異性へのあこがれを、美しき狂気にて。

人はなりたくてもなれないもの、
手が届きそうで届かないものへの
あこがれは絶えず、捨てきれない。

わたしは女である。
女性であるからには男性にあこがれる。

わたしは強くなりたかった。
精神だけは、人一倍強く鍛えたが、
身体を変えることはできず、
未だに女性である。
(与えられた性は基本、死ぬまで変わらない)

そんなわたしが
「男性になりたい」
そのように思うようになったのは、
存外、最近のことかもしれない。

とはいえ、わたしは同性愛者でなく、
性転換がしたいわけでもない。
本気で男性の性になりたいのではないようだ。

男性へのあこがれは単なる
「ないものねだり」といった所だ。
わたしの戯言だと思って聞いて欲しい。

まず第一に、
わたしの人生は、男性に囲まれている。

親は離婚し、母親がいなくなり、
家には父と弟とわたしだけになった。

いとこもわたし以外全員が男だった。
父は男兄弟、
今はいなくなってしまった母には兄が一人。
男男男、男ばかりの家系だ。

大学に入っても、
男とばかりつるむようになった。

男性顔負けの鉄道旅をする人間として、
10kgの重り(バックパック)を背負って、
休みがあれば旅する旅する。

ならば、なぜわたしは男性でないのか?

残念なことに、
女性でよかったと本気で思えたことはない。
というより、女性であるおかげで
困ったことがあるのだ。

先程も述べたように、
わたしは強くなりたいのだが、
身体はどう見ても男性より小さく弱々しく、
筋肉もなく、体力もない。

月経もあるため、
1ヶ月の中でホルモンバランスが変わり、
実際に比較することはできないが、
おそらく男性に比べたら
安定的なパフォーマンスを出し難いのである。

しかも、わたしの憧れのバンドマンは、
みんな男性だし、
世の中を見渡せば、
ビジネスで成功しているのは、
男性の方が圧倒的に多い。

非常に面白くない。
女性として面白くない。

これは、決して男女差別ではなく、
単なる私見であるが、
男性と女性、どちらが強い立場かと言えば、
男性の方が強いのである。

肉体面に限った話になりそうだが、
現実は肉体重視である。
現実世界で強いのはやはり男性だ。

一方、女性であるわたしは、
男性に笑顔で接すれば、
こっちはそのようなつもりがなくても、
色眼鏡で見られ、
もうそれは大人なので
仕方がないこととは思うが、
あんまりいい気はしない。

わたしは同じ人間として話したいのである。

見かけはのろまのドジっ子女(24才)だが、
内面は案外、冷静なのだ。

男性には興味津々だが、
「どんな人間なのか?」といった具合で、
女として、というよりは、
人として興味があるのであって、
すぐさま色恋に走る気はないのである。
(誰か分かってくれ!!!)

世間一般で、身体を売らぬ女などは、
男にとっては本当に面倒だろう。
女は身体を売ってなんぼなんだろう。どうせ。

だが、女性諸君、負けてはならぬ(!)
女性一同、個の考えを貫き通すのだ(!)

とまあ、話が暴走した。

しかし、わかる。
女性と男性は違う。
確実に違う生き物である。
だからこそ、面白いとわたしは思う。

そこには男女間の対立などもはや微塵もない。
尊敬と、感心の気持ちである。

ああ、わたしだって
男性のようにカッコよくなりたい。

何度だって言ってやる。
男性のように、スマートで、
まっすぐで、硬派な瞳を持ちたい。
ああ、カッコよくなりたい。
喉から手が出るほどのあこがれである。
(もはや、狂気の沙汰だ)

そんなことばかり言っていると、
「男だっていろいろ大変なんだよ!(怒)」
と言われかねないが、どうか許して欲しい。

繰り返すが、
これは単なるわたしの戯言なのだ。

女性でよかった、
と思えることが増えたらいいな、
なんて、また夢うつつで生きるのである。

少なくとも、この精神のまま男性になっては、
さらに生きづらいことだろう。

わたしよりももっと
苦労している人だっているはずだと、

悟りのムードにて、
今日も女性の顔で、鏡の前に立つ。

せめて街を歩くときくらいは
いい気分でいようではないか。

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