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書評 247 「日本陸上界の真実」

日本陸上競技連盟(陸連)の要職を長年務めた著者による昭和以降の日本陸上界の記録。と言っても技術論などの記述は少ない。代表選手選考過程、また新規大会開催決定や運営における連盟内の意思決定と関係団体との折衝など、所謂「政治的」な面での暴露話が大半を占める。

著者の実体験を語りながらの主観的な過去への評価であるため、そのまま受け取るのは問題が残るかもしれない。が、個人名組織名が明示されているところが信憑性を見せている。記録と言うよりは自叙伝として読んだほうが良いだろう。

長年、選手自身の意向よりも指導者の指示がまずありきで、連盟幹部によって選手たちの活動が規制されてきた事がよくわかる。著者は自身の行動を振り返り、そのこと自体への反省は無いようで、連盟幹部間や行政も含めた関連組織の判断や狭い視野への批判を重なるのみとなっている。

陸上関係者やファンであれば、長年の疑問への回答となるかもしれない一冊。


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