西堀耕太郎「続・伝統の技を世界で売る方法」
和傘の技術を生かしたデザイン照明で、海外進出を果たした経験をもとに、日本各地の伝統産業を支援中。DX化で商流が劇的に変わりつつある今、ものづくりの担い手に伝えたい思考を発信します。
額約470万の支援事業(後継者育成支援、各種アワード、能登半島沖地震支援)」を実施予定! 日吉屋が共同出資で立ち上げ、コロナ禍で中断していた富裕層インバウンド向けクラフトツーリズム「DENTO 伝燈」を実施して約1年が経過しました。この事業は全てサポートツーリズム事業であり、旅行代金の中に伝統産業支援の寄付相当額が含まれています。お蔭様で海外富裕層のお客様に理念が広く支持され、その志を基に今期分として「総額約470万の支援事業(後継者育成支援、各種アワード、能登半島沖地震支
つい先日新年が明けたと思ったら、もう2月に突入しようとしている事実に衝撃を受けていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。能登大地震という心痛むニュースからスタートした今年。被災された方々が1日も早く平穏な日常を取り戻せることを願いながら、現在、私も理事として名を連ねているNPO法人DENTOからの支援を考えているところです。 さて、前回の投稿からずいぶんと日にちが空いてしまいましたが、前回は、日本の伝統工芸から生まれたマテリアル「WAZAI」を活用したグローバルビジネス
前回の記事で、世界でも珍しいフォークアートのマーケットIFAMに出展した経験を振り返りましたが、今日のトピックスは、そのアメリカ出張のもうひとつの目的地ニューヨークでの話です。実は、私たちがこれまで約10年にわたって地道に取り組んできた「北山杉」のマテリアルビジネスが今、パリやニューヨークで確実に実を結びつつあるのです。 高級インテリアや家具のトレンド先端をゆくニューヨークへ 去る7月に、約3年ぶりにアメリカ出張に出かけましたが、そのメインの目的地がニューヨーク。弊社・日
早いものでもう今年も2/3が終わろうとしていますが、気づけばnoteの更新が半年も止まってしまっていました。そんなに経っていたとは自分でもびっくりなのですが、月日の流れる速さを改めて実感します。更新が止まっている間も、私は相変わらずあちこちを飛び回っていましたが、今回は最近のトピックスとして、約3年ぶりのアメリカ出張で体験した、ちょっと珍しいイベントのことをお伝えします。 世界でも例を見ない「フォークアート」のマーケットへ 今回のアメリカ出張は約2週間の日程でした。コロナ
昨年末の12月9日、弊社がパートナー企業として協業する地域商社「京都アンプリチュード」のショールームが、京都市中京区の堀川御池にオープンしました。この場所は、元はといえば京都中央信用金庫の西御池支店だったところ。今回は、京都ならではの可能性を秘めたこの地域商社の仕組みと、これから目指すビジョンについてお伝えしたいと思います。 地域商社「京都アンプリチュード」が取り扱う「WAZAI」とは。 「京都アンプリチュード」は、ユネスコの世界遺産にも指定されている二条城(元離宮二条城
海外のデザイナーと組んだものづくりに興味はあるけれど、どうやってデザイナーと出会えばいいのだろう。伝統工芸に従事する方で、そう疑問に思う方は多いと思いますが、意外に出会いのきっかけはまったく予期していなかったところに潜んでいたりします。今日はいつもと少し趣を変えて、そんなお話をしてみたいと思います。 京都とも伝統工芸とも縁のなかった若者が… 少し前のことにはなりますが、去る10月5日、京都市内にあるアンスティチュ・フランセ関西にて、トークイベントのパネラー兼進行役を仰せつ
前篇でお伝えしたとおり、日吉屋が2022年から越境ECに取り組み始めました(サイトはこちら)。めざしているのは、魅力ある日本の職人仕事を独自の視点でセレクトし、世界に発信するポータルサイトのようなイメージ。単に自社商品を販売するだけではなく、これまでに弊社が商品開発や販路開拓のお手伝いしてきた職人達のオリジナル商品に特化して、幅広く取り揃えていこうと、目下少しずつ作業を進めています。今日は、そんな越境ECの運営にまつわる現在進行形のトライアルについて、お話ししたいと思います。
