コタロウ

子供の成長を見逃さないために脱サラした、フリーランス作家のヤスカワコタロウです。読みやすくテンポの良い文章で、子育て、メンタルヘルス、家族と向き合う働き方をテーマにエッセイ小説を書いています。

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子供の成長を見逃さないために脱サラした、フリーランス作家のヤスカワコタロウです。読みやすくテンポの良い文章で、子育て、メンタルヘルス、家族と向き合う働き方をテーマにエッセイ小説を書いています。

マガジン

  • 無職のススメ、元社畜の育児日記

    子供の成長を見逃さないために脱サラした、フリーランス作家のヤスカワコタロウです。大学で経営学を学び、音楽活動や寿司職人としての経験を経て、表現方法を模索してきた集大成として、作家・ライターとして活動を開始。現在は子育てをしながらエッセイ小説を執筆しています。結婚後、家族との時間が取れずに働きすぎて体調を崩し、『子供の成長を見逃さない』というモットーを大切にしています。」今後は子育て、メンタルヘルス、家族と向き合う働き方をテーマに様々な分野で活躍したいと思っています。

  • カイケツAI

    悩める人々が訪れる謎の神社 そこに吊るされた絵馬の中にQRコードが書かれた絵馬がある そこ絵馬には「あなたの悩みが解決しますように」と書かれている 悩める人々がそのQRコードをスキャンするとカイケツAIというアプリがダウンロード そのアプリには個性豊かなキャラクターのAI AIが悩める人々の悩みを解決する

最近の記事

父ちゃん5日目〜辛い顔はしない、させない〜

**父ちゃん5日目(11月21日)** 心太朗は今日も、澄麗と健一とビデオ通話をしていた。澄麗が言うには、健一は病院でかなり人気者らしい。特に研修中の看護学生にとって、健一はまるで小さなヒーローのような存在らしい。澄麗はそんな話をする度に、心太朗に向かってニヤリとする。澄麗はそれをまるで大切な情報のように語るのだ。 「人生のモテ期って、三回しかないんだよね?」と澄麗が言うと、心太朗は思わず「それを今使ってどうすんだよ」とツッコむが、もちろん健一には届くはずもない。そんな健

    • 父ちゃん4日目〜「母には敵わない」父の愛の形〜

      **父ちゃん4日目(11月20日)** 心太朗は今日もソファにどっかりと腰を下ろし、スマホの画面を見つめながらニヤニヤしている。いや、ニヤニヤというよりも、もう少し気味の悪い、崇拝じみた微笑みだ。スクロールする指先は止まらず、画面には健一の写真や動画が次々と流れる。澄麗が送ってくれたものだ。溜まった動画フォルダの中で、健一が手足をバタつかせたり、不思議そうにカメラを見つめたりしている。心太朗の目は、無意識のうちにその画面に釘付けになり、やがて笑い声すら漏れそうになる。 「

      • 父ちゃん3日目〜すべての後悔が家族の幸せに変わる瞬間〜

        出産を終えた澄麗と健一は、これから5日間病院で過ごし、その後は3週間澄麗の実家へ。つまり、心太朗は今日から約1か月、無職のおっさんの一人暮らしを始めることになる。「こんなおっさんの一人暮らし日記、誰が読むんだ?」と思いつつも、筆を進めた。 心太朗が一人暮らしを再開するのは、実に久しぶりのことだった。病院から帰宅した昨晩、彼はしばらく興奮状態で眠れなかった。原因は明白だ。産まれたばかりの健一、その小さな命の瞬間を切り取った写真の数々。スマホの画面をスクロールしながら、ニヤニヤ

        • 父ちゃん2日目〜立ち会い出産を終えて〜

          **父ちゃん2日目(11月18日)** 分娩室は、まるで嵐が過ぎ去った後の静けさだった。ほんの数時間前までは、緊迫した空気が張り詰め、心太朗の頭の中もぐるぐると忙しく回転していたはずなのに、今はただ、淡い光に包まれた静謐な時間が流れている。 澄麗のお腹に守られていた健一は、この世で肺呼吸を始めてまだほんの1時間と少し。生まれたばかりの彼が、しゃっくりをし、くしゃみをし、あくびまでしている姿を目の当たりにしながら、心太朗は思わず「えらく器用に生きてるな」とつぶやいた。息をす

