【もう物は捨てない】アムステルダム発祥のリペアカフェ文化から見るこれからの時代の買い物方法
こんにちは。
音楽家のこうたろうです。
本日はコラム記事。
アムステルダム発祥のリペアカフェ文化についてシェアしていきます。
モノというテーマでいうと、昨今ではミニマリズムなどがブームになったりしていましたし、筆者も一時はミニマリストでした。
もっともモノが少ない時で、この写真に写っているもの+商売道具+浴衣が3セット+ダウンジャケットのみが持ち物でした。
現在はここまで激しくないですが、それでもどちらかといえば、ミニマリストな部類です。
本日はミニマリズムとは真逆になるかもしれないですし、一部感覚としてはシェアできる面もあるリペア。
モノを大切にするという点において、また一点豪華主義という点においては同じかもしれません。
リペアカフェのはじまり
“サーキュラーエコノミー大国”として名高いオランダ。
世界ではじめてが多いオランダですが、特に意識が高いことで有名です。
例えば、2010年代後半からはオランダの電車はすべて風力発電のみで動くようになったとか。
オランダをはじめとした北欧ではこれらサーキュラーエコノミー意識が高い傾向があります。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の大国として、他にもいくつかの国が特に注目されています。
それらの国は、資源を効率的に活用し、廃棄物を最小限に抑えながら持続可能な経済成長を実現するためのモデルを構築しています。
以下に代表的な例を挙げます。
オランダ
特徴:
サーキュラーエコノミー推進の世界的リーダー。
政府が「2050年までに完全な循環型経済の実現」を目標に掲げており、具体的なロードマップを発表しています。
廃棄物ゼロを目指し、建設業や農業でリサイクル材の利用を拡大。
リペアカフェの発祥地であり、修理文化が浸透。
取り組み例:
「リサイクルハブ」としてのアムステルダム。
自転車利用の推進で環境負荷を軽減。
スウェーデン
特徴:
廃棄物の99%以上をリサイクルやエネルギーに再利用。
サーキュラーエコノミーを加速させるため、リサイクル製品に対する税制優遇を実施。
企業や消費者の意識が高く、製品の修理や再利用が一般的。
取り組み例:
「リペア税控除」の導入で、修理サービスの利用促進。
バイオエネルギーやリサイクル技術の研究開発。
フィンランド
特徴:
サーキュラーエコノミーを国家戦略に掲げる初の国。
環境技術や資源管理で先進的な企業が多い。
教育分野でも持続可能な社会を目指したカリキュラムを導入。
取り組み例:
資源のリユースをテーマにしたスタートアップの支援。
廃棄物ゼロの循環型ビジネスモデルを実践。
アムステルダムのリペアカフェ
東京23区の約3分の1の面積となるオランダ・アムステルダム市内だけでも約40~50のリペアカフェが存在しています。
オランダ全土でみると実に500カ所以上にもなるそうで、いかにリペアが日常に浸透しているかがうかがえますよね。
2024年7月には、消費者が製品の修理をより容易にすることを目的とした「製品の修理を促進する共通指令」が欧州で発行。
大量消費社会がもたらす廃棄物問題や資源の浪費を抑えるため、EUは循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行を強化しています。
製品が壊れた際、消費者が修理を選択することは環境負荷を減らし、持続可能な消費を促進する重要な行動です。
いいものを長く使う贅沢
ここはミニマリズムと通じるものがあるでしょう。
モノを所有するということは本来とても幸せなことでした。
日常のあらゆるものがデジタル化し、私たちは所有感という満たされた心を忘れてしまっていますし、そもそも所有感という感覚を知らない世代もこれからどんどん誕生してくるでしょう。
サーキュラーエコノミーはデジタル化社会のなかでの所有感を感じさせてくれる素晴らしい文化であると言えます。
大量消費社会がもたらす影響
大量消費社会では、製品が短期間で使い捨てられることが常態化しています。
現在でもこの問題は世界各国で起こっているのではないでしょうか。
