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フランク・ロイド・ライトが愛した女性たち

フランク・ロイド・ライト――建築史にその名を刻む天才建築家ですが、彼の人生は建築だけでなく「愛」そのもので彩られていました。 
彼が愛した女性たちは、彼の創作に大きな影響を与え、時には人生を揺るがす嵐のような存在でもあったのです。

ライトの愛の遍歴を振り返りながら、彼がいかに「愛」を通して自分自身を築き上げたのかを探っていきます。それは時に美しく、時に悲劇的な、まるで映画のような人生の物語なのです…。

1.若き日の結婚、キャサリンとの日々

フランク・ロイド・ライトの最初の妻、キャサリン・トービン(Catherine Tobin)は、1889年にライトと結婚し、6人の子供をもうけました。


1890年代のシカゴ。若き日のライトは、建築事務所で働きながら、自分の才能を信じて努力を重ねていました。そんな彼が出会ったのが、キャサリン・トービンという女性。華やかな容姿と知的な会話のセンスに魅了されたライトは、すぐに彼女との結婚を決意します。
結婚後、二人は6人の子どもを授かり、家庭を築きました。しかし、野心家で自由奔放なライトにとって「家庭」という枠組みは次第に重荷となり、彼は徐々に家を空けるようになっていきます。

2.メイマー・チェーニーとの出会い

40歳ごろのメイマー

キャサリンとの生活が形骸化していた頃、ライトはあるクライアントの妻、メイマー・チェーニーと出会います。彼女は独立心旺盛で6ヶ国語が話せる翻訳家で、知的な美しい女性でした。最初はクライアントと建築家としての付き合いだった二人ですが、次第に互いに惹かれ合い、やがて愛し合うようになります。

しかし、それは世間から非難される不倫でした。ライトは葛藤しながらも、キャサリンと子どもたちを残し、メイマーとともにヨーロッパへ逃避します。二人の逃避行は新聞を賑わせ、「世紀のスキャンダル」とまで呼ばれる事件になりました。

世間は、家族への彼の背信を快く思わず、設計の依頼は激減してしまいます。
ライトは、「芸術的な精神を持つ男性には2人の女性が必要だ。1人は子供の母親であり、もう1人は精神的な伴侶、インスピレーションの源、魂の伴侶である女性だ」と話しています。
ライトとメイマーは家族と別れ、生まれ故郷であるウィスコンシンに次の拠点となる「タリアセン」を建設し、二人の安住の地としました。

タリアセン

3.タリアセンの悲劇

しかし、この愛にも悲劇が訪れます。タリアセンで二人が暮らしていたある日、使用人が発狂し、放火する事件が起き、メイマーと夏休みに遊びに来ていたメイマーの子ども2人、そして弟子たちの7名が命を落としてしまうのです。
この時、ライトは仕事でシカゴに行っていて不在。帰宅したライトは酷く落胆しました。

新聞にも大きく取り上げられた。

この事件はライトの人生に大きな影を落としました。その後のライトの行動には、彼がどれほどメイマーを愛していたかが現れています。
ライトは深い悲しみの中、彼女の棺に、メイマーが生前大事にしていた庭の花を丁寧に敷き詰めました。それは、彼女を永遠に愛し続けるという彼の想いを込めた静かで美しい愛の表現でした。

4. メイマーの死と三度目の恋


メイマーを失ったライトは、深い絶望の中で自らを見失いかけます。彼女のために築いたタリアセンも焼失し、心の支えも家も失った彼は、再び建築に没頭することで自分を立て直そうとしました。

ミリアム・ノエルとの出会い

その後、ライトは数年の間にいくつかの恋愛を経験します。その中でもミリアム・ノエルという女性との関係は、情熱的で波乱に満ちたものでした。彼女は、低迷したライトが日本での帝国ホテル建設の際も、ライトの創作活動を支えていましたが、次第に激しい感情のぶつかり合いが増えていきます。結局、この関係も破局を迎えます。

5. 最後の伴侶オルギヴァンナとの安息

穏やかなオルギヴァンナとの時間


ライトが本当の安息を見つけたのは、オルギヴァンナ・ミルドレッド・ヒンゼンベルクとの出会いでした。セルビア系の若き女性だった彼女は、ライトと同じく芸術や哲学に情熱を注ぎ、彼を支える伴侶となりました。

ライトはオルギヴァンナにこう語っています。

「君は僕の最後のパズルの欠片だ。君がいなければ、僕の人生の設計図は完成しない。」

二人はタリアセンを再建し、それを中心に新たなユートピアを築こうとしました。オルギヴァンナはライトの建築思想を広め、彼の死後もその遺志を守り続けました。
オルギヴァンナが書いた「ライトの生涯」という本は、ライトの人柄、人生が詰まった素晴らしい本です。彼女が最後の妻であったことはライトにとってもとても幸せなことだったと思います。

オルギヴァンナの本

ライトの人生を振り返ると、彼が愛した女性たちがいなければ、彼の建築は生まれなかったかもしれません。それぞれの女性が、彼の作品に特別な影響を与え、彼の人生を豊かにしました。

今の時代では考えられないような破天荒なところもありますが、ライトの人生に「愛」は欠かせないものであり、建築のエネルギーになっていたに違いありません。「建築は愛だ。」と語るライトには、たくさんの愛の物語があったのです。
なんともドラマチックな人生ですね。

愛の男 フランク・ロイド・ライト

補足:建築・恋愛年表…笑

オマケ

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