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想像を超える興奮と感動が起こる、感情が伝染した時のこと。

同じ時を生きて、テレビ、広告、それぞれの道をがむしゃらに進んできた2人。

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すこし前になりますが、恵比寿ガーデンプレイズ COMMON EBISUにて、コピーライター 阿部広太郎× テレビディレクター 芦田太郎によるトークイベント「30才のリアル」を行いました。

就職活動の時期に出会い、お互い社会人になり、はじめて一緒に仕事ができたのが芦田が企画・演出をしている番組「あいつ今何してる?」の宣伝ポスター制作でした。

「あいつ今何してる?」の話の制作秘話から、お互いの10代〜今までの人生の振り返りまで。今回は前・後半に渡って、レポートにしたいと思います。

なおレポートしてくれたのは企画でメシを食っていく2期生の本山香菜子さん。とても丁寧に、臨場感たっぷりにまとめてくれました。

それでは以下、本山香菜子さんによるレポートです!

★★★

1985年生まれで現在30才、社会人9年目、そしてダブル太郎。

同じ時を生きて、テレビ、広告、それぞれの道をがむしゃらに進んできた二人。

そして今、30才という節目の年に立った二人が感じる「30才のリアル」を「あいつ今何してる?」の番組を軸に語り合いました。

※番組「あいつ今何してる?」とは…
ゲストの芸能人が卒アルを見返して、その中にいる「気になるあいつ」のその後を追い、VTR越しで再会する、思い出バラエティー番組です。(毎週水曜日 19時〜放送中)

■芦田太郎さんと阿部広太郎さんの出会い

二人の出会いは20歳、就職活動の時。同じ会社を受けたことがきっかけでした。

会ってすぐに意気投合し、その後お互い、テレビ、広告という違う業界に進んでからも、"同志"として切磋琢磨する関係が続いているのだそう。

そんな二人の仕事としての初めての共同作業が、この「あいつ今何してる?」の番組でした。

就職活動での出会いで生まれた繋がりが、今も同志という強い絆で続いているって運命的ですよね。

私は孤独の就活ソルジャーだったので、こういう絆、グッときます。

■「あいつ今何してる?」の企画が生まれたきっかけ

芦田さんが高校の同級生の結婚式に出席した時、ある同級生について「あいつ…今何をしているんだろうね?」という話題になり、とても盛り上がったそう。

「こんなに盛り上がる話題をテレビに落とし込めないだろうか…?」

そのアイデアが「あいつ今何してる?」の原点となりました。

■企画書が通るまで

そのアイデアを人に話していたところ、「それは企画書にした方がいいよ!」というアドバイスを受けて芦田さんはすぐに企画書を書きます。

実はその頃、芦田さんの担当していた番組の数字があまり良くなく、芦田さんは少し腐りかけていたそうです。

そんな状況での企画書は今の自分の状況を打破するための、渾身のものであったと思います。

実際にその企画書を見せていただいたのですが、企画の内容が物凄く具体的に、あらゆる企画パターンを想定して書かれていて、芦田さんの「なんとしてもこの企画を実現させたい!」という熱を感じました。

想いが通じて企画書は通り、まずは一発勝負のトライアル枠(深夜枠)での挑戦が決まります。

■本当にこの企画ウケるのか、という不安との葛藤

芸能人の同級生が今何をしているのか? という企画で通ったものの、芦田さんはある不安を感じます。

「芸能人の同級生の今を見せる番組って究極の身内番組じゃないか?」

芸能人の気になる「あいつ」について放送したところで、視聴者に面白いと思ってもらえるのか、チャンネル変えられちゃうんじゃないか、とすごく不安だったそうです。

不安を抱きながらも…初めての番組ゲストはアンガールズ田中さん。

スタジオ収録に向け田中さんの選んだ同級生を取材したのですが、全然知らない一般人の生活の撮影は、特にその場では笑いが起こるわけでもなく「これ本当に面白いのか…?」と芦田さんはカメラを向けながら、ますます心配になったそうです。

