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長崎市南山手の西洋建築群
東山手を後にして、南山手に向かいました。南山手の歴史的町並みは、長崎市を代表する観光地で、東山手と並んで重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
南山手と言えば、大浦天主堂、そして旧グラバー邸などが大変よく知られています。大浦天主堂は、国内最古の教会堂であり、西洋建築で初めて国宝に指定されました。東京の迎賓館赤坂離宮が国宝に指定されるまでは、唯一の国宝西洋建築でした。
南山手地区に至ると二つの西洋建築が出迎えます。旧長崎税関下り松派出所と旧香港上海銀行長崎支店です。
旧長崎税関下り松派出所
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旧長崎税関下り松派出所は1898年に建てられた煉瓦造りの建物で、国指定重要文化財。鎖国時代も含め、外国との貿易の拠点だった長崎ならではの歴史的建造物です。現在は長崎市べっ甲工芸館として使われています。
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旧香港上海銀行長崎支店
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旧長崎税関下り松派出所に隣接するのが、旧香港上海銀行長崎支店。1904年に建てられました。国指定重要文化財。1931年に支店が閉鎖されたあとは、警察署、長崎市歴史民俗資料館として使用され、現在は長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館として、銀行の歴史、孫文と梅屋庄吉との関わり、外国人居留地の歴史について展示しています。
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大浦天主堂
大浦天主堂は正式名称を「日本二十六聖殉教者天主堂」といい、1865年に完成し、大規模な改修を経て1879年に現在の姿となりました。1933年に旧国宝(現在の重要文化財)に指定されます。1945年の原爆投下により破損しますが、倒壊・焼失を免れ、修理後1953年に現行法の国宝に指定されました。
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大浦天主堂の隣の煉瓦建築は旧長崎大司教館。1915年に建てられました。現在はキリシタン博物館として使われています。長崎県有形文化財。
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大浦天主堂正面。日本最古のカトリック教会です。歴史の教科書でもおなじみであまりにも有名。大浦天主堂は2018年に改修工事がなされ、漆喰で純白に塗り直されて美しい姿になっています。観たいですね。そして2018年7月、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成物件の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
側面から見た大浦天主堂。教会建築の様式を持ちつつ、日本の伝統的瓦屋根で覆うことが独特な外観を醸し出しています。
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上写真の右、天主堂に隣接するのが旧羅典神学校。1875年に建てられました。同じく西洋様式と瓦屋根が特徴的な国指定重要文化財。
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大浦天主堂側面通路から見た旧長崎大司教館。長崎の洋風建築は、住宅建築から宗教建築まで、開放的なベランダを持っていることが共通した特徴であることに改めて気づかされます。
銀行、税関の他は、大浦天主堂を中心としたカトリック大浦教会の建築を中心にお伝えしましたが、南山手重要伝統的建造物群保存地区は、旧居留地としての地割を残し、国の重要文化財に指定されている旧グラバー邸、旧リンガー邸、旧オルト邸などの日本における初期洋風住宅が現存するほか、伝統的建造物として現在も個人が所有する洋風住宅が数多く残されているんです。しかし、そこまで足を運ぶに至りませんでしたので、今回は歴史的町並みではなく西洋建築群の紹介とします。長崎、少し遠いですが、これもまた丁寧に訪れて、記事をリファインしていきたいと思います。
この記事はここまで。最後までお読みくださりありがとうございました。
長崎市南山手(長崎県の港町・重要伝統的建造物群保存地区)