書評 191 「変な家」
イラストを挿絵ではなく、物語の重要な構成要素として作った第1作「変な絵」に続く2作目。本書で使っている絵は、家の間取り図。密室ミステリーでよく出て来るものでもあり、前作以上にミステリーに寄ってきている。
ただし、密室ものでは無い。なのに間取り図が使われているのはなぜか。それが本書の面白さ。違和感のある間取り図を偶然入手したところから、主人公が関心を持って調べていく流れでストーリーが展開していく。
まあ、本格ミステリーと言うよりも謎解きホラー小説。後半に入って突然登場人物が増えるところなどもあり、横溝正史が思い浮かぶ。
適度にトリックの種明かしをしながらも、予想外の展開を何段階か用意しているので、ページを繰る手が早くなる。間取り図は異常ながら、ストーリー展開の各場面や登場人物の姿は容易にイメージできる設定なので、映像化もしやすい。それを意識しての創作だろう。
ホラー好きには気楽に楽しめる一冊。