しかしスタジオ収録でそのロケ映像を田中さんに見せた時、今までの懸念は払拭されました。

■感情は伝染する

田中さんに同級生の今を見せた時、そこには想像を超える興奮と感動が起こりました。

同級生を見た瞬間、すごく嬉しそうに声を上げる田中さん。

田中さんが誰よりも楽しんでいて、スタジオもつられて湧き上がります。

実際、そのはしゃぎっぷりの映像を見て、視聴者である私も、周りにいた参加者の方も笑ってしまいました。

「同級生のあいつ」は田中さん以外知らないのに、田中さんの素で喜ぶ姿に、見ているこちらも気持ちよくなれるんです。

芦田さんもこれを見て「イケるかもしれない」と思ったそうです。

■レギュラー化への挑戦

トライアル枠で上々の数字を記録し、晴れてレギュラー化!…かと思いきや、上司からはもう一度、今度は休日昼の70分枠でチャレンジするようお達しが。

番組のレギュラー化って、実はとても厳しいハードルを越えなくてはいけないんですね。

また尺もトライアル枠の約2倍。

芦田さんがすごいのは、ここでただ尺を伸ばしたものを制作するのではなく、番組により深みを生み出すために、ある工夫を加えたことです。

①同級生の人生の振り返りを入れる

それまでは同級生の"今"を見せるだけでしたが、同級生の今に至るまでの人生模様をとりいれることで、ドキュメンタリー的な要素をプラス。

視聴者も一緒に「あいつ」の人生をたどることで、あいつをちょっと近い存在に感じられます。

②出演者には事前にどの「あいつ」が出るかは知らせない

誰が出るか、何人でるかは当日のお楽しみ。こうすることで、出演者の熱量、驚き、興奮を最大限に高めます。

飾らないフレッシュな感情がそのまま番組の勢いとなって、視聴者に届く仕組みです。

主にこの二つのポイントを追加したところ、ゲストのオリラジ中田さんからは思わず「日本一面白い番組だ!!」という言葉が飛び出しました。

この言葉は芦田さんが今でも大切にしている言葉だそうです。

個人的にも、この工夫によって視聴者は出演者の感情への共感性がより高まり、テンションが共有できると感じました。

視聴者が置いてきぼりにならず、画面の中の「あいつ」に、自分の記憶の中の「あいつ」を重ねられるんです。

■芦田さんと阿部さんの初共同作業

2回のトライアルで番組の面白さが認められ、まずは深夜でレギュラー!そしてついにゴールデンへの進出が決まります。

ゴールデン進出に向けて番組宣伝ポスターを作ることになり、芦田さんが相談を持ちかけたのが阿部さんでした。

そしてこれが二人にとって仕事で初めての共同作業となるのです。

阿部さんが提案したポスターデザインの企画書も、これまた良い言葉が連なっておりまして、この番組を「眼福」という言葉で表現されていました。

出演者の感情が揺れ動くと、視聴者の感情も揺れ動く。出演者が幸せな気持ち、記憶に浸れば、それを見た視聴者も幸せな気持ちになれる。出演者のあいつを見て、視聴者は自分の中のあいつに想いを馳せる。

そんな番組の魅力が「眼福」という言葉にぎゅっと詰まっています。

(これが本質を見抜く力か…!)

ポスターのビジュアルも、面白いんです。

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ネプチューンがなりきる「隠れて弁当を食べていたあいつ」「常に前髪をイジっていたあいつ」とか。

あぁ〜!いたいた!みたいな(笑)

見た人それぞれが、自分の記憶の中のあいつを想起して、なんかニンマリしてしまう、そんな素敵なポスターです。

■ゴールデンタイムの難しさ

ゴールデンタイムといえば、テレビ局の看板番組が軒を連ねる時間帯であり、多くの視聴者がテレビの前で待つ晴れ舞台。

ですが、その一方で視聴者の年齢層は深夜帯とは大きく異なります。

19時スタートの番組だと、働き盛りの20代、30代より、F3、M3層の視聴者にもウケるような、万人受けする内容にすることが求められます。ですのでキャスティングも難しいポイント。

ある一部の層にだけ人気がある出演者だと、番組の入口部分から大多数の視聴者に「興味ない」と思われてしまいます。

万人に受けてかつ面白さを失わない番組づくりをするのが、ゴールデンの難しい課題なのです。

そこで芦田さんが取った対策が「なるほど!」でした。

①視聴者が覗き見したくなるひっかかりを作る

同級生の紹介に現実的な要素を意識的に細かく入れて、視聴者のひっかかりをつくっているそうです。

例えば…

・いつ家を買ったのか

・間取りはどんななのか

・結婚相手はどんな人か、子供は何人か

などなど。

こういう思わず覗き見したくなる情報を入れることで

「この人30歳で家買ったのか、俺より早いな」とか「都内で4LDKか、てことは家賃が…」とか、自分と出演している同級生を勝手に比較できる面白さを生み出します。

②普遍的なキーワードで「あいつ」を表現する

あいつを紹介するときにマニアックな表現ではなく「弁当がやたらうまそうなあいつ」みたいな感じで、視聴者が「そんなやつおれの同級生にもいたなぁ」と思えるような普遍的なキーワードを用いているそうです。

このような工夫で非身内番組化を図り、ゴールデン番組でも十分戦える番組となっています。

番組をいかに面白く成長させていくかを考え、企画をブラッシュアップし続ける芦田さん。

企画を立てて終わりではなく、そこからさらに良いものへと育てていく姿勢が、幅広い人に受け入れられる強いコンテンツへと進化していくのだな、と感じました。

前半はここまでです。

これで一時間の内容です。濃かった…。

後半は10代の芦田少年と阿部少年が30歳になるまでを、時代を遡り追っていきます。

★★★

後半は、阿部の著書「待っていても、はじまらない。―潔く前に進め」でも書いた少年時代について、より密に話しました。

後半の記事はこちら!

引き続きイベントのレポートをお楽しみください!

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