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        • 無職のススメ、元社畜の育児日記
          67本
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          4本

        記事

          読者の皆様へ

          まず初めに、こんな無職の男のダラダラした日記小説を読んでいただき、ありがとうございます!安川コタロウです。 退職してから約二ヶ月半、この日記小説を毎日更新してきたわけですが…。えぇ、これ、決して僕の「継続力」なんかではないんです。皆さんの反応があったから続けられました。というか、正直、継続力なんてものは、三日坊主で有名な僕にはないんです。これ、昔からですよ。何かを始めても、大体続かないタイプ。でも、この日記は続けて来れたんです。それは、発信しているから。日々の進捗が記録とし

          読者の皆様へ

          父ちゃん1日目〜立ち合い出産~

          **父ちゃん1日目(11月17日)** 待合室では、息を潜めるように沈黙が支配していた。 澄麗の母は介護のため帰宅し、心太朗は義父と二人きりになっていた。義父は気を遣ってたくさん話しかけてくれたが、会話の糸も次第に途切れ、互いに眠気と戦い始める。それでも寝るわけにはいかなかった。澄麗があの痛みに耐え、健一が必死に力を尽くしているのに、自分だけが安らかな眠りをむさぼることなど許されるはずがない。 時計は午前4時を回っていた。 「こんな時間になるとは思わなかったな…」心太朗は

          父ちゃん1日目〜立ち合い出産~

          無職77日目〜優しさが繋ぐ命の誕生〜

          **無職77日目(11月16日)** 心太朗が目を覚ましたのは、早い朝だった。昨夜、「いつ産まれてもいいように」と珍しく早寝したせいだろう。枕元の空気にはまだ夜の名残が漂っている。隣を見ると、澄麗が静かに目を開けていた。 「おはよう、早いね」と声をかけると、澄麗は顔を少ししかめて「お腹がちょっと痛くて」と返す。声は控えめだけど、その響きにはどこか確かなものが混ざっていた。心太朗の頭の中で「前駆陣痛」という単語がポンと浮かぶ。本番の前に起こる予行演習のような痛み。様子を見る

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          無職76日目〜出産に向けた妻の食への執着〜

          **無職76日目(11月15日)** 心太朗は、澄麗の最後の妊婦健診のため、朝もやの中で車に揺られていた。これが通院としては最後になるらしい。次に来るときは計画出産のために入院である。 澄麗は病院に着くなり、慣れた様子で診察室へ向かった。いつものことだ。心太朗はただの無力な付き添い人として、ロビーの一角で時間が過ぎるのを待つだけだ。だが、「待つこと」以上に自分を満たしてくれるものを見つけた。それが「日記小説」だった。 心太朗はカバンからスマホを取り出した。そのスマホのメ

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          無職75日目〜最後のデートと妻の涙〜

          **無職75日目(11月14日)** 心太朗は、朝目が覚めた瞬間、まだ夢の中にいるんじゃないかってくらい、頭が働かない。脳みそがまるでうどん粉みたいにベタベタで、どうにも形にならない。日記小説でも書いてみようか、と考えたけど、ペンを持つ気力さえ湧かない。朝ってのは、いつもこうだ。思い通りにならないものだらけだ。 隣から妻の澄麗が「運動したい」なんて言ってくる。心太朗は寝ぼけ眼で彼女の顔を見て、もう一度心の中でため息をつく。澄麗は、いつも元気で前向きだ。太陽のような彼女に比

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          無職74日目〜バカ丸出しで生きる〜

          **無職74日目(11月13日)** 心太朗は、今日はなんだか気分が沈んでいた。 「あ〜、なんか気分が上がらないなあ」と、つぶやきながらソファにぐでーっと横になった。これまで、彼は同じように気分が落ち込むたびに「これは絶対、人生の終わりだ!」と一人で劇的な思考に突っ走っていたが、さすがに最近は少し落ち着いてきた。少し前ほど、「自分はダメだ、何もできない」と打ちのめされることはなくなったのだ。 そんな彼の様子を見かねて、妻の澄麗が「心太朗、今日はゆっくり休んだら?」と優し

