちら側に
発砲しています。
女の子への『俺って凄いだろアピールに』に
鳥肌が立ってしまいました。
ここで不思議な事に気付きました。
キャバ子が持っている銃がレンタル銃ではあり
ません。恐らく私物か、ユーザーから借りた
次世代Hk416Cです。しかもある程度使い慣れて
います。
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どんな人なのか、少しキャバ子にも興味が出て
きました。
「前に出ないとやられちゃうよ!前出ろよ!」と
パンクが初心者らに命令します。
「GO!GO!」と終了が後ろから声だけを出し
ます。
A子を探すと、パンクがA子の側をガッチリ
ガードしています、大変微笑ましいです。
モブの誰かは興奮して「ここは俺が食い止める」
と、大声で気持ちの悪い台詞を言っています。
この混乱と嫌悪感、そして欲望が渦巻く
サバゲーに、私は心地良さを感じ
大変満足していました。
ああ、こんな1日があってもいい。
サバゲーって、こんなに黒くて気持ち悪く
なれるんだ。
誰にも深入りせず適度な距離感で、知らない
誰かとサバゲーを通じ、楽しい時間を共有
出来れば良いとする、私の新たなポリシーは
観察する楽しさに気付かせてくれたのです。
そうこうしている内に、モブ雑兵と適度に
撃ち合いをしつつ、相手側のテリトリーに
入ると、男優が勇ましく撃っているのが
横から見えました。
何の考えも無く、男優のヘルメットに向かって
発報すると見事にヘッドセットに命中
良い音がしたのか、男優がビックリした様子で
こちらを向こうとした瞬間、自分が【初心者】
である事を思い出して、咄嗟に隠れました。
男優がヒットコールした後、フィールドから
出るのをバリケードの隙間から伺います。
男優には誰が撃ったか見られてないようです。
かなり焦りましたし、油断した事に反省
しました。
しかし、ここでその様子を目撃していた者が
いたのです。
そんなこんなで、1日を楽しく過ごしました。
なるべくおじサバ軍と接触しないように、初心者
に徹しました。
ナガブチや男優がキャバ子やマルキュー、A子
に話かけます。
熱心に仲間に引き入れているようです。
ナガブチはスマホを取り出して、どうやらLINEの
交換を迫っているようです。
あの、ミリドルを提案したモブは一眼レフカメラ
を持って近くをウロウロしています。
その後、参加した女の子の撮影会をしていましたが、とても気持ち悪かったです。
しかし、後半になるにつれ初心者が帰り始め
ました。
正直、何のガイダンスもなく、主催のおじサバ軍
がルールを守らないからつまらないのです。
(結局身内が盛り上がるだけ)
初心者サバゲーの実態は、おじサバ軍が初心者を
狩る為だけのイベントだから仕方ありません。
今や【初心者限定サバゲー(偽名)】は、おじサバ軍
が女の子達だけを仲間に引き入れる目的の会に
なっていたからです。
人が少なくなり、ラスト1ゲームになった頃
ナガブチがとんでもない事を言い始めました。
「皆はサバゲー出来るようになったから、
おじサバ軍VS初心者チームでやってみよう」
しかしチーム分けを見ると、A子、キャバ子、
マルキューはおじサバ軍側にいます。
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私はそのクズみたいな提案にワクワクしましたが
周りの初心者を見ると「うへぇ…」と言った感じで
士気が完全に下がった顔をしています。
彼等はレンタル代除き5000円近く払った為、
勿体無いから途中退場しなかった人達です。
可哀想になりました。
そんな時、A子が「友達と一緒にやりたい」と
私の所に来ました。
これはちょっと予測していませんでした。
しかも今度は、キャバ子が「A子ちゃんと一緒
にやりたい」とマルキューと一緒にこっち側に
来たのです。
知らない間に、A子はキャバ子やマルキューと
仲良くなっていました。
気まずい空気が流れる中、パンクが「じゃあ
これでやろう」と結末をつけました。
スタート地点に向かう初心者の人達は若干
疲れてます。しかも明らかに狩られる事が
分かっているから、あまり楽しくなさそうです。
このまま帰ってもサバゲーにハマる事は無いし
特に学生に見える若い人達にとっては、移動や
参加費も安くはない筈です。段々と可哀想に
思えて来ました。
反撃
スタート地点につくと、初心者の1人が
「どうしましょうか?」と呟きました。
うーん…と誰も返答を返さない中
キャバ子が突然私に
「本当はサバゲーやってんでしょ!?A子が
言ってたよ。初心者のフリしなくていいから!
