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考えることをやめた人間は、何を信じるか?

 フェイクという言葉をよく聞く。フェイクは「にせもの」という意味だ。昔、鬼ごっこやサッカーをするときに、相手をかわすための偽の動作を「フェイク」と言った。遊びのなかで行う限りでは、フェイクはゲームの駆け引きの一種であるが、最近は詐欺や世間を騒がすために利用されている。

 フェイクニュースがその代表だが、そもそも偽物と本物の情報を見分けるのは簡単ではない。「スカイツリーの高さは634m」「エジプトはスーダンの北にある」のような単純な事実関係であれば、ネットや本を利用すれば個人でも本当の情報だと判断できる。しかし、著名人の発言内容や噂になると、一般人が情報の真偽を判断するのは難しい。
 真偽を判断するために情報の出所をわざわざ確認する人は少ない。たいていは、SNSで流れてくる投稿を次々と眺めるだけで、よく見かけるものが本当らしく見えるのではないだろうか。いいねや閲覧者の数をみて、数が多いほど信頼する。コメントに情報の真偽を疑っている人が目立っていなければ、疑うことなく情報を受け入れているのではないだろうか。新聞やテレビが提供する情報に慣れている人ほど、自分で情報を精査する力がないかもしれない。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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