kotatsu

不可思議な世界をとても短いストーリーで紡いでゆきます そこには戸惑いがあり、怪異があり、希望があります どうぞご笑覧ください

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    超短編集の第1弾になります

  • essay

    小説では書けない思いなどを記していきます

最近の記事

Sの驕り

くだんの店に入ってからも違和感は拭えなかった。 Sの様子はというと、生ビールの注文を済ませるなり、例の”おねいさん”を引き留めて本気で誘惑しているように見える。 評判の映画『スペンサー・オーラムの厄災』に誘っている。 どこか垢抜けない若い女店員も満更でもないような、それでいて抜け目のないような目でSを見ている。 値踏みをしているようだが、もうひと押しかもしれない。 Sの身長が伸びて、生前は、むしろ甲高いほうの声だったのに、やや低めの声になったことについては、納得はいかな

    • FLOWER

      疲れているのに? わたしの問いには応えず、ふいに訪れたあなたは、わたしを覆いはじめる。 (見えない) ふと、感じる怖れは、どこから来るのだろうか? あなたから? それとも、わたしも知らないわたしの中から? わたしはあなたを見ているのに、わたしはあなたに視られていない。 応えてしまうわたしの欲しいものは、何だろう。 苦しそうなあなたを感じたいのかも知れない。 (わたしのために苦しんで欲しい) 剥き出しの身体は、決して交わらないし、あなたを救うことなど。 わた

      • ラブレター

        廃屋で紙魚(シミ)に喰われ、 朽ちて行く、 百五十年周期の行幸だったのかもしれない、 手渡された恋文。 上手くいく筈もなく、 生まれなかった、夢で会った息子のため息を 思い浮かべ、 (赦しを乞うだけ) 駅舎のベンチで、 背筋を伸ばして座る、 バトミントンラケットを持つ君に。 #現代詩 #ラブレター #恋文

        • +11

          「夢の世界の中 人は雄弁に語る」展に行って来ました

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          17本
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          17本

        記事

          席も立てず 言葉も出せず 黒の中 見つめるだけの その男(ひと)を棄てる #短歌 #現代短歌 #不穏な短歌

          席も立てず 言葉も出せず 黒の中 見つめるだけの その男(ひと)を棄てる #短歌 #現代短歌 #不穏な短歌

          二十歳のときのわたしもそこにいました。いつも一人でした。 二十世紀の街角で|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/ndfcea3e4eb66

          二十歳のときのわたしもそこにいました。いつも一人でした。 二十世紀の街角で|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/ndfcea3e4eb66

          【犬の夢】 ごろんと横になると、その犬が寄ってきて、ごろんとなる わたしは、となりの部屋の女のひとが寂しそうに見えたので、犬に命じて、女のひとの側でごろんとさせる #犬夢

          【犬の夢】 ごろんと横になると、その犬が寄ってきて、ごろんとなる わたしは、となりの部屋の女のひとが寂しそうに見えたので、犬に命じて、女のひとの側でごろんとさせる #犬夢

          人とアンドロイドの境界が無くなる日が来ると思う 優しいアンドロイド|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/n58221072a2d1

          人とアンドロイドの境界が無くなる日が来ると思う 優しいアンドロイド|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/n58221072a2d1

          次々と沸き上がる夏雲は 君の憤怒か吾の疑念か

          次々と沸き上がる夏雲は 君の憤怒か吾の疑念か

          クリスマス・キャロル

          幼い頃、サンタ・クロースの"存在"を知ったわたしは、毎年毎年、プレゼントが届くことを待っていました。でも、わたしにプレゼントが届くことは無かったのです。一度たりとも届くことはありませんでした。 小学校五年生の時です。 仲の良い友達からクリスマス・パーティーの誘いを受けました。近所の書店の外壁に教会のクリスマス・パーティーのポスターが貼ってあるのを見て、楽しそうだから一緒に行って見ないかという誘いだったのです。 学校の帰り道に、書店に立ち寄って、そのポスターを見ました。主

          クリスマス・キャロル

          その女(ひと)は 一昨日のことのように 言った 十七年前です 行き違ったのはと

          その女(ひと)は 一昨日のことのように 言った 十七年前です 行き違ったのはと

          任解かれ 辺境堕ちし 我ひとり アルファケンタウリ 遥かなり

          任解かれ 辺境堕ちし 我ひとり アルファケンタウリ 遥かなり

          ゆるゆると 始まる子らの 運動会 百年見よう 草の葉陰で

          ゆるゆると 始まる子らの 運動会 百年見よう 草の葉陰で

          昨夜、仕事中に、娘にLINEで「明日はピアノある?」と聞くと、「音楽フェスティバルの日だけど」との返事。 レッスンが無ければ少し寝坊したかったのですが…… 小学校の合唱部に入っている娘が出演する音楽フェスティバルのことは失念していました。フェスティバルとピアノのレッスンの時間が被るために、ピアノのレッスンの開始時間を、いつもより30分遅くして貰っていたのです。 つまりフェスティバルに行って、終わったら娘を引き取り、ピアノのレッスン場所に連れていくという動きです。あまり寝坊

          Lost at the Bottom of the Sea

          涼子さんがベルギー(なぜ!)のレーベルで出している曲のリンクです。 ピアノ、アレンジ、音質最高です。 是非聴いてみてください。 スマホのスピーカーでは良さが生かしきれないので、イヤホーンや外部スピーカーで聴くことをお薦めします。 ページの下の方に 『And on Bandcamp:』と表示されているところのすぐ下の横長の四角い枠のプレイをクリックしてください。ヘッダー画像参照。 これが高音質かつフルバージョンのものです。 http://off-recordlabel.blo

          Lost at the Bottom of the Sea

          ルーベンス展に二度行った話(下)

          ルーベンス展に二度行った話(上)の続きになります。 2018年10月27日(日) 上野駅で朝蕎麦を食べ、国立西洋美術館に着いたのは、開館の9時30分を少し過ぎた時間でした。(GoogleMapの罠にはまり、一度公園口を出て、再度駅に入り、蕎麦を食べて駅を出るときに改札でエラーを出すという不審行動のことは語りません) チケット売り場は混んでいます。 朝一番の空いている時間を狙って来た人が多数いるということです。わたしもその中のひとりなのですが、チケット売り場には並びません

          ルーベンス展に二度行った話(下)