電源喪失
あの十五分間の事。
おそらくわたしは狂ったのだと思う。
一通の、512バイトに満たないメールにより易々と喚起された、
吊しの狂気。
十五分間のループの間、身体は固化し、音は消え、体温を失った。
無限ループを抱えたまま、レンゴクの手前だったのかも知れない
カンダタの糸か、天使の矢線か、
ナノミクロンの一筋に吊られた身体は、
樫ノ木モックの様に、直立歩行で歩き出す。
いつの間にか手にした曖昧で急拵えの顔を装備して、
善後策を伺い立てる。
後ろ手のスピアを隠しつつ。
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