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          無職73日目〜育児も仕事も。二兎追って二兎を得る〜

          無職73日目(11月12日) 心太朗は窓の外を見つめ、深いため息をついた。家の中には静寂が漂い、ただ時計の針が小さな音を立てているだけだ。そろそろ息子の健一が産まれてくる頃だと思うと、胸の奥が高鳴る一方で、冷や汗も出てくる。父親としての喜びと、不安がごちゃ混ぜになったカクテルを一気に飲まされたような気分だ。 「…本当に俺、父親としてやっていけるのか?」と心太朗は自分に問いかけた。 まず問題は収入だ。今のところ蓄えはあるし、家賃やローンもないから支出は少ない。けれども、無

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          無職72日目〜常識に逆らった睡眠改善術〜

          **無職72日目(11月11日)** 心太朗はリモコンを握りしめ、TVerを開いた。テレビ画面には「上田と女が吠える夜」の文字が映し出され、番組の今回のテーマが目に入った。「睡眠に悩める女たちの悩みを一挙解決」って、なんとも壮大なテーマだ。まあ、心太朗自身も睡眠に関してはかなり悩まされた部類なので、これは興味深いと思い、早速チャンネルを合わせることにした。 その後、心太朗はX(旧Twitter)のタイムラインを見ていたところ、一人のフォロワーが悪夢に悩まされているという投

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          無職71日目〜転んでも守る、父の使命〜

          **無職71日目(11月10日)** 心太朗が目を覚ますと、そこには隣でぐっすりと眠る澄麗の姿があった。昨日は些細なことでケンカしたが、今や何事もなかったかのように仲良く戻っている。とはいえ、心太朗は何か大切なことを忘れている気がしてならない。今日は確か助産師に指導された「運動モード」に突入する日だったような…。 澄麗が一言、「山に登ろう」と提案してきた。臨月の妊婦が山登りなんて大丈夫なのかと一瞬不安がよぎるが、彼女の弟の奥さんも出産日の前日にもっと高い山に登ったと聞き、

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          無職70日目〜夫vs妻、赤子の仲裁〜

          **無職70日目(11月9日)** 心太朗は、いつものように澄麗と一緒に買い物に行く日だった。天気は曇りで、なんだか外に出る気も少し減るような空模様。でも、それでも澄麗とのお出かけだから、心太朗は気合いを入れて家を出た。寒さもなんのその、ブルゾンを着込んで、万全の体制を整えていた。 しかし、彼の隣を歩く澄麗は相変わらず半袖。心太朗はその姿を見て、暑がりだというのは分かっているが、こんな寒い日にも耐えられるのか?と思うと、やっぱり心配だ。 「寒くないの?」と心太朗が聞くと

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          無職69日目〜助産師の一喝〜

          **無職69日目(11月8日)** 心太朗は今日、妊婦健診のため病院に行く予定だった。順調にいけば、あと2回通院したら、ついに待望の息子とご対面だ。しかし、朝の6時に起きるのはちょっとハードルが高い。まあ、でも、妻のため、子供のため、そして自分のために、必死に目をこじ開ける。 「おいおい、6時って、俺にとってはまだ真夜中だろ…」と心の中でツッコミを入れながら、布団を引き剥がし、なんとか起き上がる。まだ体が寝ぼけてる感じだが、ここで寝過ごすわけにはいかない。 先週までは寝

          無職69日目〜助産師の一喝〜

          無職68日目〜君の名は?〜

          **無職68日目(11月7日)** 心太朗はここ2、3日、どうにか9時には起きている自分に驚いていた。彼にとって、朝の9時起きはなかなかに革新的な出来事で、これが昼夜逆転生活を送る夜型人間にとっては、まるで大きな進歩のように思える。しかも最近は、夜1時には寝れるようになったのだ。誰がそんな事を想像しただろうか。 「立ちっぱなし健康法」なるものを試し始めて、心太朗は自分の体調が少しずつ良くなっているのを感じていた。立ちっぱなしでいることで、朝から動き回るし、便秘も解消された

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