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意外と面白かった、小津安二郎の作品 / 森を創る民のささやき
「森を創る民のささやき」ブログでの記事(2014年2月22日)とその追記記事です。
#141 意外と面白かった、小津安二郎の作品
黒澤明と並び、世界からの評価が高い監督「小津安二郎」。
今まで、名前や作品名は目にしたことはあるが、作品をまともに見たことはなかった。ちょうどhuluに何作品か配信されていたので、先日まとめて鑑賞する。
監督作品は54作品あり、そのうち現存するものは37作品。
そのなかでhuluで公開している、
「秋刀魚の味」
「秋日和」
「彼岸花」
「早春」
「東京物語」
「お茶漬の味」
「晩春」
を鑑賞。
上作品は、小津作品の中で、どちらかと言えば後期の作品。
見てみると、何なんだろう、これは。
当然のことながら、CGや派手なアクションは、全くない。
しかし、一作品2時間弱がほとんどで、長そうだが、ぜんぜん見れてしまう。今の日本映画にたまにある、冗長的な作品よりも、よい感じがする。
見た作品では、キャストがほとんど一緒で
・笠智衆 ※寅さんの映画の御前様で有名
・原節子
・杉村春子
・佐田啓二 ※中井貴一のお父さん
・中村伸郎
・北竜二 他
役は変るが、作品が変っても役者がほとんど一緒のことが多い。
そのため、主役の人と脇役の人があらかじめわかり、ある意味で話が理解しやすい。言うならば、TVでの水戸黄門的仕様とも言える。
作品を通じてストーリーもわかりやすく、1950年代頃、中流よりやや上の家庭が舞台で、
・当時の結婚適齢期である20代前半の娘がいる夫婦が、その娘が結婚に行けるかどうかを悩む
・相方が死別した片親に、日常の世話を見てくれる娘がいて、その娘を結婚に行かすかどうかを悩む
という2パターンの話に落ち着く。「東京物語」「お茶漬の味」などは、それ以外のパターンの話もある。
ストーリーが自然というか、日常的で、
ある意味で、日本人の多くが見て納得できる、ストーリー展開。
そして、
・独特のカメラワーク:家の畳の上に置いた感じで、会話場面では聞き役から見た話し手が写る。
・少ない会話/抑揚の無い話し方
・同じような結末:だいたいは、最終的に娘が結婚に行き、残された家族が、少し寂しそうにする姿で終わることが多い。
という特徴的な構成。
何よりも、印象深い画面が多い。
その後にたまたま読んだ雑誌にあった小津安二郎特集を見ると、やはりその点に注目されている。その雑誌で、小津安二郎の映画の一場面を再現し、撮影してみると、実はこうだったのというのが載っている。それを読むと、上映時に観客への見た目の印象が最適となるように、実際は、とんでもない位置にコップなどの小道具や、役者にありえない座り方で配置していたりする、言うならば、画面内をデザインしながら撮影している、とのこと。
日本人のDNA的感情が内包しているような、「共感感情」とも呼べるもの、
たとえば、「悩み」「寂しさ」「哀愁」などをテーマに展開されるストーリーと、印象的な画面にまとめられるシーン。
人間の内面的心境をテーマにした小説を読んでるような感じの映画。
そういう映画全体に独特の世界観が広がる。
名作とよばれるのは、この部分かと思った瞬間。
小津安二郎の遺作「秋刀魚の味」
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