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Linkin Park 7th "One More Light" 2017年…いつの間にかCD1000枚近く集まってしまったのでお気に入りのレビュー残しておく

その後にやってくる余りにも悲しすぎる出来事から今となっては鎮魂歌に思えるほど美しく柔和で穏やかなメロディに満ちていて、そりゃリンキンと言えば美メロ泣きメロずっと最高やったやんやけど今作品は特段丁寧にメロディ磨いた純度高めの歌モノアルバムであり、前作が自分たちのクソガキ感をあえて剥き出しにしたアグレッシブサイドだとしたら今作は純粋にメロディを深く柔らかく調律したチルサイドとして対を成すかの如くヘヴィロックサウンドやシャウトなどの刺々しいエモ要素は排除されたメロウでメランコリックな世界、ダブやR&B系統のスローでファットなビートに肩を預けたサウンドの中でチェスターの極上の歌声を思う存分堪能できるんだが、どこかいつもの熱量高めの歌声でなく、感情を絞り出すような、感情が届きそうで届かないような哀愁たゆたう歌声は、既に彼の計り知れない苦悩に押し潰されていた境地の吐露だったのだろうか…RIP


子どもたちが海辺で遊ぶ写真によるジャケット
このデザインからして激しいヘヴィロックサウンドは想像できない
なおメンバーの友人の子どもさんらしい

1. Nobody Can Save Me ★★★★★
優しい・柔和・穏やか…こんなメジャーでチル方面なリンキンは初めてだが、丁寧で美しいメロディと歌声は紛れもなくリンキンであり強弱をしっかり感じさせるリズムサウンドと太めのベースで全体を膨張させつつ、対照的に柔らかくピースフルな歌メロをチェスターがスケール大きめの歌声で届けてくれるスタイルはこのアルバムで一貫

2. Good Goodbye (feat. Pusha T and Stormzy) ★★★★
メロディ重視の今作品の中で唯一ラップがガツガツ前に来る曲、マイク含む3人のラッパーによる煽りとチェスターによるシンプルながら哀愁漂う歌メロを折り重ねる

3. Talking to Myself ★★★★★
ギターサウンド多めでオルタナティブロックの風味を感じさせるパワフルな曲だが、やはりビートはきっちりしっかり響かせているしメロディも終始美しい曲線を表現


"Talking to Myself"のMVはツアー中の密着カメラ映像を編集したもの
熱を込めて歌っていたチェスター
放っとけばいつまでも歌っている、とのマイク談
("Talking to Myself"MVより)

4. Battle Symphony ★★★★★
1曲目と同系統の、チェスターの絞り出すような歌声が素晴らしいメロウで滑らかなメロディによるR&Bバラード系、いわゆるメタル由来のダイナミックでライブ感のあるヘヴィネスは無くゆったりとしながらめダブステップやR&B系のエッジを十分に効かせたビッグビートとベースが終始鳴っているから決して軽い感じはしない

5. Invisible ★★★
マイクがラップでなくポジティブでポップなメロディを歌唱、3枚目にもこんな感じのマイクがソロで歌う平和ソングがあったのでこの曲調ならチェスターでなくてマイクやろというバンド内でちゃんとバランスを意識共有しているんやろね

6. Heavy (feat. Kiiara)  ★★★★★
ゲストボーカルの歌い方からしてこのアルバムで最もR&Bに寄った曲で、それに付き合うチェスターも最初っからR&Bシンガーなんか思えるくらい上手くてリンキン知らない人が聴いたら普通にR&B系アメリカポップシーンの曲に聴こえるんちゃうかな

7. Sorry for Now ★★★
ツアーなど仕事で家にいることができずなかなか構ってやれなかった子どもに対する申し訳ない気持ちを歌った、ピースフルでポジティブなポップソングで、ニューメタルの最終形態なんて看板背負わされていた若き時代を経て彼らも人の親になるまで大人になったということか
マイクが歌メロでチェスターがラップという初期の頃とは逆のボーカルコンバートだが、彼らの創作活動においては過去のパターンなぞるなんぞ無意味な旨もうずっと実践しているわけで

8. Halfway Right ★★★★★
このアルバムで終始したR&B系バラード寄りの名曲で、おおらかながら哀愁味のあるサビのメロディが特に美しくチェスターがまたぐっと深みのあるトーンの歌声で思う存分このメロディを響かせることにより絶品なバラードに仕上がっていて、チェスターのシャウト混じりのぶっ飛ばすような歌い方もカッコいいがこういういかにもの歌モノ系を歌う時の情感しっかり染み込ませるような歌い方ができるのもやはりデビュー当初より凡百のロックシンガーとは趣が異なっていたということ

9. One More Light ★★★★★
涙無くしては聴けない極上の美しさ、極上の歌声によるチェスター生前最後の珠玉のバラード
美しさ・切なさ・儚さはリンキン史上最高、リンキンの美しさのみを丁寧に濾過したようなリズムレスで素朴とも言えるギターとピアノが漂う中チェスターの心の歌声が何処までも飛び渡る絶景
百万の星が煌めく夜空では君というたった1つの星の光は誰の目にも届かないって?大丈夫、僕はちゃんと見ているよ、という寂しくも暖かい歌詞は、亡くなったチェスターの親友(サウンドガーデンのクリス・コーネル?)へ向けたものとのことだが、この寂寞として悲哀に満ちた世界は、このアルバム発売後数ヶ月で訪れる悲劇も含めてチェスター自身のことを歌っているようにも聞こえる…

10. Sharp Edges ★★★
ラテン調のギターとレイドバックしたパーカッションのサウンドがこのアルバムではやや異色のラストチューンだが、こういう切ないメロディはリンキンそしてチェスター得意の歌

ライブ中も積極的にファンとの接触を行なったチェスター
("One More Light"MVより)
10代の頃からドラッグやアルコール問題と闘ってきた男は、
今度はその歌声で世界中の多くの人々を救ってきた
ステージ降りればただの普通の青年
("One More Light"MVより)
自虐的とも読める苦しく悲しい歌詞は彼の暗い過去が源泉だった
Linkin Parkで歌っている時くらいは苦しい過去と現実忘れて
未来への希望を得られていたのだろうか
("One More Light"MVより)
安らかに眠ることを祈念する


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