タワーマンションというブランド

　タワーマンションを見るたびに、あそこには住みたくないなと思う。しかし、世間的にはそうではないようだ。タワーマンションは、タワマンの略称で呼ばれ、目指すべき理想的な住まいの１つとなっているそうだ。チラシを見てみると、いかにもリッチな生活としてタワーマンションの暮らしを描いているものが多い。高いところから景色を独り占めできることがその象徴らしい。

　物心をついたときには、建物の９階に住んでいた。僕自身は、自分がその当時住んでいた建物を「住宅」と呼んでいたが、「マンション」と呼ぶほうが正しいとわかったのは大きくなってからだ。子供のころの僕は、「マンション」と「住宅」を使い分けていた。住宅は、古めかしい集合住宅として捉えていたので、高層の住宅であっても新しくなければ、それは「住宅」だと認識していた。ただ、階数が多くエレベータが設置されていたので、「団地」とも違うと思っていた。