社員の自発性を高め、任せる!今まではやらされている感があったのだと思います。創業60年を迎える社長がコーチングで得た変化とは? Vol.2
組織マネジメントにおいて「コーチング」が注目されています。しかし、実際、どんな感じで行われているのか?本当に成果はあるのか?という疑問は多いのではないかと思います。
コーチングを導入して7年になる、(株)ホンダ商会の本夛社長にご協力いただき、コーチングを導入されての事業、組織の変化などについてお聞きしました。第二話目です。
松本興太(以下、松本):
次の質問をさせていただきたいと思うんですけど、最初は社長だけをコーチングさせていただくっていうことから始まって、今は経営幹部の方だったり、最近では若手のリーダーの方も月一回サポートをさせていただくという風に、会社全体に何年かかけて移行をしながらサポートをさせていただくようになりましたけども、その辺について、例えば困っていたことがどういう風に解決していったかとか、社長として幹部の成長だったりっていうのは、どういう風に見られているのかというところを少しお聞きしたいと思うんですけども、いかがでしょうか?
ー困っていたことが、具体的にどう解決していったか?を教えてください
本夛浩さん(以下、本夛):
まず私どもの会社の専務は、同級生でもあって、同い年でビジネスを一緒にずっと二人三脚でしてきてます。私と専務はしゃべる機会が多いんですけど、特にこのコロナ禍の流れの中で、会社の規模が大きくなってきているのもあり、社員としゃべる時間帯というのが無くなってきていますね。そこを、車で言えばショックアブソーバーのような部分を松本さんにもやっていただけているのかなっていうのは、僕は特に思いますね。
会社組織をF-1に例えると、ドライバーが僕っていう感じで最初は走っていましたけど、最近僕はドライバーではなくなったかなという感じになってきました。それは何かというと、ドライバーがうちの中堅のスタッフになってきたかなと。監督が専務やマネージャーになってきて、僕はよりオーナー的になってきたかなという感じに思うんですね。そこのところの色んなアドバイスを松本さんにしていただいている部分というのは大きいですし、専務にしても、マネージャーにしても、実務のスタッフにしても、僕では聞けないことも中にはぶっちゃけあるとは思うんですね。それを松本さんが聞いてくれて、僕やマネージャーや専務とかに、言葉の言い方を変えて、ソフトに説明をしていただいているかなっていう感じですね。
松本:
なるほど。
本夛:
僕から言えることと言えないことも中にはあったりするので、その辺がやっぱり大きいかなっていうのは最近つくづく思うようになってますかね。だからスタッフとやっているのは良いかなと思います。
松本:
ありがとうございます。やっぱり経営者だからこそ言えないところとか(ありますよね。)
あと(セッションの中で)社長と専務のどっちが怒るか褒めるかみたいな(ことがあったと思うんですけど)これはアメとムチみたいな感じなんでしょうかね。
本夛:
僕だけが怒っていてもまとまりませんし、専務だけが怒っていてもまとまらないんですけど。ただやっぱり二人でずっと二人三脚で来ているので、普通であれば同級生で幼馴染で経営していたら上手いこといかないって世間の人は言いますけど。
松本:
そうですよね。僕も最初、大変そうかなと思いました。
本夛:
基本的にしんどいときも良いときも全部言いますからね。だからその代わり、一つの家庭の台所に二人立ったらグチャグチャになっちゃうのと一緒で、僕は触ることと触らないことという仕事の分野は、キチっと決めているので、だから専務ともうまいこといくんじゃないかなと思ったりはしますね。一緒に仕事しているときはビジネスパートナー、一歩外にいけば友達の部分ってあるので、そこの関係性の作りかたの部分っていうので、色んなアドバイスもいただけるっていうのは大きいですね。他にもやっぱり、松本さんを通して若いスタッフの声を聞けるというのも大きいですね。最近は社長としゃべりづらいと思っているスタッフが中にはいるのかなと思っています。
松本:
なるほど。
本夛:
社長に言ったらうまいこといくんだけども、言ったら自分でやらなアカンのかなっていうのがあるじゃないですか。
松本:
ちょっと距離感を感じてしまったりっていう。
本夛:
今までって会社もそんなに大きくなかったので。それがどんどん事業部になっていったら、やっぱりこれ言ったら僕やらなきゃいけないのかなとか、これ言ったら行動していかなきゃいけないと思ったりして。松本さんのフォローがあるからこそ、形になってきたかなっていうのは思いますね。
ー幹部、若手リーダーに権限移譲というか、任せる頻度がかなり大きくなってきた
松本:
あと一つ、先ほどF-1に例えてお話していただきましたけど、やっぱり社長が基本的に先頭を切って走るというところから、社員の方だったり、幹部、若手リーダーに権限移譲というか、任せる頻度がかなり大きくなってきたっていうことをお聞きしていますけども、その辺について、社長は現状どういう風に感じられていますでしょうか?
