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Linkin Park 2nd "Meteora" 2003年…いつの間にかCD1000枚近く集まってしまったのでお気に入りのレビュー残しておく

驚異の売上を叩き出したデビュー作を更にピカピカに磨いた生乾き臭ゼロ系歌モノラップメタル踏襲という第1印象、ヘヴィギターとデジタル混在のリズムとラップとメロディというサウンド要素、メロディックラップメタル曲からバラード調からDJインスト挟むという曲のバラエティも前作とほぼ同じながら、前作より更に大泣き要素大盛りメロディが終始響き渡り、サウンドもより洗練され余計な遊びや曖昧な音は排除し徹底的なプロデュースを追求、ロック然と弾ける所とじっくり聴かせる所との起伏はよりダイナミックになり、よって全体的にスケールアップして前作で感じた線の細さや迫力不足を改善してここにニューメタルの完成形誕生

からの早くもラップ無しのエレクトロな曲を披露するなど既に一介のニューメタルバンドでなく音楽芸術表現チームとしての道を歩み始めているのもまた眼福

前作に引き続きスプレーアートがテーマのジャケデザイン

"Meteora"とはギリシャの世界遺産、世間からあえて孤立を
選んだかのような断崖絶壁の上に建っている修道院の名前で、
彼らはニューメタル界のリーディングバンドという肩書きでなく
孤高で独自の音楽創作チームとして評価されたいという意思の暗示か


1.Foreword ★
10秒程度で終わる、次の曲のエンジン始動的なイントロ曲

2.Don't Stay ★★★★
ギターはかなり分厚くドラムもリズムマシンも重心低めながらひんやり冷静沈着にトラックを刻み、そんな中チェスターの熱い歌メロとシャウトが有機的に渦を巻く冷熱食感

3.Somewhere I Belong ★★★★★
ニューメタル時代最高最強のキラーチューン、ニューメタルの最高到達地点がここに爆誕
ブラッドのギターサウンドやジョーのスクラッチが儚さと重厚さを使い分けて壮大なサウンドを構築、クールながら感情滲み出るマイクのラップに対して感情を抑えようとも抑えきれずエモ泣き溢れる最強メロディをチェスターが歌い上げ、全てが完璧に統制され構築された非の打ち所が無い完全名曲


某機動戦士 のフィギュアが"Somewhere I Belong" のMVに登場
監督を務めたジョーがファンらしい

4.Lying From You ★★★★
バイオリンなどストリングスのサンプリングも彼らの得意技の1つで、どこかエキゾチックでアジアンなテイストが良い風味となっているが、もちろんやり過ぎることは無くサビの印象的なメロディ聴けば相変わらずのリンキンクオリティ

5.Hit The Floor ★★★
ちょい悪で不穏な雰囲気のラップメタル、マイクの低音ラップとチェスターのシャウトでぐっと攻めの姿勢を見せて刺々しさを感じる曲

6.Easier to Run ★★★★★
前作の"Crawling" 枠、バラード調の壮大で悲しみ溢れるメロディ炸裂で確かに"Crawlingと同じ曲調・曲構成ながらメロディは実に丁寧に練られていて素晴らしいし、チェスターの声で歌われたらそりゃ許しちゃうし、対照的に機械的でクールなマイクの煽りラップもまたカッコいい

7.Faint ★★★★★
ライブで大人気の名曲にしてシンプルにカッコいいとはこのこと、コード進行は1パターン、特徴的なアジアンテイストのバイオリンの旋律も1パターンを終始繰り返し、ボーカルもハイなラップパートとエモな歌メロパートの掛け合いという潔いミニマム構成で2分で駆け抜けるアッパーチューン、サビさえもメロディがたった2〜3音というある意味パンク
ブラッドの、テンポ倍にしてみたら?の一言でここまでバンドの代表曲になるとは嬉しい計算外


ヘッドホンがトレードマークのギタリスト、ブラッド・デルソン
この手のバンドのギタリストって目立ちたがり屋多いが
ブラッドはどちらかというと謙虚で裏方職人気質
("Numb" MVより)


