誕生、比喩、人生観
「人生」「自分」「生死」という言葉は、漠然とした概念だ。それらについて考えようとしても、その言葉自体が曖昧で、どこから考えればよいかわからない。「人生とはなに?」と聞かれても、さっぱりわからない。
誰にとっても関係がある概念だが、それについて真剣に考えるのは哲学者や宗教家であって、たいていの人はその言葉を大ざっぱに捉えて話をしている。しかし、その大ざっぱな理解から、その人の考え方がわかることがある。
「誕生」という言葉で考えてみる。少し前まで、人間の誕生を「コウノトリ」という鳥を使った比喩で説明することがあった。子供が「どうやって僕は生まれたの?」と親に聞けば、「コウノトリがあなたを運んで、どこからともなくやってきた」と親が説明する。もちろん、これは科学的な説明ではない。「赤ん坊の誕生は、コウノトリが運んでくる」という表現を使って、「誕生」という曖昧な概念を説明している。
コウノトリは生まれた赤ちゃんを親元へと運ぶ。赤ん坊は、自分の親を選ぶことはできない。同じように親も、自分の赤ん坊を選ぶことはできないので、コウノトリが運んでくるまで赤ん坊の姿はわからない。とはいえ、親は赤ん坊に心当たりはあるので、コウノトリの出現に親が驚くことは少ない。
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