中野区議会宛要望書:2030年CO2削減目標59%への引き上げについて
こちら、議会に提出してきました!
主旨
中野区次期環境基本計画において、2030年のCO2等排出量削減⽬標を2013年⽐で59%以上と明記することを求める
理由
既に産業革命以前と比較して地球の平均気温は1.2度上昇。パリ協定で1.5度以下に抑える努力を追求するとされているが、世界各国のCO2削減目標を合わせても、早ければ2030年には1.5度上昇に到達し、21世紀末には4度前後の気温上昇となることが予想されている。
既に気候変動の影響は甚大であり、未来世代のためのみでなく、今を生きる私たちが安心して生きることができるかどうかの瀬戸際であるという認識は国連をはじめ世界各国で共有されている。
2030年までの10年で集中的に取り組むことが重要であることは、環境大臣からも再三発言されている。炭素予算の観点からも、現在から直線で2050年実質ゼロを目指すのではなく、早期に実現可能なことはできる限り実施し、船底型の曲線でCO2を削減することで、鉄鋼分野等の脱炭素化技術が確立していない分野が脱炭素に転換するための時間を確保することが重要である。
2020年10月に菅首相が2050年ゼロカーボンをめざすことを宣言し、2021年には2030年のCO2削減目標を26%→46%に上げ、さらに50%に挑戦すると発言している。
東京都知事は2021年1月27日ダボス会議にて2030年に2000年比でCO2等50%削減を発表し、2021年3月30日には、ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Reportが東京都から発表され分野ごとの実現ステップも記載されている。中野区の2000年CO2等排出実績は約92.6万トン、東京都目標との整合性を図り2030年に2000年比50%削減を目指す場合、2030年に約 46.3万トンの目標となり、中野区環境基本計画の基準である2013年比(約111.7万トン)では約59%(58.55%)減目標となる。
中野区は2017年実績のCO2排出量93万トンのうち、民生家庭部門と民生業務部門で約79% を占め、購入電力からのCO2排出が約64%(約59万トン)を占めており、CO2削減は鉄鋼業等を抱えている自治体に比べ有利な環境にあり、政府や東京都目標を上回る削減が可能である。
第三次中野区環境基本計画では2020年度のCO2削減目標が5.3%であったが、2017年度実績で既に12.3%の削減を達成しており、削減率を直線で引くと2020年度実績では19.7%の削減を達成している可能性があります。前計画の目標を14%も上回って削減できたことは中野区および区民の努力により達成されたと同時に、目標設定がバックキャスティングではなく積み上げ式であったことも考えられ、バックキャスティングでの目標設定を期待いたします。
省エネと再エネはCO2削減の2本柱であり、省エネはZEHを進めることにより、区内工務店の新規建築あたりの受注金額増加、断熱改修の受注など区内事業者の活性化に繋がり、再エネは太陽光、太陽熱、燃料電池等の活用により区外に流出している電気代やガス代を節約することに繋がり、区民の可処分所得の増加に繋がる。
環境省や東京都環境局の自治体向けCO2削減予算は増加しており、他の自治体に先駆けて 高い目標を掲げ実行することで、中野区の予算をできる限り使わずに国や都の補助金を活 用してCO2削減を実現でき、地域経済の活性化や住民の豊かな生活に繋げることができる ため、2030年のCO2等排出量削減⽬標を2013年⽐で59%以上と環境基本計画に明記することを求める。少なくとも、46%以上のシナリオの検討と区民に対しての開かれた議論を要望したい。
中野区の脱炭素への取り組み例
以下、できる限り中野区の予算を使わずにCO2削減を進める案を提示します。議論の叩き台として ご活用ください。
