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書評 185 「Link」
スピードスケートで世界のトップにたどり着いた小平奈緒さんの自伝。彼女の年齢ではまだ半生記にも満たないが、その中身は濃い。
スケートに興味を持ち、才能を開花。ご両親の関わり方や娘への発言は、ジュニア育成で近年強く指し示されていることと重なる。日本代表になった頃からメディア対応や世間一般の期待というプレッシャーで潰れそうになりながら、そこからどうやってステップを上がってきたか。環境を変えたり、コーチとの関係であったり、休養の取り方であったり。今であれば教科書化している様な内容もあるが、当時の何も無いところから見つけ出してきた彼女の努力の足跡は興味深い。決して順風満帆でない道程での航路探しの物語になっている。
そして、彼女を支えてきた地元長野の人たちへの感謝の思いが重ねて綴られている。そもそも本書は信濃毎日新聞紙上の連載をまとめたものである。
前を向く思いが始まり。それを知ることができる一冊。