で、どうする?」
…と言ってきたのです。
A子も、初心者達もこっちを見ています。
もう他人のイベントをぶち壊すような事は
しないと決めていた為、迷いました。
ただ、おじサバ軍に『養分』として扱われ、
嫌なイメージを抱いたまま初心者の人達に
帰って欲しくないと思いました。
私はラストゲームだけ、おじサバ軍のイベント
をぶち壊す事にしました。
すぐ、ナガブチに作戦会議の猶予を貰い、
スタート地点に戻ると、作戦を伝えました。
フィールドの見通しのしやすさを利用して
各エリアを分けて配置を決め、最前線を
フィールドの接戦となる部分に設定
自軍フラッグまで2線の防御ラインを作り
キルゾーンに入るまで待ち伏せる事にしました。
予備の組を残して、突破された場合は
予備の組で押し返します。
予備の組には、運動部出身の足が早い人に
なってもらいました。
突っ込んでくる盾役のモブ雑兵を撃破、次に
突破するであろうパンクを遅滞しながら撃破
ナガブチ達を減殺した所で押し返し、最後に
突撃してフラッグまで侵入、おじサバ軍を
撃滅する作戦です。
ここで新たに判明した事は、実はキャバ子は
サバゲー経験者でした。
キャバ子とマルキューは「パンクは私達が片付け
る」と予備組に入りました。
大変心強かったです。
ゲーム展開は予想した通りに進みました。
モブ雑兵は待ち伏せされた初心者の人達に
排除されました。
さすがにパンクはなかなか排除出来ず、損耗を
出しましたが、待ち伏せしたキャバ子達が排除
しました。
ナガブチ達の足が止まり、生き残った数が
おじサバ軍より初心者側が上回っている事を
確認した所で、残り時間3分
大声で全員にマガジンのゼンマイの巻き上げと
フルオートへの切り替えを指示して、突撃の
号令を掛けました。
全員がフラッグに向かって突撃します。
ナガブチも初心者にほぼゼロレンジで撃ち
込まれ、さすがに"クリーン"なヒットコールを
しました。
おじサバ軍は撃滅され、突撃していった初心者
がフラッグを獲り、皆に笑顔が戻った事で
ひとまず安心しました。
すぐ帰ろう!
もう、ここまできたらおじサバ軍に私が初心者で
ない事はバレバレです。
すぐに着替え、片付けて帰る事にしました。
セーフティに戻った時、明らかにナガブチが
こっちを睨んでいましたし、男優が「アイツ
なんだ?」と言っているのが聞こえました。
しかし、そんな状況の中、A子がなかなか
帰って来ません。さすがに置いていく訳には
行かず、車の外で待っていると…
「オイ!」と声を掛けられました。
後ろを見るとナガブチがいます!
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「テメェ何なんだ!」
ガチギレしています、凄い迫力です。
内心「うわ〜」と思っていたら、笑っている
ように見えたのか、更にキレてしまい。
胸倉を掴まれました。
しかし、ここで止めに入ったのはパンクでした。
パンクがナガブチに説教します。
ナガブチが「テメェのツラ覚えたからな!」と
捨て台詞を吐いて男優に連れ戻されると、
パンクが「悪い、本当に悪い、カーッとなると
ああなっちゃう所があって…怪我ない?」
(あれ?意外にパンクまともだぞ)
「本当にごめん、オレからも注意するから、
マジでここは収めてよ、頼む」とパンクが
何故か私に謝りました。
そんなこんなでA子がドン引きした様子で
車に戻ってきた所で帰宅しました。
エピローグへ続く