書評 231 「ざっくり分かるファイナンス」
書名通りの内容。会計(アカウンティング)ではなく、財務(ファイナンス)の解説書。企業がどうやって資金を集めて、どう使うか。これが財務の基本。企業の成長には当たり前だが「資金のやりくり」が必須。そして、そのやりくりをこなすファイナンスのプロたちの判断のベースにはセオリーがある。そんなことが分かる。
ただ、全くの素人には難しいだろう。できるだけ平易な例を挙げての説明に努めているのだけれど、用語や実際の場面への知見が皆無だと、それでも難解。少しだけでも企業の経理や財務に携わったけれども頭を悩ませている。既に会計や財務の用語に接しているけれど実務経験が浅い。そんな人たちには良い入門書になる。
著者は日産自動車でゴーン改革の下で財務の経験値を上げた人。その実例がいくつか引用されている。しかし、ゴーンのその後が見えている現在となっては、それが好印象につながらないのが残念(本書は2007年の刊行)。