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記憶に残らないことをするのは、どうしてか?

 子供のときから、遠足や旅行というものが好きではなかった。休むほど嫌いではなかったが、楽しみで寝れなかったという経験はない。そんな僕ではあるが、大人になって一人で旅行するのは面白いと感じるようになった。
 一人旅行をする場合、一番楽しいのは旅行を計画するときだ。旅行会社が考えたものではなく、自分で一から計画をつくるのが楽しい。場所を選んで、目的地までの移動方法や時間を算出する。アプリを使えば料金もルートもすぐに調べることができる。ホテルの予約も簡単にできるようになり、グレードと料金の比例を見ているだけでも楽しい。

 しかし、いざ旅行へ行くと、思っていたほど面白くないことが多い。これは僕自身に原因がある。不安症の僕は、事前にたくさんの情報をチェックしているので、たいていのことは現地にいかなくても頭に入っている。最近は、路上の景観も確認できるようになったので、はじめて訪れた場所も初めてのような気がしない。人生で初めて足をつけた土地なのに、「なんだか見たことがあるなぁ」と思うことがよくある。
 極端にいえば、家の中でも旅行はできる。3Dゴーグルがより一般的になれば、旅行体験は室内へと移動する。リアルタイムの街を立体的に体験できるサービスが提供されると、わざわざ現地まで赴く必要性を感じない人も出てくるだろう。家にいれば、クーラーでいつでも快適に旅行ができる。実際に旅行するよりも、財布に優しく環境負荷が小さい。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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