
終わりを感じるとき、人はやさしくなれる
ありきたりだが、年末の世の中の感じがすごく好きだ。
「今年も一年ありがとうございました、来年もよろしくお願いします、良いお年を」このフレーズをむすっとした顔や怒って言ってる人を見たことがない。
そしてこの言葉には嘘はなく、感謝の気持ちで溢れているように感じる。
世の中全体のそんな雰囲気が私はすごく好きなのだと思う。
この感覚に近いものは生きてきてこれまで度々節目で感じてきた。
小学校、中学校、高校、大学、職場の退職、お葬式、それぞれの終わりを迎えるとき「これまでありがとう」と人は優しい笑顔で別れを告げる。
学校で一番怖いと言われていたあの先生も、毎日毎日厳しい指導をするあの監督もその日だけは仏のような顔になる。
人が最後の瞬間を迎えるときのそのような気持ち、振る舞い、表情は本当に良いものだ。
逆になぜ日々の中ではそのような気持ちになれないのかといえば、日々の生活の中ではこの時間が一生続くという前提でコミュニケーションが取られているからだと思う。そんなことは絶対にないし、本人も分かっているがどうしても当たり前の毎日に自覚をするのは難しい。そうなると、目の前には対峙している相手がいるがその人自身の気持ちははきっと過去や未来にある。
終わりを感じるとき、それは未来と過去を遮断して今に向き合っているということなのだと思う。
だから、一年間という区切りはよくできたシステムだ、感謝。
年末年始のように世の中、分かりやすい節目はあるが、人と人との出会いや別れにおいてはそんなに綺麗な節目はない。
だから、今日以降会うことがなさそうな人にも明日も明後日も会う人にも平等にその日を区切りとして向き合おう。
そうすれば少しだけ優しくなれて、笑顔も増える。