某大手通販サイトなどでも、不良品が届いた場合、返送用の送料の方がもったいないと、消費者に破棄してもらうようにオペレーターは促しています。
一日の返品(これはつまり破棄されるわけですが)の量もすさまじい量であるとドキュメンタリー映画が製作されたほど。
筆者もミニマリスト生活をする過程でたくさんのモノを捨ててきました。
現在では燃えないゴミで捨てるものはほとんどありません。
一つ一つのモノを厳選し、購入の際には値段ではなくモノの価値そのものの本質を考えて購入しています。
100円で大量に買えるボールペンですが、5万円の万年筆を使っています。
これはおそらく孫の代まで受け継がせていけるものでしょう。
他にも日本音楽を演奏しますが、龍笛や笙などもはや価格がつけられないほどの一級品を使用しています。
メンテナンスをすれば孫の代どころか、数百年も使い続けられるでしょう。
PCのキーボードも、一生モノと言われるHHKBを使っています。
これらのモノは、一見贅沢をしているように見えますが、例えばHHKBを購入する前は、やはり2~3年ほどでどこかにガタがきます。
3000円のキーボードを何度も買い替えるよりもHHKBを思い切って購入した方が生産性も上がるわけです。
いいものを長く使う。
たったこれだけで環境にも良く、モノに対する愛着も湧き一生を共に歩くパートナーとしての擬人格をも持たせ、幸福度は高まっていくことでしょう。
リペアカフェは、こうした社会構造に対するアンチテーゼと言える存在。
壊れたものを修理することで、単に廃棄物を減らすだけでなく、消費者が物の価値を見直し、物を大切にする意識を取り戻す機会を提供しています。
持続可能な未来のために
リペアカフェの魅力、それは「使い捨てではなく修理を」というシンプルな行動と思考が、持続可能な未来を築くための第一歩に繋がるところにあります。
私たち一人ひとりが、壊れたものを修理する文化を支え、次世代に引き継いでいくことが、地球規模での課題解決につながるでしょう。
リペアカフェのような活動が今後さらに広がり、消費から修理へという新しい価値観が主流となる未来を目指しましょう。
江戸のいいところをもう一度
さて、さいごに、江戸時代が世界でもっともはやくサーキュラーエコノミー社会を形成していたことを忘れてはいけません。
懐古主義に陥ってしまってはいけませんが、やはり江戸時代はテクノロジーの面で見てもこのようにサーキュラーエコノミーの面で見ても見習うべきことは多く、世界最先端先進国でした。
モノは親から子へ、あらゆるモノや服はリペアし、リペアできなくなるまでぼろぼろになっても、別のものに作り替え最後は自然に帰ります。
エネルギーはもちろん糞尿でさえもあますところなく社会で循環していたわけです。
安物買いはなんとやら・・・?
安物買いの銭失いという言葉も、使われるようになった背景には、日本の江戸時代やそれ以前の商人文化が影響しています。
当時は商品の品質が重要視され、信頼できる職人や商人から買うことが良い取引とされていました。一方で、安物を選ぶことで結局損をする人々への警告としてこの言葉が広まったとされています。
実はこれ日本だけでなく、世界中で似たような格言があるんです。
世界で似たような格言
英語:"Buy cheap, buy twice."(安物を買えば2度買う羽目になる)
英語圏では、「安価なものを選ぶと、結局壊れて買い直すことになる」という同様の意味を持つ表現があります。安物に頼ることが時間やお金の無駄になるという点を強調しています。フランス語:"Le bon marché coûte cher."(安物は高くつく)
フランス語でも、品質の低いものを買うと後で高くつくという警告があり、品質の重要性を示唆しています。ドイツ語:"Wer billig kauft, kauft teuer."(安物を買う者は高く買うことになる)
ドイツ語圏でも同様の言葉が存在し、安さを重視することが結果的に逆効果になることを伝えています。イタリア語:"Chi più spende, meno spende."(多くを支払う人は少なく支払う人よりも損をしない)
高品質なものを購入することで、結果的にコストを抑えられるという意味合いを持つ表現です。
いまいちど、買い物を見直してみてはいかがでしょうか?