8.Figure.09 ★★★
不穏な旋律のギターリフでアグレッシブなラップメタルの側面も忘れず表現しており美メロ泣きメロ多めの今作においてちょい強めのキャラを演出

9.Breaking the Habit ★★★★★
バラードとしてもきっと名曲になるであろう胸熱エモメロディをチェスターが機械的なエレクトロサウンドの中で熱唱し駆け抜ける新機軸の曲、タイトルどおり「習慣を壊せ」
マイクがバンド結成当初から暖めてきた曲とのことだが、そのマイク自身のラップは登場せず、マイクにしたらこの曲を歌えるシンガーを探してチェスターに辿り着いたと思わせる程の比類なきメロディの美しさに加え、サウンドもロックバンド感が希薄でエレクトロサウンドのみで構成されている点も大きな特徴であり、メンバー全員が別にバンド形態を前提とせず曲のクオリティ獲得に比重があることが分かる


"Breaking the Habit" はMVも全編アニメーションという新機軸
日本のアニメ製作会社GONZO作
ちなみに彼らは2002年に"Reanimation" という
1stのリミックス作品を発表している

10.From The Inside ★★★★★
チェスターの伸びのある歌声が素晴らしい、悲しみ溢れる美メロで聴かせるシリアス系ヘヴィバラード
実はよく聴くとサビのコード進行が7曲目と同じだが、リズムパターンと歌メロが違うから全く既視感は無くそれだけ必殺決め球メロディど真ん中での勝負に自信があることの裏返しか
またMVが暴動や混乱を表現した殺伐としたものとなっており、この世界観が次作で大きく膨らむことに

11.Nobody's Listening ★★★
ヒップホップのメソッドにかなり寄せた曲で、マイクのクールなラップを思う存分堪能しつつ、日本の尺八をサンプリングした緻密で丁寧なサウンドもまたかっこよい
どうしてもこのバンドはチェスターの歌唱メインのイメージに行きそうなところマイクもまたしっかり下地のあるプロのラッパーというのを再認識させる

12.Session ★★★
前作に引き続き登場したDJハーンによるインスト曲で、インダストリアルなリズムと不穏な雰囲気漂うサウンドはまあ確かにかっこいい

13.Numb ★★★★★
全世界が泣いた稀代の泣きメロ名曲、Spotify13億回再生の実績は伊達ではない
ここまで散々哀愁泣きメロ浴びせてきてラストでこの追い打ちしてくるあたりはやはり聴かせ方が巧みで、前作もラストの"Pushing Me Away"が大泣き大増量だったという類似手法ながらも圧倒的なクオリティで捻じ伏せる泣き落とす
こういう泣けるメロディは本当にチェスターの歌唱がビタビタにハマる


番外編.Lost ★★★★★
当アルバム発売20周年を迎えた2023年に当時の録音未発表曲として公開された曲にして、何故当時アルバムに収めなかったのかと疑問に思うこと請け合いの、打ち込みのクールなリズムサウンドの中で哀愁満載のメロディをチェスターが朗々と歌うリンキンのメロディセンスを抜群に発揮した曲
マイクのラップパートが無いので"Breaking the Habit" との被りを避けたのか、いや何にしても良質メロディ炸裂なのよ



あとがき:
このLinkin Parkと同時期に売れたPapa RoachやP.O.D、Pleymo等もラップメタル始まりの歌メロ取り入れでブレイクしたり、いかにもKornフォロワーなクセとハネのある作風で活動していたStainedやTaproot等もより普遍的なメロディを導入したり、更にはDisturbedやDrowning Poolはオールドスクールなヘヴィメタル回帰を思わせる熱い歌唱とサウンド、そして一世代前のグランジ的音楽をニューに進化させたPuddle of MuddやGodsmackなど、ニューメタルってジャンルは分裂と融合を繰り返して何がニューなのかいつまでニューなのか分からんくなっていくのだが、彼らLinkin Parkも良質メロディを軸にどんどん音楽性を変化させていくことに



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