1.国・東京都の施策を活⽤し中野区内新築建築物のZEH・ZEBを強⼒に進める 。中野区内の新築建築物のZEH・ZEB義務化を達成できない建築主からは協⼒⾦を徴収し協⼒⾦を中野区の再⽣可能エネルギー発電事業にあてる。特に駅周辺の大規模開発は早期にZEB義務化とする。
2.国・東京都の補助⾦を活⽤し中野区内の既存建築物の省エネ改修・ゼロエミッション化 を強⼒ に進める
3.国・東京都の補助⾦を活⽤し中野区としての⽬標を定めエネファーム・業務⽤燃料電池 の導⼊ を強⼒に進める。
4.中野区全体の再生可能利用エネルギーの目標を設定する。東京都環境課へ相談すれば中野区独自の再エネ目標設定が可能。また、東京都のみんなで⼀緒に⾃然の電気事業を活⽤し中野区⺠・⼩規模事業者が再⽣可 能エネルギーの電気を利⽤するよう強⼒に推進する。
5.区内事業者にRE100宣⾔を促し再⽣可能エネルギー100%の電気を利⽤するよう強く要請する 中野区内の企業では丸井グループ、キリンホールディングスなどが宣言済み。
6.東京都の住宅⽤太陽光発電初期費⽤ゼロ促進事業を活⽤し既存住宅への太陽光発電設置を中野区 としての⽬標を定め強⼒に推進する 。住宅以外の建物についても太陽光発電事業者(例東京ガス)リース事業者と協⼒し 初期費⽤ゼロ の太陽光発電設置を強⼒に進める 。東京都再⽣可能エネルギー設置補助⾦(2/3補助)を活⽤した太陽光発電の設置を 中野区内事業者・ 学校法⼈・社会福祉法⼈・医療法⼈に周知し強⼒に推進する 。
クールネット東京の太陽光・ポテンシャルマップでは、中野区の屋根平均で3.3kwの太陽光を設置し、年間4,317kwh、CO2削減は1棟平均1.6tで中野区合計で112,385tの削減が可能との試算がある。
7.新築の区有施設について災害時の活⽤の観点も含めZEBを最低条件とする。
8.既存の区有施設ついて断熱改修・燃料電池導⼊や地熱の活⽤など早急に進め遅くとも2030年ま でに脱炭素化を実現する
9.中野区中⼩企業融資にゼロエミッション融資を導⼊し太陽光発電・燃料電池・⽔素⾃動⾞を広 く対象とする。東京都制度融資・東京都信⽤保証協会保証についても拡充するよう要請する 。
10.環境省・国⼟交通省・経済産業省の補助⾦を活⽤し、さとまち連携でつながりのある自治体を中心として、全国の⾃治体と連携協同し地域電⼒会社を設⽴し再⽣可能エネルギー発電所を建設設置 し当該地域への地産地消電⼒供給 を⾏うとともに中野区へ電⼒供給を⾏う。 1.の中野区内の新築建築物のZEH・ZEB義務化協⼒⾦収⼊を本事業に活⽤する。
11.中野区内を⾛⾏する東京都バスを全て燃料電池バスとするよう東京都に要請する
12.区有施設全ての電⼒調達においてRE100基準を導⼊する。全施設の入札条件、入札結果、エネルギー供給源内訳、CO2排出係数を公開する。
13.区⺠・事業者に対し、地球温暖化、気候変動に関する認識を⾼めるための広報・ 啓発を⾏い 適切な⾏動を促すとともに、国・都の諸制度について広報・コンサル ティングを中野区として積極的に⾏う。
14.区⺠・事業者・区が脱炭素社会に向けて協力する「中野ゼロカーボンシティ協議会(仮称)」を作り、ボトムアップでの脱炭素社会実現を後押しする。
15. 「中野気候市民会議(仮称)」を作る。区民の無作為抽出によって構成した約30名の区民代表による複数回の討議によって、中野区民が描き実施を要望する2030年までの施策を中野区へ提言する。中野区、中野区議会は、提言内容を受けて対策を加速する。札幌気候市民会議、川崎脱炭素市民会議を参考にする。
実績と予測の参考値)
基準年度から2020年度までのCO2削減実績は1年平均約2.47%。その積み上げの延長線上の2030年目標が44.4%削減となり、素案で示されたCO2削減目標となる。バックキャスティングではなく積み上げ式になってしまっている。バックキャスティングでの目標設定を要望する。