なぜ坂本龍一の音楽を聞くのか
先日、投稿した東京都現代美術館で会期中の「坂本龍一 音を視る 時を聴く」の鑑賞記事。閲覧数がかなり多く、反響にビックリ。
坂本龍一さんの人気の高さに驚く。私自身も、いろいろなミュージシャン・ジャンルの音楽を聞く中で、坂本龍一さんの曲は、1980年代のYMO全盛期にリアルタイムには聞いてはいないけど、YMO時代の楽曲から後年のピアノ主体の曲などをよく聞いていて、好きなミュージシャンではある。
また私の幼少期は、坂本龍一さんが卒業された学校である「祖師谷小学校」の近くに住んでいたこともあり、なんとなく親近感を持っていた。
少し前に、「清水一行」のことをテーマにした小説「兜町の男: 清水一行と日本経済の80年」を読んでいたら、坂本龍一さんの父・坂本一亀さんが登場していて、驚いたことを思い出した。坂本一亀さんは、河出書房の編集者で、三島由紀夫などを世に送り出した、伝説の編集者と呼ばれた人物。小説は、1960年代の頃のエピソードだから、坂本龍一さんが小学校に通われていた時期ぐらいだったのではないかと思う。
ちなみに、この祖師谷小学校は、坂本龍一さんのほかに、田村正和さん、みのもんたさんも通われた学校。また近くには、木梨憲武さんの実家である木梨サイクル、ウルトラマンを制作した円谷プロがある。田村正和さんが演じた古畑任三郎は好きなテレビ番組ではあったけど、みのもんたさんやウルトラマンは、同じような愛着があるかというと全然なく、必ずしもご近所さんというだけが理由でもないと思う。
森林保全活動としてmore treeという団体を設立されたり、「脱原発」をテーマにNo Nukesというイベントを行ったり、最後には、明治神宮外苑の再開発での樹木の伐採に対する声明を発表されたりなど、坂本龍一さんのエコや環境に対する考え方に近いものがあったからかもしれない。
そういえば、J-waveの深夜の時間帯にあった「RADIO SAKAMOTO」という坂本龍一さんがMCをつとめる番組もよく聞いていた。毎週ある番組ではなく、たまにある番組で、気づかないと聞き逃してしまうことも多い。昼間のラジオ番組と違い、テンションが低めで、坂本龍一さんの哲学めいた話調で、深夜の時間に聞くのにピッタリな番組。2023年3月の最終回の放送、ひさしぶりに聞いたら、闘病のお疲れが出ているような、枯れた感じの声。そして、その月に坂本龍一さんがお亡くなりになる。
悔やまれるのは、一度も坂本龍一さんのライブに行っていないということ。映像では、演奏しているものを見たり、聞いたりしているが、一度はライブで聞いておけばよかったなぁと思ったりする。