タクティカルトレーニングとの上手な付き合い方(僕は見た!ヘンテコなタクトレ編その2)
深まる疑惑
外国軍特殊部隊出身者が講師と謳っているタクティカルトレーニングのセミナーに参加してから、しばらく経ったある日の事です。
当該セミナーのブログを発見しました。
そもそもはこのセミナーのホームページを探していたのですが、固有のページを発見出来ずGoogle検索で出てきたのがブログだけでした。
まあそんな事もあるのかとちょっと不思議に思いながら読み進めていくと、僕とH氏が参加した日の事もブログに載っていました。
内容は「高ストレス下での戦術的行動を訓練しました」とかなり盛って書かれています。実際は前回に記述した通り大変お粗末な内容でした。
自分の中にあった「こいつら実は偽者じゃないか?」という疑惑は決定的なものになりました。
やっぱり偽物だった
この時、僕はブログの中に、英語で表示されたタクティカルセミナーという同名のホームページのリンクを発見しました。
「あれ?これ外国のタクトレの日本支社だったの?」
そう読み取れるリンクの誘導、内容の記事があります。
外国の本家ホームページを見ると、徒手による戦い方、セルフディフェンスに必要なハンドガンの使い方及び分隊での戦闘まで幅広くしっかりと教えていて、更に通販までしています。
リンク先の動画サイトでも、かなりしっかりとした訓練をしていました。
そこでタクティカルセミナージャパンのブログにあった私書箱から、Gmailで以下の内容で質問をしました。
「タクティカルセミナージャパンは、外国のタクティカルセミナーの日本支店なのでしょうか?どのような関係ですか?」
その日の内にメールが返ってきたのですが
その答えに正直驚きを隠せませんでした。
「講師は外国のタクティカルセミナーを受講した人ですが、タクティカルセミナージャパンは任意団体です」
…は?
任意団体とは仲間等が集まってつくる団体で法人でないもの
つまりどこかのサークルが勝手にタクティカルセミナーを名乗っているだけだったのです。
さすがに本当かどうか、そのメールだけでは根拠として足りなかったので、本家にメールを送り確認した結果…
外国でやっている本物のタクティカルセミナーとは全く無関係の連中でした。
結論は偽物です。
外国人講師の正体は?
結果的に分かりませんでした。
本家の方に質問をしても「誰それ?」といった返事だったので、本当に無関係だったと思います。
実際に講師が名乗っていた通称も本当の名前ではなく、一切その軍歴を確かめる術がないからです。
後日、そのブログに掲載されていた現役時代の外国人講師の写真を、軍装に詳しい仲間に見せた所、以外な答えが返ってきました。
「この人物はエアソフターではないか?色々な写真と比べて見ると、この人物が所属していたと自称する年代以降の装備が写っている。それにこの写真を撮影した場所がどこか分からないが使用例が他の写真と合致しない」
詳しい部分はここでは記述しませんが、軍装が好きで研究しているサバゲ仲間の見解は「限りなく※エアソフターっぽい」でした。
※海外のサバイバルゲーム愛好家の総称
自分を誘った現役自衛官のH氏の見解は
「恐らく兵士だった事は本当だと思う、動きが全くの素人ではなかった。しかし本当に特殊部隊の隊員だったかは疑問、もしかしたら特殊部隊になる課程で脱落した人間か、もしくは特殊部隊でも戦闘ではなく支援する機能や本部で勤務する隊員だったのかもしれない。例えると自衛隊を戦闘職種以外の部隊にいた陸士が、辞めてもネット上では口だけは大きな事が言えたり、知らないマニアに経歴を偽ってタクトレやってもバレないかもしれない、それが外国人ならなおの事」
との事でした。
ここからは推測です。
確かにその外国人講師は軍歴があったかもしれません。
しかし当該セミナーの謳い文句のように外国軍特殊部隊の隊員として活動していた訳ではなく、途中訓練を脱落した隊員か、確かに特殊部隊には所属していたけど後方支援や本部要員であった。(特殊部隊に所属はしていても特殊作戦従事者ではなかった。)
それがその経歴を確かめようがない日本で商売の為に講師をしていた。
若しくはそれこそ外国でタクトレを受けたか、何かしらの軍事組織を退役した元兵士が経歴を確かめようのない日本で経歴を偽って講師をしていた。
それのどちらかではないかと今でも思っています。
日本人講師の正体
じゃあ一緒にいた日本人講師は何者だったのか、それは意外な形で判明します。
その2年後、某イベントに参加した際に講師の内一人を発見しました。(女の方はいなかった)
講師は普通にサバイバルゲーマーとして参加していました。
なんと、その正体は某フィールドの常連で彼等は単なるサバゲチームの集まりだったのです。
タクティカルセミナージャパンの正体
イベントに参加した講師が誰と話しているか、どこのフィールドに表れているか、それを糸口にイベント後に聞き込みとSNS等から調査をすると判明した事実は以下の通りでした。
とあるフィールドの常連であるサバイバルゲームの同好会が「自分達はサバイバルゲームが強い!ならばタクトレを開催して有名になろう!お小遣いも稼いじゃおう!」と企み、その途上で(もしかしたら最初かも)経歴が確かめようがない外国人を仲間に、外国のタクティカルトレーニングのセミナー名を名乗って勝手にセミナーを開催していたのです。
(日本人講師は外国のタクティカルセミナーで受講して本家の許可を取っていると自称していました。)
一回の参加費8000円です。
フィールドの貸し切り料金が10名で3万円、11名から3000円追加と当時のフィールド貸し切りの相場から考えると、15名参加で12万円、貸し切り料金を差し引いて75000円
講師自身の移動や食事に必要な経費を差し引いて
3人の講師で分配したら…
セミナーは月何回か行われていました。
ざっくり計算すれば、月3回やったとしても個人の利益は10万円いくかいかないか。
収入としては少なくて、お小遣い稼ぎの副業としては十分な額ですね。
そもそも1人8,000円、フィールドの使用料除いた5,000円でタクトレ出来るなんて格安過ぎます。
そんなに知識と技術は安くないのです。
いつまで彼等が活動し、最後はいつ頃なのか、そこまでは追跡調査していないので分かりませんが彼等が活動していた間、得体の知れない誰かに参加者はずっと養分を貢ぎ続けた事になります。
最後に
これは事実にかなりフィクションを交えています。
当然、セミナー名も、登場人物も全てフィクションです。
今、そのセミナーは開催されていませんし、講師達のその後も分かりません。
現実は偽者だった彼等は、もっと狡猾に活動をして利益を得ていました。
彼等に知ってか知らずか協力していた人達もいました。
構図は昔、某アフリカで自称傭兵でしたと経歴詐称していた人と変わりはありません。
ただ巧妙な手口と"軍の秘密"という言葉と確かめようがない経歴を真実味があるように協力者が持ち上げていただけです。
世の中には色々な人がいます。
ミリタリーの世界にも色々な人がいます。
良い人もいれば悪い人もいるでしょう。
しかし僕は、タクティカルトレーニングやサバイバルゲームという狭い世界の中で、平気で人を騙して養分に出来る人達がいる事に、人の悪意と自己顕示欲の恐ろしさを感じずにはいられないのです。
次はタクティカルトレーニングとの上手な付き合い方、心構えについて記述します!