あの日のあの景色と感覚
思い出した、小学生の頃一番好きだった時間。
放課後の掃除の時間に、サボって窓を開けては窓際に腰掛ける。
窓際の暖房が足元に当たるから暖かい。
反して窓から流れてくる空気は、ひんやりとしていて冷たい。
例えるなら、露天風呂みたいな感じだった。
ツンと張りつめた冬の気配が近づいている空気はとても心地良かった。
窓際から見える景色は、下校する生徒と大きい通りを走る車たちのそれで、この季節の放課後だから、もうだんだんと外が暗くなってくるのがわかる。
呆然としたこのいつもの景色と体温に身を委ねて、ゆっくりと自分の将来を考える時間がたまらなく好きだった。
もう少ししたら中学生になること、大きくなったら自分は何をしているんだろうか。うまくやれているのかな。
あいつとはずっと仲良くいれるのかな。
離れ離れに、みんななってしまうのかな。
けれどなんだか自分はずっとずっとこのままでいる気がして、安心する。
大きくなってもこの景色とこの感覚が忘れずにいられたらそれでいいと想った。
今、想い出せているからあの頃の自分と根っこは変わっていないんだろうな。
あの時間が、もう二度と帰ってくることはないのだけど。
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