「JUNKHEAD」
昨年、コロナ禍の真っ只中にいて
外出を控えてくすぶっていた時期。
どうしても映画館で観たい映画と出会う。
タイトルは、「JUNKHEAD」
日本人の監督、堀貴秀監督が7年もの歳月を費やして作り上げたストップモーションアニメだという。
朝たまたま流れていた情報番組で紹介されたことで話題になり、私もその番組での作品紹介を見るまでJUNKHEADの存在を知らなかった。
私がストップモーションアニメ、ストップモーションムービーを初めて好きになったのは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」だ。
映画監督のティム・バートンがストップモーションクリエイターのヘンリー・セリックを直々に映画監督として選んだことで有名な作品で、
ハロウィーンの時期になると主役のジャックのグッズばかり見つけることが多々あるので、
ストーリーを知らなくてもキャラクターだけは知っている人も多いはずだ。
この作品が好き過ぎて買い漁った雑誌を今再び読み返してみると、
ストップモーションはたった数分のフィルムを製作するだけでも、パペットや背景などのアートからテクニック、情緒、全てにおいて並外れた技能と果てしない時間を要する、という説明がある。
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」では製作期間が2年、100人以上のフィルムアーティストが必要とされたという。
私が作品を知った時期にはすでに映画館での上映は終わった時期だったので、当時VHSを買って繰り返し繰り返し観た記憶がある。
人間が1コマ1コマ命を吹き込むパペットの動きは何とも言えない奇妙さで可愛いらしく、
観るたびに違うキャラクターの動きがツボにはまり毎回毎回ウズウズした。
ストップモーションは人間が作り上げる世界なのにもかかわらず、生身の人間が演じるには決して不可能な動きばかりなのだ。
「JUNKHEAD」の存在を知った時、私の脳内が沸騰し始めるのを感じた。
ストップモーションアニメで体感していたあのウズウズの感覚が体内に蘇ってきたのだ。
うわあ、ウズウズしたい!!!!!!!!
早速、最寄りの上映スケジュールを調べたところ、いちばんの最寄りが名古屋だった。
隣県なので電車で30分かからない最寄りではある。普段なら躊躇することなく出かけただろう。しかしながらコロナ禍にあり、県外に行くのをためらっていた時期。むむむ、どうしよう。
それから少しの日数が経ち、奇跡は起きる。
なんと車ですぐ行ける映画館での上映が決まったのだ。しかし上映スケジュールの期間は短い。そして平日昼間に1回のみのチャンス。
焦る気持ちを押し殺し、隠しきれないウズウズを詰め込みながら、平日の昼間に行けるタイミングを見つけると、私は1人で映画館へと向かったのだった。
観る前にJUNKHEADのパンフレットも購入した。映画を観る前に気持ちを高ぶらせながらパンフレットを買って胸元に抱える行為もなんだか久しぶりで嬉しかった。
私は時々旦那さまと映画鑑賞をすることがあるが、今回ばかりは1人で観に来たい理由があった。
私にとってのストップモーションアニメは、
1人で世界に没頭して観たいものなのだ。
一緒に観に行った人と観終わってからの会話であーだこーだと批評し合うのも絶対にしたくないし、もっと言うと観終わった後に余韻に浸っている間は会話すらしたくない。
以前「フランケンウィニー」というストップモーションアニメが観たくて旦那さまを誘ったことがあるが、
高揚して観ている自分の横でうとうとする旦那さまの姿があった。笑。
自分の価値観だけで自分の視界の中だけで観たい。それがストップモーションアニメなのだ。
その日映画館に集まっていた同志は、10人いないぐらいだっただろうか。
同じ空間で、それぞれの解釈でJUNKHEADの世界を満喫したはずだ。
私も私の解釈でJUNKHEADの世界に没頭し、心から満喫した。興奮気味にウズウズで頭を沸騰させながら帰路に着いた。
今年に入るとJUNKHEADはAmazonプライムで観放題になり、私も久しぶりに家にいながらJUNKHEADのウズウズを再び体感した。
観放題を何度か観終わって改めて解ったのは、JUNKHEADの字幕の秀逸さだ。
私はnoteに何度か書いたように、耳の持病で聴力が低く、セリフが聞き取りにくいことも少なくない。
邦画を観る際には字幕が無いので、いちばん肝心なセリフが聞き取れないという残念なことが実はよくある。
JUNKHEADはJUNKHEAD言語なのだが、本当に素晴らしいタイミングで日本語字幕が記される。この字幕があるからこそ作品の世界に没頭して作品を楽しめる自分がいる。
アートワークなどと同様に、字幕の細部に至るまで作者が妥協無く作り上げたに違いない。
SNSでBlu-rayも発売されたと知り、迷うこと無く早速購入した。さらにもう少し先にはメイキング完全版も発売予定でこちらもすでに予約済みである。
パンフレットが手元にある満足から買っていなかったアートブックだが、最近になって最寄りの書店で取り扱いが始まり、購入しない選択肢は無くなった。パンフレットと並んで大切な宝物が本棚に増えた。
毎日が億劫でどこか不貞腐れたような、
ズンと背中にのしかかる重々しい空気。
コロナ禍を理由にして、コロナ禍を言い訳にして、
マスクの中に我慢ばかりを詰め込む世界。正直、しんどい。
私はこの世界の救世主は堀貴秀かもしれないな
。。。なんて思ったりしている。
そんな気がしてならない。
いや、気のせいかもしれない。笑。
実は、JUNKHEADは3部作だという。
JUNKHEADの行く先を見届けたいから、
マジで毎日を生きていこうと思うよね。