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『星野道夫が見た世界』

振り返ると、もうすでに少しだけ懐かしい。
去年の9月にこの企画は行われた。

音楽家のharuka nakamuraと、彼が敬愛する写真家の星野道夫さんを交えた企画だった。

僕にとって『星野道夫』を知るきっかけとなったのはharukaさんだった、彼があまりにも熱意を持って星野道夫さんの残した写真や言葉をInstagramのストーリーなどで用いるのを、よく見ていた。

最初に目を通したのは、彼の人生の一冊にもなっている『旅をする木』という本。
非日常的な世界、だが確かにそこに存在する世界を暖かいまなざしで見て彼の言葉でそのまま綴ったたくさんの物語が収められているのだが、その中でも特に印象的だったのが "もうひとつの時間"という章だった。

"ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそれを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。"
星野道夫著 : 旅をする木 もうひとつの時間より

彼が綴る、もうひとつの時間とはいったいなんなのだろう。
気になった方もいるはず、是非自分の手でそのページを捲って確かめて欲しい。

熱を持つあまり、少しだけ本題とお話が逸れた気がする。

そんな彼(星野道夫)の言葉たちを収めた本たち、それにインスピレーションを受けた彼(haruka nakamura)の音楽はたくましく、どこか繊細で美しい交わりを奏でていた。

写真の右側に映るのはこの企画に際して綴ってくれたharuka nakamuraの言葉である。彼に提案した文字数より、かなりの文字数を上回って返ってきたのをよく覚えている。

展示するのが難しい場合、少し省略して簡潔にまとめることもできたようだが
想い想いに綴った、harukaのたくさんの言葉たちを省略する選択肢はなかった。
異例のパネルを繋ぎ合わせて、横長に広く展開することとなる。

星野道夫さんは写真家でもあり、文学家でもあった。
彼がこの世界に遺してくれた、たくさんの本たちと、haruka nakamuraの音楽。
交わり、ひとつの企画となる。

設営している作業はとてもとても楽しかった。
そして展示を開催している期間中も、ご高齢の方からこども達まで、老若男女問わずたくさんのまなざしが彼らの写真、言葉へ捧げられていた。

そんな様子を見て、直子さんにも随一報告したものだ。

会期が無事に終わり、harukaさんと直子さんに報告して様々な情景を話す。

そして時は経ち、11月に僕は東京へ旅に出る。🗼
その際ありがたいことに直子さんに直接会い、お話することが出来た。
写真にある旅をする木(御守りのように持ち歩いていたので掠れてしまっている)とブルータスの特集に書かれているサインはその時のものである。

いつかアラスカへ行きたいこと、彼の言葉で印象に残っていること、
もう北海道は雪が降ってきたこと、アラスカで野営している時に観たオーロラのこと。

たくさんの言葉を交わした。彼女の瞳もまた暖かい眼差しをしていた。
時折訪れる静寂の時間も、ひたすらに笑顔で頷いてくださる様子もこれから先生きていく上でこの時間が宝物になることは信じて疑わなかった。

この後、星野道夫さんが生前足繁く通っていた喫茶店へ足を運ぶこととなるのだが
このお話をすると本題から大幅に逸れる上にあまりにも長くなりそうなのでここまでとする。

最後に星野道夫さんの言葉で大切にしている言葉がある。

『寒いことが人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが人と人とを近付けるんだ。』

過ぎゆく時間と、壮大な自然が息をするこの世界へ向けて純粋な気持ちで、改めて関わることが出来たのは間違いなく彼が遺した言葉や写真のおかげである。

このプロジェクトを企画できたこと、関わってくれた方々。
そして様々な作品を世に生み出し続けているおふたりにリスペクトと心の底からの感謝。


企画特設ページ (上から)

星野道夫 事務所 🐻‍❄️
haruka nakamura 公式 Instagram
江別 蔦屋書店 📚


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