日吉屋では2022年から越境ECに取り組み始めました。(サイトはこちら)まだアップデートの必要なところは多々ありますが、日本語のほか英語・中国語に対応しており、世界中のどこからでも注文購入が可能という仕組みはできあがっています。 このサイトの特長は、日吉屋の和傘やデザイン照明「古都里-KOTORI-」だけでなく、これまでに弊社が商品開発や販路開拓をお手伝いしたメーカーのオリジナル製品も購入できる点。いわば日吉屋の職人である私が、職人仲間を巻き込んで作り上げる、新しい日本のデ
D2C戦略強化のひとつとして挑んだクラウドファンディング 梅雨真っ只中ですが、みなさん雨の日を楽しむ「マイフェイバリット」はお持ちでしょうか。京和傘の老舗・日吉屋がおすすめしているのは、晴雨兼用の第三の傘、ryotenです。ryotenは、江戸時代に実際に使われてきた「両天傘(りょうてんがさ)」をその名の由来とし、環境にやさしい和傘の魅力を、現代生活に合うようアップデートしているのが特長です。 今回は、このryotenを巡って、日吉屋がチャレンジしたクラウドファンディング
東京とパリのコラボで生まれた作品を引っさげ、パリへ 3月末にフランスの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出張してきました。コロナ禍以前は毎年フランスに行っていたのが、実に2年ぶりです。ただし今回の出張目的は、日吉屋としての出展ではありません。東京を拠点とする伝統工芸の担い手6事業者と、フランスのデザイナーがタッグを組んだ「江戸東京きらりプロジェクト」の作品完成お披露目のためです。弊社・日吉屋クラフトラボ(2021年にそれまでのTCI研究所から名称変更しました)は、この事業
私が初の自著「伝統の技を世界で売る方法」を上梓したのが、2018年4月25日。今日からちょうど4年前のことになります。 京都に唯一現存する和傘の老舗「日吉屋」に2003年に入社した私が、いかにしてデザイン照明「古都里」を開発し、海外マーケットに挑んできたか。そして、その経験で得た知見をもとに、いかにして「ネクスト・マーケットイン」メソッドを開発し、他の伝統産業の担い手を支援するようになったか――そんなあれこれを綴ったこの本は、私の半生記といってもよいものです。無知ゆえの手痛
和歌山県新宮市ってどこ?さて、しばらく時間が空いてしまいましたが、前回は日吉屋の創業~4代目(先代)までの簡単な沿革をご紹介しましたが、今回は、私自身の半生と日吉屋の事業を継承するまでの事を書きたいと思います。 私の出身は和歌山県の最南端、「新宮市(しんぐうし)」というところです。新宮と聞いただけでどこにその町があるか分かる人は、かなり珍しいのではないかと思います。 本州の中央あたりの南側に紀伊半島という半島があり、和歌山県、奈良県、三重県が立地しますが、その和歌山と三重の
日吉屋の沿革日吉屋が伝統工芸品を活かした新商品の開発に取り組み、細々ながら様々な国で販売するようになった理由をお話しするには、私がいかにして日吉屋の和傘に出会い、この仕事を継ぐことになったのかという事を(少し長くなるかもしれませんが、)お話しする必要があると思います。 何故かというと、会社経営において、事業が行き詰まる程の大きな問題がある時、商品の改良や営業方法の見直し等と言った枝葉の対策では十分では無く、もっと抜本的な改革、革新が必要な場合があります。 このような場合「身
自己紹介として、初めての投稿に記載した「伝統は革新の連続」という事を大きなテーマとして、これまで取り組んで来たこと、現在取り組んでいる事などを、その時々の社会環境の変化も交えて書いていきたいと思います。途中で変わるかもしてませんが、おおよそ下記のような構成で週1ぐらいで更新していきたいと思います。 実は学芸出版社というところから2018年に本を出しているのですが、この本を書くにあたり1年半程度書き溜めた下書き原稿の中から、実際は出版しなかった事柄なども含めたり、時間も経って
自己紹介を兼ねて、はじめてnoteに投稿してみます。 西堀 耕太郎 1974年生まれで現在は京都で五代160年以上続く、京和傘の老舗「日吉屋」の代表を務めています。代表と言っても創業家の生まれでは無く、2003年に妻の実家に婿養子として入ってすぐに先代が急逝してしまった為、若干29歳で後を継ぐことになり、以来17年ほど和傘の職人をしながら、「伝統とは何だろう」と考え、様々な取り組みをして現在に至ります。 タイトルに書いた「伝統は革新の連続」という言葉は、先代の時に年間売上