書評 213 「変な家2」
「変な絵」、「変な家」に続く雨月の3作目。前作同様に家の間取り図を読み解きながら進んでいくのだが、今回はその数が多い。たくさんの間取り図とその家にまつわる家族の逸話。それを繋げていくと一つの悲しい物語になるのが前作との違い。登場人物も多いのだが、そちらにも繋がりが仕込まれている。
ネタバレにならない程度に言うと、間取り図自体の仕掛けに加え、複数の間取り図に共通して埋め込まれた謎探しに途中で気づけるかどうかで後半の謎解きステージの読み方が変わってくるだろう。
ミステリーと言うよりも謎解きホラー小説、また横溝正史が思い浮かぶ辺りは前作と同様。仕掛けを少し多層化して面白さを増しているので、過去2作が楽しめた人なら読んで損は無い。
作を重ねる度に仕掛けの量を増やしてきている。絵も間取り図もアイデアとして秀逸だったが、その他の「絵解き」ものも今後は期待したい。
ホラー好きなら、今回も楽しめる一冊。