本夛:
今は本当に任せられるようになってきたなって思いますね。任せられるようになってきたイコール、専務以下全員、レベルアップしたからだと思います。やっぱり上のスタッフを見ているので、こうなったら僕たちもこういうことがやってもらえる、できるんだなって思っているので。みんなそこに向かってやろうかなっていう風な感じで動いてきてくれている。あえてオーナーとしてドシっと構えて見守ってあげないと。最終責任を負うのは僕なので。どうやって彼らがやりやすいように、できたらいいかなっていう感じで考えています。
松本:
明確に気持ちが切り替わったっていうところを、社長自身も感じられていますか?
本夛:
そうですね、みんなも責任感が出てきましたね。今までってやらされている感があったと思いますわ。自分らが考えてもその意見って通らないって思っていたのかもしれないです。だけど、自分たちが思った意見が通ることもわかってきたし、それをやったらどうなるっていうのもわかってきたからこそ、行動するんでしょうね。だから僕、特に最近よく思うんですけど、これをやってくださいねってお願いすることがなくなりましたね。
会社として良いか悪いかわからないですけど、終わってからこうなりましたみたいな感じで言ってきてくれることが多いですね。先日こういう風なことがあって、トラブルがあったんですけど、これでちゃんと解決して終わりましたって。ああそうなんだみたいなこととか、こういうことが動き始めていますっていうのもありますし。こちら側からこうした方が良いんじゃないのって言うことももちろんありますけど、自主的に動くようになったっていうのもあるんじゃないですかね。そして発言もできるようになってきたんでしょうね。やっぱりコーチングをしていただいていたら、自分の意見を言う回数って多くなってきますよね。
松本:
そうですね。
本夛:
松本さんと二人でやっているから、一対一なので、しゃべらないといけないじゃないですか。
松本:
そうですね。
本夛:
彼らも思っていることを腹の底から言うようになってきたから、行動も変わってきたということじゃないかなと思いますね。
ー「どこに進む」っていうことをはっきり伝えているからこそ、社員の方の自発性は高まっている
松本:
ビジョンの浸透がうまくいかないっていうことで悩まれている方は結構いらっしゃるんです。社長が「どこに進む」っていうことをはっきり伝えているからこそ、社員の方の自発性は高まっているんじゃないかなって言うのは感じます。社長としてはどうでしょうか?
本夛:
そうですね。ビジョンは明確にここの山に向かってアタックするんだって、自分自身がスコーンと落ち切らない限り言わないですし。だけど、事前にやっぱり言っていることってあるんですね、無意識に。今年の年頭も、5つの新しいことをやろうよみたいな形で言っているんですけど、やっぱり動いていることって3つぐらいしかできていないんですよね。
働き方改革をもっと推進してやろうとか、営業のやり方を新しくして変えようとか言っているんですけど。だけど二つはまだ見えていなかった部分があったんですけど、やっぱりここ最近こういうことをやらなければいけないかっていうのも、5つって言ったからこそ見えてきたかなって感じではあります。
明確にスタッフに、ここの山にアタックするっていうのを言って、日にちも決めてないとダメだなっていうのも痛感しました。それは専務と昔、それこそ3年ぐらい前にそういうことがあって。それからは、スタッフにいつ何時何分にこれやるからこうしようっていうことを明確に伝えないとわからないと思いました。
松本:
そうですね。そのやりとりありましたね。
本夛:
あれは一番大きいですね。やっぱりキチっと明確に伝えないと、みんなの取り方は、十人十色っていうのはこのことだなと思いました。それで僕らが怒っていてはダメだっていうのもそのときにわかりました。簡単に言ったら怒られているスタッフたちは、僕らに怒っていてもおかしくないと思いましたね。逆に僕らが怒られる立場だと思いました、そのときのことは。
松本:
伝え方ですね。
本夛:
伝え方です。僕の伝え方が悪かったからそういう風になって。あの件があったからこそ気づけたかなっていうことですね。
松本:
でも当事者になると中々気づけないですよね、特にリーダーとなるとね。
本夛:
気づきをもたらしてもらえる部分というのは、松本さんと振り返るっていうのが大きいんでしょうね。
松本:
なるほど。
本夛:
ビジョンを決めて、そのあと振り返る、またビジョンを決めて振り返るみたいな感じでやって、一本筋が通っているからいけるんじゃないかなと思いますね。
松本:
熱く語っていただきありがとうございます。