「猫のマルタのダンス」gato3
下北沢で飼っていた保護猫マルタ。
リンパ癌になりリンパに沢山のしこりが
出来てしまった。
それは肉球にも出来て、柔らかいはずの肉球は
石のように硬くなってしまった。
穏やかで優しいマルタは皆から好かれていた。
亡くなる日の朝、私の布団の中に入って来て、
ノドを異常にゴロゴロ鳴らすので、
別れが近いと思っていた。
「猫のマルタのダンス」
猫の肉球は柔らかいのに、
マルタのそれは硬い。
床を歩くとコツコツと音がする。
抜き足、差し足、忍び足も、
まるでフラメンコを踊るよう。
カタカタ、コツコツ、
愛くるしい動きでクルクル回る。
マルタの時間はギュッと詰まっている。
まるで万華鏡を見るように、
キラキラしてる。
周りの物すべてを優しく包み、
大空に飛んで行ってしまう。
フワフワの雲の上は、
コツコツ音がしないけど、
忍び足が自由自在。
マルタの思い通りのワルツ。