函館で、 PARFECT DAYSを観る。
地元の函館で、PARFECT DAYS(2回目)を観て来た。
この映画館は、中学生の頃に友達と自転車を走らせて、『君の名は。』を観にきた思い出の映画館。
この映画館で観ること自体にも意味があって、そこまでの道のりや景色なども含めてとても良い想い出となった。
当時の僕達は、君の名は。が "どこで" "何時に" 上映されているのかを調べるのも一苦労、そしてその映画館まで行くのにも自転車ひとつしか方法がなかったのでまるで大冒険のようだった。
当時の僕達が見たこの道のりと、本当にここで上映されているのか、という不安と期待を持ちながら恐る恐るドアを開いたあの時の気持ちがなんとも忘れられません。
今日は上映30分前に映画館に着いた。
『こんにちは~、13時30分上映のパーフェクトデイズをみたいのですが‥。』
チケットに1という番号の印が押され、渡される。
『もし、混んだら並んでお入りいただきます。こちらの番号の順にお並びください。』
『これって、今僕が一番最初に来たということですか?』
『あ、はいそうですよ~。』
そうだ、、確かあの日もそうだった。
小さい市民映画館でスクリーンも一つしかないので、その上映時間はその映画しかやらない。あの日は二桁の番号印を手に握りしめて随分後ろに並んだっけ。
あの日は、座った席も入り口すぐそば、スクリーンにも一番近くてソワソワしていた。結果として君の名は。の鮮やかな映像描写が間近で観れて本当に良かった。
首が痛くなるのも観終わった後に気づいて上映中は本当に没頭していたっけ。
泣くということ自体もあの思春期真っ盛りの僕たちにはどうも恥ずかしいはずなのに二人して思いっきり涙を流したのを覚えている。
その泣いた横顔の友人を見て、こいつとはずっと仲良くいられるなという気がした。
カウンターに置いてあるPARFECT DAYSのパンフレットがふと目に入り、手に取って数ページ捲った時点ですぐ買うことにした。
上映開始を待つ間はちょうど良い頃にたくさんのお客さんが入ってきた。
『シニアで。』 『シニアで良いのかい?』
ほとんどの方がご高齢の方ばかりで、落ち着いた館内はとても居心地が良かった。
椅子に腰掛けて、又吉直樹の人間を読んで時間が過ぎるのを待った。
上映開始の時間、人が多くなったので列に並んで上映する。
もちろん番号札の通り一番前、扉の前に立っていた。
扉が開いて、まっすぐ左奥を目指して歩きすぐに座った。
映画館が小さくなったのか、僕が大きくなったのか。
おそらく後者だろうが、小さいこの劇場はやはり居心地が良い。
映画は無論、いうまでもなく最高だった。
映画館を後にして歩く、見慣れた公園も函館シエスタ前の風景もどこかタイムスリップしたような気持ちになって思わず笑みが溢れた。
この街の、この道を通ってこの映画館でこの映画を観る。
読書する時もそうなのだが、あの場所にあるあの書店でこの本を買って読む。
みたいなことが僕にはある。
そして今日、このストーリーはとても大切なものとなった。
次は、この映画館で僕は何を観るのだろう。
先になろうがすぐだろうが、この気持ちを忘れず抱えてまた、ここに戻って来たい。