悲しみも辛さも大切に思う
私は20歳の時
「子供は生めないと思うよ」
婦人科の検診で言われたことがあります。
おおそうなんだ!!
ちゃんと?した家庭で育っていない私が
子供を育てられることが出来るわけない!と思っていたので
気にせずにいました。
結婚する前、夫にも
「子供はできないと思う」
しっかり伝えましたら
「気にしないよ」
と笑顔で言ってくださいました。
結婚して、9年目
ホームセンターにヤカンを買いに行き、
いつもペットショップをのぞくクセがありましたので、
その日もなにげなくのぞきに行きました。
そこでお腹をだしてご機嫌に遊んでいる、
一匹のわんこに出会いました。
子供の頃から、犬を飼っておりました。
辛いことがあると、犬に慰めていただきました。
いつもふさふさな毛並みに癒やされて幸せな気分になりました。
でもお別れするときは辛くてしんどくて
「こんな辛い思いをするなら絶対私は犬を飼わない!」
自分の気持ちが悲しみにもたないと思い、
結婚してからずっと夫と二人で過ごしてきました。
でも、ペットショップで見たあの子が
お部屋いっぱいに育って狭い中、
ニコニコしていた姿が忘れられず
次の日夫を連れて見に行きました。
あっという間にその子は私と夫の娘になりました。
レンゲが咲く時期に我が家に来たので
「蓮」と言う名前にしました。
いつもニコニコとしていて
吠えることもせず、怒ることもしない子でした。
蓮が来てまもなく、奇跡のように娘がお腹に宿りました。
蓮は娘のお姉ちゃんらしく、いつも優しく接してくださいました。
お散歩に行くと、数歩歩いて疲れてしまうような子でした。
動物病院で
「体は強くないですね、心臓とか、胸の形が奇形ですし」
と言われました。
それでも可愛くて、可愛くて
蓮が大好きでした。
大きな病気をを二回もして、手術もしました。
それでも頑張り元気になっていつものように
ニコニコしていました。
「蓮も13歳だし、母ちゃん、蓮が出てくる絵本作ろうよ!
一緒にさ、物作りのチーム作ろうよ」
病気でしょげてる私に娘が言ってくださいました。
娘とチームの名前を考えできあがったのが
『grasslandworld』と言う名前で
私が「心の葉」(昔、仕事をしていたときの屋号)
娘が「樹音」と言った名前で活動しよう!と言うことになりました。
その中で
『ペットカフェくんくん』と
言った絵本を描いていこう!となり
娘が主になってキャラクターを作ってくださいました。
もちろん、蓮も出てきます。
二人で楽しく描きました。
その頃から、蓮が元気がなくなり
病院に行っても原因がわからず、
もらった薬を飲んでも
体調がどんどん悪くなっていきました。
何件も病院にいっても結果は同じでした。
「私の命をあげるので、どうか蓮を助けてください」
と真剣に祈りました。
当初、私も病状が酷く全く眠ることが出来なかったので
徹夜をして蓮を看病しておりました。
辛そうな姿を見て私も苦しくなりました。
そして今年、蓮は虹の橋へ旅立って行きました。
私が病気で苦しいとき、ずっとそばにいてくれました。
穏やかで、面白い子でした。
悲しすぎて、蓮のことを話すことが出来ませんでした。
まだ蓮が小さかった頃、
キツく怒ってしまったことがあった、とか
もっと一緒にいたかったとか、
美味しい物沢山食べさせてあげたかったとか、
後悔ばかりしていました。
この悲しい気持ちが薄れるのも嫌でした。
悲しくて辛くて、自分もいなくなりたい。と毎日思っておりました。
夜はますます眠れなくなり
心がどんどん闇へ落ちてゆきました。
蓮が出てくる絵本も描けなくなりました。
毎日毎日泣いていました。
私と夫のはじめての子供だった。
今でも蓮のことはそう思っています。
娘のりぃりと本当の姉妹のように過ごしてきた日々を思い出します。
夫のことが大好きでいつもニコニコしていた蓮。
蓮がいなくなった後
床に置いてある物がすべて蓮に見えていました。
家族みんながさびしく辛い毎日でした。
そして、今、縁があり
女の子のワンコが我が家にやって来ました。
その子は夫が抱っこしたとたん、おしっこを漏らしてしまいました。
「家にくる?」と
洋服がびっしょりになっていても、
笑顔で言った夫を見て、
夫も
悲しくて辛くて心が苦しかったのだ、と気がつきました。
その子は「ロビン」と言う名前になって我が家の末っ子になりました。
蓮とは違ってやんちゃでとても元気です。
ロビンは毛並みが蓮に似ていて、ロビンを見つめるたび
蓮を思い出します。
でも、ロビンは蓮ではなく、また別の愛しい存在になりました。
ロビン抱きしめては泣いていた日々が
だんだん笑えるようになり、眠れるようにもなりました。
それでも、今もまだ悲しくて、涙がでてしまいます。
蓮がくれた悲しみも辛さも、大切にして生きて行こうと思いました。
すぐに癒やされなくてもいい、
ゆっくり時間をかけて自分の気持ちと折り合いをつけていければいい。
そんな風に思えるようになりました。
楽しくて幸せな時間をいっぱい蓮からいただきました。
私は悲しいことをうまく人に伝える事ができなくて
蓮のこともなかなか友達にもいえませんでした。
でも、ようやく蓮のことを話すことが出来ました。
上手につたえることは出来ないのですが
聞いてくださって、読んでくださって
本当にありがとうございます。
そして、また、蓮の出てくる絵本を娘と描いていこう!と
思うことができるようになりました。
「蓮は生きてるよ。心の中にいるし!
絵本の中でも美味しい物いっぱい食べてたくさん遊んでずっと幸せだよ」
と娘が言ってくださりまた泣いてしまいました。
愛する存在からいただいた感情はすべて愛おしく
有り難いのだ、と心から思いました。
これからも蓮やロビンのお写真を載せていきたいです。
蓮、りぃり、ロビンは
私と夫の可愛い娘達なのです。