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死別を受け入れるまで 2.亡くなった彼を案じる

 これは引越して日常生活に必要な物の荷解きが終わって、慌ただしさの中にありながらも自分で気が付かない程度の心のスキマが出来た時だったのだと思う。
 がらんどうになった工場にはもう誰もいない。いつの日にかふっと立ち寄ってみたくなる事はあるのか?行政区分ではなく、もっと小さい集落レベルでココでの知り合いはみんな親と同じ世代だから知り合いは誰もいなくなるだろう。

彼が彷徨っていたらどうしよう

 ある日突然降って湧いたかのように不安になった。これから先20年、30年と仕事をするつもりでバカ話をしていた。彼が亡くなった事をわかっていなかったらどうしよう。
 支払いにヒーヒーいいながら揃えた機器が全て無くなってしまった工場を見て嘆き悲しんでいたらどうしよう。

 彼の突然閉ざされた人生の無念を私が勝手に想像して苦しんでいる。傍目には〈その心配は死をすでに受け入れたからでは?〉とも思えるだろうが、彼が成仏していなかったらどうしよう!と思いながらも、心はまだお留守番気分である。

ついでに

 死後に浮気なんぞを知ってしまったので、私が彼の安息を祈っても、彼の本命が浮気相手だったら、お相手に祈って貰わなければ成仏できないのではないだろうか?しかし、お相手が引き払った工場のことなんか心配している訳もなく、2度も助けてあげることができない絶望で満たされてしまうと、自分が明日へ向かって歩き始める事など考えられず、自分の足元がすべて崩れ去ってしまったように感じた。

この不安には自己解決が出来なかった。いくら理論的に考えようとしても理論が成り立たない所に問題があるので、考えれば考えるほど深みにハマる。   天気図の低気圧が近づき彼の頭痛を心配しながら、彼が彷徨っている心配もする。

もうだめだ。これを解決しないと自分が立ち上がれなくなる!と思い、私は速攻でミディアムさんに依頼〈過去記事〉をした。

効果抜群

 こんなに速攻で助けられるとは思っても見なかった。強いて言えば、私がこんなに苦しんでいた5ヶ月半だったのに、彼が苦しみからすでに解放され安息の地でゆっくり心も休められているという事に (・д・)チッ「なんだよそれ!」と思ってしまった副反応があった。

死別の外側の方への追伸

 私の部屋にはまだ幾つものダンボールが積み上げられている。
もう5ヶ月も箱に入ったままで使われないもの、これから先も使わないであろう物だと分かっているものもある。
未練といえば未練なのだが、過去にすがって今に留まるためではなくて、失ってしまったこの先何十年を生きる糧だと思って欲しい。
 死別で失ったのは彼だけではなく、私の中にあった彼との将来という日常も一緒に持っていかれてしまっている。この虚無と共に生きるのに必要な糧だと思って欲しい。荷物であり、スマホであり、何であれ哀しみの中にある人を支えている物質を無駄だと思わずにそっとしてあげて欲しい。



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