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東京の土地勘は、駅中心のまだら模様

 東京で3年ほど生活していた。東京23区は、皇居を中心にとぐろを巻くように電車が走っている。とぐろの1番内側の路線から、外の円へ移動するのが乗り換えだと思っていた。
 都内であれば電車で自由に移動することができるので、多くの人は車を持たなくなった。そのため、多くの人は駅から駅へと点で移動して、駅から目的地へと歩いて移動する。
 多くの人は、電車の走行中に自分がいまどこにいるのか考えていない。到着した駅名のアナウンスを聞いて、はじめて自分がいるところを認識するので、駅から駅へと点で移動している。出発地点から目的地点まで線で移動する車、自転車、徒歩と比べると電車の点移動は特徴的だといえる。

 また、電車が発達している東京では、「〇〇駅で降りて、東口から徒歩10分」のように、駅を中心として自分の土地勘がつくられていく。そのため、行ったことのある駅を中心に、円を広げるように地理的な情報が収集されていく。行ったことのある駅とそうでない駅で土地勘にばらつきが生まれ、まだら模様の土地勘ができあがる。新宿と原宿については詳しく知っていても、その間にある代々木について全く知らないのは不思議なことではない。
 自分が降りたことのある駅が、チェックポイントになっているともいえる。目的地に辿り着けなかったり、途中で迷子になっても、とりあえず駅に戻ってスマホでMAPを確認すれば、もう一度やり直すことができる。

 同じようなことがスマホのなかでも起こっている。いまは、パソコンよりもスマホを使うことが一般的になっている。かつては、ブラウザ経由でネットへアクセスしていたが、今は直接アプリケーションを起動することに多くの人が慣れている。アプリケーションのみを駆使して何かを調べたり、情報を収集することもできるようになった(ここでのアプリケーションはブラウザ以外のアプリケーションを指す)。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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