
考えることをやめた人間は、何を信じるか?
フェイクという言葉をよく聞く。フェイクは「にせもの」という意味だ。昔、鬼ごっこやサッカーをするときに、相手をかわすための偽の動作を「フェイク」と言った。遊びのなかで行う限りでは、フェイクはゲームの駆け引きの一種であるが、最近は詐欺や世間を騒がすために利用されている。
フェイクニュースがその代表だが、そもそも偽物と本物の情報を見分けるのは簡単ではない。「スカイツリーの高さは634m」「エジプトはスーダンの北にある」のような単純な事実関係であれば、ネットや本を利用すれば個人でも本当の情報だと判断できる。しかし、著名人の発言内容や噂になると、一般人が情報の真偽を判断するのは難しい。
真偽を判断するために情報の出所をわざわざ確認する人は少ない。たいていは、SNSで流れてくる投稿を次々と眺めるだけで、よく見かけるものが本当らしく見えるのではないだろうか。いいねや閲覧者の数をみて、数が多いほど信頼する。コメントに情報の真偽を疑っている人が目立っていなければ、疑うことなく情報を受け入れているのではないだろうか。新聞やテレビが提供する情報に慣れている人ほど、自分で情報を精査する力がないかもしれない。
ここから先は
1,525字

最初の5話は無料で読めます。1ページ1話の完結もの(全48話)
記事1つあたり5円で240円となっています!
世間のあたりまえを疑ってしまう
240円
当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?