VUCA. 未来は僕らの手の中

VUCAの時代。

VUCAとは、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語

変化が激しく、未来の予測が困難な時代になったということらしい。こうした時代にどう動くのがよいかを考察してみた。

未来を分解する

未来を分解すると、再現性の高い予測しやすい未来と、再現性の低い全く予測不能な未来に分けることができる。

前者は、来月ホワイトデーがあるとか、7月には東京でオリンピックが開かれるとか、ライブハウスの近くにあるコンビニではライブが開かれる日は烏龍茶が飛ぶように売れる、みたいな再現性が高く経験と勘である程度の予測がたてられるもの。

後者は、昨今、世界を揺るがしているコロナウイルスの流行がいい例になると思うが、災害や疫病の発生日時、来季のヒット商品など、誰にも予測ができずに再現性もないもの。

再現性の高い予測しやすい未来に対してなすべきこと

『再現性の高い未来』と対峙するときに大事なことは、原因と結果の要因分析をしっかりおこない、前もって準備することだと思う。

例えば、先に例にあげた、ライブの話でいうと、

『来週ライブがあるから商品をしっかり用意しておこう』

というのが最も簡単な要因分析になる。

しかし、この程度の要因分析では未来対策は不十分であることが経験上わかる。

というのも、僕は豊洲Pitというライブハウスの近くに住んでいるんだけども、そのライブハウスで韓流とかジャニ系のライブが開催されるときは近所のコンビニは若い女の子でごった返す、一方、アニヲタ系のライブのときはお店が混むことはそんなにない。

主観だけど、若い女子にとっては、会場に早めにいって、最寄りのお店に立ち寄って、豊洲の運河沿いで友達と談笑しながらおやつをたべるというライブにいくまでの一連の行動がライブに行くというイベントのパッケージになっているのではないかと推察する。

一方、アニヲタたちにとってのライブはライブそのものだけなので、近くの自販機でジュースさえ買えれば十分で、余裕を持って会場にいって近くのお店で仲間とワイワイするということは彼らの頭には毛頭ないのだと思われる。(全部主観です)

ちょっと話がそれてしまったが、コンビニの混雑具合を予測するためにはライブが開催されるかだけではなく、どんなライブが開催されるのかまで紐解く必要がある。

つまり、再現性の高い未来へ対応する場合は、結果に関係する原因をどれほど詳細にできるかがポイントなのだ。ライブの有無だけではなく、ライブの種類や、曜日、天気といった相関性の高いパラメータをどれだけ用意できるかが鍵になる。

昨今、デジタル化が進み、あらゆるものがデジタルアーカイブされる現代においては、人間の多くのアクティビティをデータによってモデル化が可能となっているため、この作業自体はさほど難しくなくなってきている。

コンビニの売上データをSNSデータや近所のお店のイベント情報と紐付けてみると結果と要因の間に見えない線が見えてくる。どんなデータを結びつけるかのセンスが問われる時代ともいえる。

再現性の低い予測不能な未来に対してなすべきこと

次に、『再現性の低い予測不能な未来』。これはいくら要因分析しても無駄に終わることは容易に想像がつく。

将来の売れ筋商品の予測や災害や疫病の発生日時などは過去や今のデータをいくら眺めても予測することは困難だろう。

将来的に、AIとか量子コンピュータが、そうした未来に対しても因果関係や相関関係を指し示す方程式をみつけだすかもしれないが、今の時点では誰もできないだろう。

ではこれら予測不能な未来に対して準備できることはないのだろうか。

ひとつだけあるとすれば、それは「日頃から発生しうる未来を想定して、避難訓練をおこなっておく」ことじゃないかと考える。

避難訓練って言葉はメタファーだけど、要は、予測できない未来に対しては予測はあきらめ、起こりうるシナリオを想定し、想定したシナリオが発生したときの避難経路を用意しておくということだ。

想定外がおきることも許容するしかない。

なお、これはビジネスにおけるBCPの考え方に近い。

BCP(事業継続計画)とは、災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画。

コロナウイルスの蔓延で経済的な打撃を受けている企業が多いが、本来は、新手のウイルスが発生するというシナリオを想定し、そのシナリオが発現したときの、避難経路を用意しておくことが重要だったと、後の祭りだが今となっては思い知る。(発生頻度の低いものに対してどの程度コストを捻出するかという議論はまた別にある)。

たとえば、中国に生産の拠点がある企業だとしたら、中国とはべつの箇所にサブのサプライヤーの拠点を用意しておき、ウイルスが蔓延してきたら、サブのサプライヤーを使うように生産計画を変更するなどといった対策がそれにあたる。

こちらのケースでは、データ間の要因分析を深くおこなうことよりも、そのシナリオが発生したかをいち早く検知することが最も大事なことになる。場合によってはその結果の先行指標になりうる指標を検知の対象としておくことが望ましい。

たとえば、アパレルメーカーでいえば、洋服のトレンドの先行指標にインスタグラムのハッシュタグ数があるかもしれない。本格的なヒット商品が発生する契機を売上という結果のKPIで検知するのではなく、結果に先行するハッシュタグ数という別の指標で検知し、イベントに応じた避難訓練を実施するのだ。(この場合は、トレンドになっている洋服をいち早く企画し、生産するというフローが避難経路にあたる)

以上が予測できない未来に対する対応だ。

これまでの話を絵にまとめると以下のような感じになる。

名称未設定

最後に

VUCA時代に自分がやれることを書き出しました。

結局はどんなに保険をかけても外すときは外すから、死なない程度に動くしかないというのが極論ですが、とはいえ、できることはやっておくことが大人の嗜みなのではないかと思います。

余談

大量のデータに対して高度な予測をすることがPC1台でできる時代です。分析手法はコモディティ化され、誰もが簡単に視える化まではできるようになりました。AWS、Tableau、Board、Pythonなどを使いこなせばあっというまに可視化や分析ができます。

しかし、可視化したデータから、どう読み解くか、なんのアクションにつなげるかは、センスの世界になります。

小手先のテクニックだけを磨くだけではなく、鬼速でPDCAを回す行動力も持ち合わせておく必要があると考えます。

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