どうして「流れ」で野球を説明するのか?
野球では、しばしば「流れ」という言葉を使って試合の状況を説明する。守備側のファーボールやエラーで相手にチャンスを与えると「流れが悪い」と表現する。逆に、素晴らしいプレーが生まれると「流れが変わって良くなった」と言う。
この場合の「流れ」というのは、何が流れているのかといえば「勢い」「ツキ」「運」だ。自分のチームにとってプラスになるプレーであれば、運が自分たちに味方をしてくれて、勢いづける。その結果、より多くのチャンスを呼び込めるので、流れを味方にした方が勝利に近づく。
野球の解説者や実況者もこの「流れ」という言葉をよく使用する。僕は野球鑑賞(画面の前で野球を見ること)が好きだが、この「流れ」という言葉を解説で使うのはいかがなものかと思う。言い過ぎかもしれないが、僕にはオカルトな説明に聞こえる。
たとえば、先頭の打者に四球を出した場合と、先頭の打者がシングルヒットを打った場合でその回の平均失点は変わるだろうか。もし、四球を出したほうがその回に失点することが多いというのであれば、たしかに「流れが悪くなった」と表現してもよいが、それならシンプルに「先頭打者に四球を与えた場合、ヒットを打たれるよりも失点につながる確率が高いです」と解説するほうが素直でよいと思う。わざわざ「流れ」という曖昧な表現を使うよりも、より一層わかりやすくなると思うのだが、いかがだろうか。
ここから先は
1,438字
最初の5話は無料で読めます。1ページ1話の完結もの(全48話)
記事1つあたり5円で240円となっています!
世間のあたりまえを疑ってしまう
240円
当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?