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買い物は投票だ、声を挙げる時は来た

日本の畜産業の現状を知っているか

畜産動物のアニマルウェルフェアについて学ぶまで、日本の畜産業がいかにひどい状態か知らなかった。
アニマルウェルフェアとは、動物が生まれてから死ぬまでの身体的・心的状態を指し、特に畜産業においてその改善が求められている。アニマルウェルフェアの5つの基本原則

  • 空腹と渇きからの自由(良好な影響の提供)

  • 不快からの自由(良好な環境の提供)

  • 痛み・損傷・疾病からの自由(良好な健康の提供)

  • 恐怖と苦悩からの自由(精神的苦悩を与えない経験の提供)

  • 正常行動発現の自由(適切な行動の提供)

これが日本の畜産業ではあまりにも守られていない。

採卵鶏(オス)

オスは卵を産まないから、必要ない。それだけの理由で日本では年間1億1千万羽のオスひよこが生まれたその日に殺処分されている(世界では60億羽)。日本での殺処分方法は、ゴミ箱に入れて窒息死、圧死、放置死させる方法と、グラインダーと呼ばれる粉砕機ですりつぶす方法が取られている。

出展:NPO法人アニマルライツセンター

衝撃的な動画も公開されているので、心の準備をしてから見て頂きたい。欧米ではオスひよこの殺処分を禁止する国が増えてきており、日本ではその検討が遅れている。

採卵鶏(メス)

生まれてすぐには殺されないメスにも過酷な一生が待っている。バタリーケージと呼ばれる狭い鉄格子のケージに入れられ、餌を食べ卵を産む以外の行動は出来ない。

出展:NPO法人アニマルライツセンター

鶏は、本来、夜は高いところに登って寝る危機回避本能を持ち、太陽の光を浴びて、砂浴びをして健康を保っている。そういった行動を一切取れず、骨は細くなり、ストレスで突き合いをして、ケガをしたり病気になってもケアされず、ケージの中で死ぬか、屠殺場で死ぬか。EUではもう半分以上がケージフリーになっており、アメリカも2025年末には73%がケージフリーになる。日本と欧米の違いは、消費者の声。消費者が声を挙げなければ、生産者・企業は変わらない。こういったケージ飼育ではなく、平飼いされた卵を買ったり、扱っている企業を応援しよう。
なお、病気対策として大量の抗生物質を使っていることが抗生物質耐性菌を生み出している原因にもなっている。

屠殺方法にも問題がある

鶏を屠殺する際、ガスで意識を失わせる(ガススタニング、苦しまずに殺す)ことは欧米のみならずブラジルやタイ、トルコ、中国など多くの国で当たり前になりつつある。しかし日本では約9割の屠殺場では、意識を失わせる行程を省いて意識あるまま首(頸動脈)を切る。残りの約1割の食鳥処理場は、電気の通った水槽に頭を浸け意識を失わせてから首を切る。鶏にとって残酷なこの屠殺は、この業務の担当者の精神衛生上も非常に良くない。

出展:NPO法人アニマルライツセンター

屠殺場の動画はあまりに衝撃的なので、心の準備をしてから閲覧して頂きたい。ただ、これが日本の現実である。

他にも書き切れない問題がある

肉用鶏の行き過ぎた品種改良と異常発生率の向上。豚の妊娠ストールの問題(身動きの取れない狭小の妊娠ストールと分娩ストールを往復させられるだけの一生)、牛のつなぎ飼い、水産養殖の遺伝子改良と異常発生など多くの問題がある。(興味のある方は、ぜひ、NPO法人アニマルライツセンター、および、HOPE for ANIMALS のサイトで最新情報をチェックしてみて欲しい。)国産肉、日本の畜産というと、とても品質が良いイメージを持っていたが、世界に遅れを取っており、安全安心でもなければサステナブルでもなかった。このような事実が意外と知られていないように思う。なぜか。日本では消費者が声を挙げないので、企業は情報開示をしないし、求められないので改善もしないからである。

私たちに何ができるか

ヴィーガンになれ、とは言わない。ただ、アニマルウェルフェアに配慮された肉や魚を購入するように心がけたい。そしてスーパーなどの小売店でそういった商品を扱うように要望を出そう。要望の出し方が分からない、という人にはNPO法人アニマルライツセンター作成のチェックリストをぜひ参考にしてほしい。下記のように具体的なポイントがまとめられている。

スーパーでの要望の具体例

企業側も昨今のSDGsやアニマルウェルフェアの高まりに、必要性は感じているものの売上や消費者のニーズが心配で踏み出せない状況にある。少数でも声を挙げていくことが企業の背中を押すかもしれない。

※この記事は、エシカル・コンシェルジュ講座14期 第5回地球を分け合う動物たちに配慮する2つの方法 の受講を経て書いたものです。


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