コンセプトのつくりかた〜世界を良くする冒険に出よう〜
私の職場では、”中長期的ビジョン”、”コンセプト”といった
抽象的なものをよく問われます。
一般的にも、何か物事を検討し出す際に
一番初めに求められるのは、こういった抽象的なものです。
でも、抽象的なものって、考えるの難しくないですか?
今既にあるものに対してコンセプトを考えることは比較的簡単ですが、
まだ世の中に無いものを考えるときに
「どういったコンセプトにしたら良いのか」と考えるのは
雲を掴むような感覚に陥ってしまい、投げ出したくなります。
本書は任天堂のゲーム機wiiを作り出したプランナーにより
wiiのコンセプトワークの一部始終を
会話形式を織り交ぜながら書かれたものです。
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コンセプトワークは冒険だ
本書は3つのパートに分かれてコンセプトのつくりかたを定義しており、
今回のnoteでもそのような書き方にしようと思います。
1. おりていく
▶︎コンセプトを定義して、作る準備をする
コンセプトという抽象的な言葉を
もう少しとっつきやすいように具体化して定義しています。
そもそもコンセプトは何を期待して作り出すものでしょうか?
表面的には「良いものを作り出し、世界を良くする」ことが目的ですが、
さらに一歩踏み込んで、世界が良くなった結果、
「自分自身が幸せになること」が最終的な目的となります。
(世界が良くなっても自分が不幸になったら元も子もない)
『コンセプトを作る→世界が良くなる』
と矢印を引いたとき、少し間に飛躍ができている気がしませんか?
これらの間には実際にものづくりをする過程『プロジェクト』と、
その前段で社内外でコンセプトを理解してもらう『プレゼン』が入ります。
『コンセプト』▶︎『プレゼン』▶︎『プロジェクト』▶︎『アウトプット』
コンセプトを作り出すまえに、コンセプトの最終形をイメージすると、
誰しもの頭に残りやすいように"20文字程度の母国語の言葉"が最適。
また、新たなコンセプトは世間一般で「良い」と認識されているものとはほど遠く、逆に否定されることが多いものほど未知の良さを含んでいます。
できるだけ世間一般の「良い」というビジョンに寄り添おうとせず、
逆に「悪い」とされるビジョンを組み合わせることが
コンセプトを作る上で近道となるのです。
最終的なコンセプトが未知なものである以上、
絶対的な正しさというものは存在しません。
2. のぼっていく
▶︎コンセプトをつくる
この章では、実際にwiiのコンセプトワークを行なった時の
描写を交えながらコンセプトワークの手法について説明しています。
コンセプトは一人で頭をひねってできるものでは無いので、
以下に一緒にワークする人たちを誘導するかが重要となってきます。
前述のように、コンセプトは世間一般的に「良い」と認識されていないものなので、
コンセプトの種を見つけ出すためにも、
まずはコンセプトワーク参加者に普段から抱いている不満を
話しやすい環境で吐き出してもらうことから始まります。
また、議論が進んできた際に新しい展開や広がりを期待するために、
ワークの誘導者としては、話題をずらす質問や一方的な断定をして
議論に話題定期をもたらすことが重要です。
しかし、ここで「結論ありきの質問をしてはいけない」ことに注意し、
自らが考えている結論に誘導するように意図してはいけません。
そのように出てきた様々な意見に中に共通する意見をまとめ、
スタートからゴールまでの道筋を机上に描くことを目指します。
そのためには、各意見群を整理できる軸を考え、
その軸上でゴールの方向に持っていくために必要な考えを
机上の意見から拾い上げ、ストーリーにしていくことが大切です。
そして、最終的には20文字程度の言葉にまとめるのです。
3. すすんでいく
▶︎コンセプトをどう活用するか
コンセプトが出来上がった後は、「プレゼン」以降のフェーズになります。
『コンセプト』▶︎『プレゼン』▶︎『プロジェクト』▶︎『アウトプット』
その際には、必ずコンセプトから逸脱した良さを求めてはいけません。
それは世間に認識されている良さに逃げてしまい、
我々が求めているものとはそぐわないものとなります。
逆に、コンセプトさえ貫けば、そのコンセプトを
ユーザはいずれ紐解き、読み取ってくれるはずです。
また、自ら作り出したコンセプトも、普及してしまえば
いずれは一般的に認識された「良さ」となってしまいます。
そのような過去の「未知の良さ」に囚われず、
常に更なる未知の良さを探り続ける勇者となることが求められるのです。
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本書は様々なキャラクターの登場人物が登場し、
議論を交わす形式でコンセプトワークの手法を説明しています。
物語として様々なキャラクターが出てくる方が面白いのは間違いないですが、
それ以上に、コンセプトワークの際には
様々なキャラクターの人たちが議論を交わすことが
未知の良さを見つけ出すためには必要であるという
メッセージと感じました。
会社の一員として働いていると、
知らないうちに会社の色に染められ
そこで働く人たちは似たり寄ったりの思想を持つようになります。
そのような環境で新たなコンセプトを作り出すことはできません。
私はこれからも会社の色に染まることなく、
ある種特異な人物として生きていこうと思います。
(本書のメインメッセージとは違うと思いますが、、、笑)