なっていく
未来の話をするのは楽しいですが、未来の詳しい予測をするのはどんどん難しくなっています。
例えば20年前にスマートフォンの出現を予測できたでしょうか。
こんなに大容量のデータが瞬時に飛び交って、動画を見たり、ましてや動画を配信する側になることを予測できたでしょうか。
数少ない予測できることといえば、今後もそうして世界はだんだんと改善されて、新しい何かに「なっていく」ということでしょう。
そんな世界では、いつだって私たちは初心者で、新しいものがどんどん出てくることに、楽しみながらついていくか、取り残されるかのどちらかでしょう。
そして、最前線ではまだ誰もが手をつけていない、未来には当たり前に「なっている」ものがごろごろあって、それを最初に手に取った人が、おそらく成功者と呼ばれるのでしょう。
何かに「なっていく」今の世界は誰にでもチャンスがある、まれな時代なのかもしれません。未来ではAIが発達し、人間がチャンスを見つける隙間はもう残されていないかもしれません。もちろん、過去を見れば、ここまで世界がオープンである時代はなかったわけで、その狭間である今はもしかしたら結構いい時代なのかもしれません。
参考にした本の中では、プロトピアという言葉を使っていました。
ユートピアやディストピアは聞いたことがあるかもしれませんが、どちらも偏っていて、端的に言えば、平均にならされる力によってすぐにそのどちらでもない世界になってしまうでしょう。
プロトピアはこの2つとは違っていて、目的地というより、ある状態に「なっていく」ことを表す言葉です。プロトピアのプロは、プロセスやプログレスなどの意味があり、どんどん形を変えて少しずつよくなっていく世界を指します。
きっと現代はプロトピア的な世界といえるでしょうが、ずっと動いているものは動いていないように見えるのと一緒で、変化し続ける世界は慣れてそれに気づくことができなくなるかもしれません。
気づけなくなった時、きっと私たちはその「なっていく」世界の内側で、世界という川にただ流されているだけの存在になってしまうと思います。
それはそれで幸せかもしれませんが、どうせなら変化を外から見て、時にはその変化に干渉できるような人生の方が、私は魅力的だなと思うのです。
参考文献:インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則(ケヴィン・ケリー)
ps
時代に取り残されるということより、ただただ時代の一部になることのほうが怖いと思います。